売れ筋商品の違いは?
では早速、「ローソン無印」と「無印良品店舗」での売れ筋商品の違いについて調べてみましょう。分析に使用するのは、当社フェリカネットワークスの「IDレシートデータ」です。
「IDレシートデータ」は、全国3万人の日々のお買い物のレシートデータが保存されています。会員のプロフィール属性とレシートデータを紐づけていますので、どの店舗でどのような属性の方が何をいくついくらで購入したか分かります。最近、「無印良品店舗」のデータも分析できるようになりました。
無印良品は取扱商品のカテゴリも幅広いため、取扱商品が近しい競合するメーカー企業も多いと思います。ぜひ、このような売れ筋データを参考にしてみてはいかがでしょうか。
※本記事で使用するデータは、2023年4月1日~6月30日の3か月間のデータです。
購買数TOP30
それでは、「ローソン無印」と「無印良品店舗」での売れ筋商品の違いを見ていきましょう。
「購買数」のTOP30を比較します。
「購買数」TOP30

「ローソン無印」と「無印良品店舗」の両方でTOP30にランクインしているのは、6アイテムでした。「食品・飲料」と「菓子・スイーツ」及び「コスメ」商品です。
特に「不揃いバウム」シリーズは人気です。両方にランクインしている6アイテム中2アイテムが、「不揃い 塩バニラバウム」と「不揃い 甘夏バウム」でした。そして「無印良品店舗」では、TOP30のうち8アイテムが「不揃いバウム」シリーズとなっています。その他、両方に共通してランクインしているアイテムは、「食品・飲料」の「素材を生かしたカレー バターチキン」、「コスメ」の「クレンジング」と「コットン」です。
人気の「不揃いバウム」シリーズ

※画像は、公式サイトより引用
https://www.muji.com/jp/ja/store/search/cmdty/%E4%B8%8D%E6%8F%83%E3%81%84%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%A0
また「靴下」も商品は違うものの、「靴下」も両方にランクインしています。
「無印良品店舗」の1位は、「足なり直角靴下」です。一般的な靴下のかかとは120度の角度で生産されていますが、この靴下はかかとの角度と同じ90度で、かかとにぴったりでずれ落ちにくいのが特徴の人気商品です。そして、「ローソン無印」の24位にランクインしているのが、「スニーカーイン靴下」です。くるぶし丈の靴下で、脱げにくいようにかかとが90度になった「足なり直角」構造の無印の人気商品です。
一方、参考情報となりますが、最近コンビニのファミリーマートで3本ラインの靴下が人気です。ファミリーマートの靴下は2023年1月現在、累計販売数1,000万足を突破 しています。無印の機能的な靴下に対して、ファミリーマートはデザインが人気となっています。ローソンやファミリーマートで靴下が売れているということは、工夫次第で様々な衣類がコンビニでも売れる可能性があるということかもしれません。
人気の靴下

※画像は、公式サイトより引用
https://www.muji.com/jp/ja/store/articles/staff-blog/lifetips/791751
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/section/S100141802
https://www.family.co.jp/goods/cw/7410895.html
また「ローソン無印」では、文具のアイテム数が7件と多いのに対し、「無印良品店舗」ではランクインしていません。「ローソン無印」はコンビニという特性から、ビジネス利用で文具のニーズが高いということも影響しているようにも感じられます。「無印良品店舗」で最上位となった文具は、49位の「さらさらゲルインキボールペン ノック式」でした。
「ローソン無印」のカテゴリ別売れ筋商品
上記のように、「ローソン無印」においても、様々なカテゴリの商品がTOP30にランクインしています。では、「ローソン無印」における、それぞれのカテゴリのシェアはどのようになっているのでしょうか。各カテゴリの商品の購買数を比較してみましょう。
「ローソン無印」のカテゴリ別シェア

「ローソン無印」のカテゴリ別シェアは、若干「コスメ」が高めではあるものの、「コスメ」「菓子・スイーツ」「文具」「食品・飲料」で概ね4分割されています。いかに売れ筋を厳選しているかが分かります。ただ「衣類」と「雑貨」はアイテム数が少ないため、他の4カテゴリとは大幅に異なる割合となっています。
では各カテゴリで、どのような商品が売れているのでしょうか?
上記主要4カテゴリの購買数TOP5を調べました。
「ローソン無印」主要4カテゴリの購買数TOP5

