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「コンビニ売れ筋商品」の価格変動の背景にあるものとは?

いつでも近くにあって、日常生活で必要なものが揃っているコンビニ。定期的に購入する食品は、季節に応じて常に新商品が登場して飽きさせない工夫をしています。

原材料費や物流コストも上昇する中、年間約5,000品目もの新商品が発売されるとも言われるコンビニでは価格設定が非常に重要だと考えられます。
今回は、コンビニの購買データから、日々進化したおいしいオリジナル食品を提供し続ける「売れ筋商品」の価格がどのように変化しているのか、そしてその背景にどのようなものがあるのかを調査します。
調査からわかったこと

◎全社のほぼ全カテゴリの購入上位商品で、価格は上昇傾向にある。
◎特に「お弁当」「惣菜パン」「カウンターフード・ドリンク」の上昇が目立つ。
◎セブンイレブンの「デザート類」だけが、唯一下降傾向だったが、上位商品の顔ぶれの変化によるもの。
◎ファミリーマートの「お弁当」は600円台の高価格帯商品が人気となり、平均価格引き上げの要因となった。
◎ローソンの「惣菜パン」は100円台が中心だったものが、200円以上の「サンドイッチ」が中心に変化して平均価格を引き上げた。

まずコンビニ各社のオリジナル食品における「売れ筋商品」は、過去1年間どのように価格が変動したのかを調べました。オリジナル食品のカテゴリ別に、月ごとの購買数TOP10商品の平均価格の推移をまとめたのが、下記のグラフです。


コンビニ大手3社 購買数TOP10商品の平均価格の推移

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また、食品カテゴリ別の過去1年間での価格上昇率をまとめたものが、下記の表です。


食品カテゴリ別の過去1年間での価格上昇率比較

3社1年間での価格上昇率比較

全社のほぼ全カテゴリで、価格は上昇傾向にあることが分かります。
特に価格上昇が明確なのは「お弁当」で、全社右上がりのグラフを示しています。
また、ファミリーマートとローソンでは「惣菜パン」や、セブンイレブンとローソンは「カウンターフード」も右上がりのグラフとなっています。

ただ唯一下降傾向になったのが、セブンイレブンの「デザート類」です。
全社のほぼ全カテゴリで上昇傾向にある中で、セブンイレブンの「デザート類」だけが下降傾向にあるのはなぜなのでしょうか。

では、コンビニチェーンごとにどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。

まずは、コンビニ最大手のセブンイレブンです。
オリジナル食品における各カテゴリの月別購買数TOP10の平均価格の推移をまとめたものが、下記のグラフとなります。


セブンイレブン購買数TOP10商品の平均価格の推移

セブン価格推移

また、1年間でのカテゴリ別の価格上昇率をまとめたものが、下記の表となります。


セブン価格上昇率

最も価格上昇が大きかったのが「カウンターフード」の32.1%。次いで「お弁当」が13.2%で続きます。「デザート類」は、▲20%と他社も含めて唯一マイナスとなったカテゴリです。
では、特徴のあったカテゴリを深堀りしてみましょう。

セブンイレブンで最も価格上昇が大きかったのが「カウンターフード・ドリンク」です。
1年間で32.1%の価格上昇となっています。具体的に、どのような変化が生じていたのでしょうか。

平均価格最安値の2021年11月と、平均価格最高値となった2022年9月の購買数TOP10商品と価格を比較してみましょう。


セブンイレブン「カウンターフード・ドリンク」購買数TOP10商品の内容・価格比較

セブン_カウンターフード

どちらの時期も、TOP10の半数はコーヒーなどのカフェドリンクであることは変わりません。ただ、カフェドリンクは値上げされているため、2022年9月の平均価格を引き上げる要因のひとつになっています。

また2021年11月は、最安値は95円でTOP10全商品が150円以下でした。
しかし2022年9月には値上げの影響もあって最安値が110円へ上昇し、200円台の商品が半数を占めるようになっています。

特に「フライドチキン」は、1品から3品へと種類が増えて、全て200円台と高価格帯の商品となっています。

つまり、コーヒー系ドリンクの値上げと、高価格帯の「フライドチキン関連」がTOP10内に増えたことで平均価格を引き上げていることが分かります。

唯一平均価格が下降傾向となったセブンイレブンの「デザート類」ですが、購買数TOP10商品の内容や価格にどのような変化が生じたのでしょうか。平均価格最高値の2022年1月と直近の2022年10月のデータを比較してみましょう。


セブンイレブン「デザート類」購買数
TOP10商品の内容・価格比較

セブン_デザート類

2022年1月時点では半数以上だった200円以上の商品が10月には1商品に減少し、9割が100円台の商品に切り替わっています。

まず目につくのは、1月から人気で10月にもTOP10入りしている商品 (ダブルクリームのカスタード&ホイップシュー、カカオ香るエクレアカスタード、もちもちリングシュガー、イタリア栗のモンブラン ※商品名変更含む)が、4品とも値上げされていることです。定番品は値上げされた一方で、新商品は低価格帯が登場した結果、平均価格が下がったということが見えてきます。

次に、コンビニスイーツはシーズンごとに「新商品」が話題となりますので、「新商品」の価格を確認してみましょう。1月では200~300円台だったTOP10内の新商品 が、10月ではすべて100円台になっていることが分かります。

新規でランクインしてきた「新商品」の価格帯が100円台と低価格帯へシフトしているため、平均価格が下降していることが分かります。

お弁当などのランチとの同時併買を見込んで、低価格帯の新商品を投入しているのでしょうか?

1月と10月で、お弁当が買われた際にデザートも併買された同時併買率を見ると、10月が2.4ポイント高く12.0%となっていることが分かります。


セブンイレブン「お弁当×デザート類」同時併買率

セブン_デザート同時併売

このような視点で考えると、様々な食品が値上げしている昨今、「必要性」では優先順位が低くなる「デザート類」の購買数を落とさないためにも、低価格帯の「新商品」をあえて投入しているようにも見えてきます。

続いてはファミリーマートです。
オリジナル食品の各カテゴリの月別購買数TOP10の平均価格の推移をまとめたのが、下記のグラフとなります。


ファミリーマート購買数TOP10商品の平均価格の推移

ファミマ価格推移

また、1年間でのカテゴリ別の価格上昇率をまとめたものが、下記の表となります。


ファミマ価格上昇率

最も価格上昇が大きかったのが「デザート類」の26.9%。次いで「お弁当」の14.7%が続きます。「惣菜パン」は1年間でみると12.0%の価格上昇ですが、最安値の2021年12月から2022年10月でみると29.0%の上昇で最も大きな上昇率となります。
では、特徴のあったカテゴリを深堀りしてみましょう。

セブンイレブンとは異なり、ファミリーマートでは「デザート類」が最も価格上昇しています。どのような変化があったのか、平均価格が最安値だった月と最高値だった月の商品と価格を比較してみましょう。


ファミリーマート「デザート類」購買数TOP10商品の内容・価格比較

ファミマ_デザート類

セブンイレブンとは反対に、商品価格が上昇していることが分かります。
2021年11月は100円台の商品が中心でTOP10の7割を占めていました。しかし2022年10月には、100円台の商品は4割に低下。200円台の商品が4割、300円台の商品が2割と高価格帯の商品が増えています。

2022年10月で目立つのは、芋・栗・かぼちゃを使用した「秋スイーツ」です。
2021年11月は1点でしたが、2022年10月では4点へ増加しています。

この「秋スイーツ」が200~300円台となっており、平均価格を引き上げる要因となっています。商品名を見ても、「紅はるか」「和栗」「北海道産かぼちゃ」といった原材料の質へのこだわりを主張しており、この価格を納得させる商品名となっています。

コンビニスイーツは、シーズンごとに季節商品や新商品が注目されます。
ファミリーマートの「デザート類」では、そんな季節商品が高価格帯で上位となったため、平均価格が引き上げられている様子が見えてきました。

参考までに、セブンイレブンと同様に「お弁当×デザート類」の同時併買率を調べてみると、2021年11月が7.1%で、2022年10月が7.4%でした。価格が下がっていないファミリーマートでは、「ランチにデザートをもう1品」という意識にはなりにくいようです。

続いて、1年間で14.7%価格が上昇した「お弁当」の変化を見てみましょう。
平均価格最安値の2021年12月と平均価格最高値の2022年10月を比較してみました。


ファミリーマート「お弁当」購買数TOP10商品の内容・価格比較

ファミマ_お弁当

ファミリーマートの「お弁当」では、TOP10の半数が同じ商品となっており、そのうち値上げが確認できるのは2商品となっています。そのため、価格上昇の要因となるのは、2022年10月のみに入っている商品ということになります。

目立つのが、600円台の商品です。
2022年1月にはひとつもなかった600円台の商品が10月には4点となっており、これが平均価格を引き上げていることが分かります。

同月のTOP10で「600円台のお弁当」は、セブンイレブンが1点、ローソンが2点となっており、ファミリーマートの4点は他社と比較しても多いことが分かります。

商品名を見ると、2022年1月には「だしの旨味感じる!」「肉の旨み感じる」といった表現だったものが、「肉汁じゅわっと!」「香味野菜だれ香る!」「肉の旨みとやわらか食感!」といった、食欲をそそる「しずる感」を強調していることが分かります。

このような「商品名」の工夫の効果もあってか、ファミリーマートでは600円台の高価格帯「お弁当」がTOP10内に4点となり、平均価格を引き上げていることが分かりました。

ただ10月の1位と2位は、最安値商品となっています。
値上げが続く時期に、安価なお弁当も人気で需要があるということも分かります。

最後はローソンです。
各カテゴリの月別購買数TOP10の平均価格の推移をまとめたのが、下記のグラフとなります。


ローソン購買数TOP10商品の平均価格の推移

ローソン価格推移

また、1年間でのカテゴリ別の価格上昇率をまとめたものが、下記の表となります。


ローソン 食品カテゴリ別の価格上昇率

ローソン価格上昇率

最も価格上昇が大きかったのが「惣菜パン」の38.4%。次いで「カウンターフード・ドリンク」の18.3%が続きます。では、特徴のあったカテゴリを深堀りしてみましょう。

ローソンで最も価格が上昇したのが「惣菜パン」です。
1年間で38.4%上昇した要因は、どのようなことだったのでしょうか。
平均価格最安値の2022年1月と平均価格最高値の2022年10月を比較してみました。


ローソン「惣菜パン」購買数TOP10商品の内容・価格比較

ローソン_惣菜パン

1月と10月では、中心となる価格帯の違いが明らかです。
1月は100円台の商品が中心で、10月は300円以上の商品が中心となっています。
そして、300円以上の商品は、「サンドイッチ」です。

ランチ需要で人気の「サンドイッチ」は、お弁当と同じ冷蔵陳列されており、価格帯も常温陳列の惣菜パンより高くなります。

ローソンの「サンドイッチ」といえば、2022年5月にTBS系の人気テレビ番組「坂上&指原のつぶれない店」で、お笑いトリオ・ロバートの馬場裕之さんがオリジナル商品開発を行う企画が放送されました。このサンドイッチ「肉肉!こだわり2種のポテトサラダ」は、一時製造が間に合わず、販売を休止するほどの人気になったこともあり、ローソンの「サンドイッチ」人気に一役買ったのかもしれません。

ローソンでは、そんな高価格帯の「サンドイッチ」が人気となり、平均価格が引き上げられているようです。

続いて、1年間で18.3%価格が上昇している「カウンターフード・ドリンク」です。
平均価格最安値の2021年12月と平均価格最高値の2022年10月を比較してみました。


ローソン「カウンターフード・ドリンク」購買数TOP10商品の内容・価格比較

ローソン_カウンターフード

2021年12月と2022年10月では、TOP10内の8割の商品が同じ商品となっています。そのすべてが値上げされています。

つまり、ローソンの「カウンターフード・ドリンク」は、商品が高価格帯に切り替わったのではなく、人気定番商品はほぼ変わっていないものの、商品価格が値上げにより上昇したため、平均価格も上昇していることが分かります。

このように購買データを細かく見ることによって、売れ筋商品の価格上昇の背景にあるものが見えてきました。まとめると、下記のようになります。

【コンビニ大手3社全体として】
・全社のほぼ全カテゴリで、価格は上昇傾向にある。
・特に「お弁当」「惣菜パン」「カウンターフード・ドリンク」の上昇が目立つ。
・セブンイレブンの「デザート類」だけが、唯一下降傾向にある。

【セブンイレブン】
・「カフェドリンク」の値上げと、高価格帯の「フライドチキン関連」の人気により、「カウンターフード・ドリンク」の平均価格が上昇。
・唯一平均価格を下げた「デザート類」は、低価格帯の「新商品」が上位に増えたことにより平均価格が下落した。
・一方「デザート類」と「お弁当」との併買率が上昇し、低価格帯の新商品の意図がそこにあった可能性も感じる結果となった。

【ファミリーマート】
・「デザート類」では、高価格帯の「季節スイーツ」が人気となりTOP10に多くランクインし、平均価格を引き上げた。
・「お弁当」は、600円台の高価格帯商品が人気となり、平均価格引き上げの要因となった。
・高価格帯の「お弁当」は、味わいの風味に対する「しずる感」を出す表現を商品名に取り入れるなどの工夫が施されていた。

【ローソン】
・「惣菜パン」は100円台が中心だったものが、200円以上の「サンドイッチ」が中心に変化して平均価格を引き上げた。
・ローソンの「サンドイッチ」がテレビ番組で特集されるなどの影響も、「サンドイッチ」人気を引き上げる要因に寄与したかもしれない。
・「カウンターフード・ドリンク」は、ほぼ定番商品が値上げした結果による平均価格の上昇となった。

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