「コスメ」はコットンが1位、クレンジングが2位、3~5位が化粧水です。コンビニだから携帯用ということもなく、大容量が上位となっています。
「菓子・スイーツ」は、1~2位がチョコレート味という共通性はあるものの、TOP5は全て異なるタイプの商品でした。「菓子・スイーツ」の幅広い商品群の人気を感じます。
「文具」はノート・メモ帳がTOP5のうち4アイテムとなり、特に小型サイズが人気です。一般的なB5サイズよりも小さい、A5やA6サイズが売れています。
「食品・飲料」は、TOP5全てがインド料理(カレー)関連の商品でした。上位3位がレトルトカレー、4位がチャイ、5位がナンという結果です。「ローソン無印」の食品カテゴリでは、レトルトカレーに力を入れており、主力商品として「レトルトカレー」をホームページに記載しています 。
「ローソン無印」主要4カテゴリの各1位商品

※画像は、公式サイトより引用
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4549337318885
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344266168
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550182108866
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344259030
購入者の男女比の違いは?
上記のように「ローソン無印」のカテゴリシェアでは、「コスメ」がTOPとなっています。「コスメ」は女性需要が高い商品ですが、「菓子・スイーツ」「文具」「食品・飲料」に関しては、男性需要もある商品です。
では、「無印良品店舗」と「ローソン無印」で男女比に違いはあるのでしょうか?
まずは、「無印良品店舗」と「ローソン無印」利用者全体における、利用者属性の男女比を比較してみましょう。
「無印良品店舗」と「ローソン無印」の男女比

「無印良品店舗」と「ローソン無印」男女比は女性比率が高く、似た傾向となりました。「無印良品店舗」では、女性が家計簿全体よりも11ポイント高く、「ローソン無印」では9ポイント高くなっています。また「ローソン無印」は、「ローソン全体」と比較すると男性が12ポイント低くなります。ローソンの購買者の中でも、無印良品の商品を購入しているのは、女性が強い傾向が見られます。
では同じ商品でも、「ローソン無印」と「無印良品店舗」で購入者の男女差はあるのでしょうか。「無印良品店舗」では、「ローソン無印」で取り扱っていない商品もあるため、冒頭で紹介しました「ローソン無印商品の販売数ランキング」からTOP10の購入者の男女比を、「無印良品店舗」と比較してみましょう。
「ローソン無印」の販売数TOP10商品の男女比

「不揃い 塩バニラバウム」や「てんさい糖ビスケット パイン&ベリー」といった「菓子・スイーツ」は、「ローソン無印」の男性の購買率が最大28ポイント高い傾向にあります。また「文具」のノートに関しても「ローソン無印」のほうが、男性割合が8ポイント高くなっています。
一方「コスメ」に関しては、「ローソン無印」の男性割合は0%と女性のみの購買となっています。「無印良品店舗」では家族分をまとめて購入したり、男性自身が使用するために購入したりというケースもあるのか、5~6%の男性購入者が確認できますが、コンビニでは男性購入は確認できませんでした。
「ローソン無印」の男性購入率が10ポイント以上高かった商品

※画像は、公式サイトより引用
https://www.muji.com/jp/ja/store/search/cmdty/%E4%B8%8D%E6%8F%83%E3%81%84%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%A0
https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344603215
「ローソン無印」の時間帯別売れ筋商品
「男女比」に続いては、「ローソン無印」の時間帯別売れ筋商品を比較してみましょう。
朝・昼・夕方・夜の購買数TOP5が下記となります。
「ローソン無印」の時間帯別売れ筋商品TOP5

全時間帯にランクインしているのが、「素材を生かしたカレーバターチキン」。「昼」「夕方」には、同商品の「クリーミー味」もランクインしています。「ローソン無印」を代表する売れ筋商品となっていることが分かります。
また時間帯ごとの特徴としては、「朝」は「文具」が多く、「菓子・スイーツ」がランク外となっています。「昼」「夕方」は、ランチ・休憩時間ということもあって「食品・飲料」「菓子・スイーツ」が上位となっています。「夜」は帰宅後に化粧を落とすためか、「コスメ」のランクが上位となり、明日の仕事の準備のためか再び「文具」が1アイテムランクインしています。
「菓子・スイーツ」に関しては、「不揃いバウム」シリーズは「朝」「昼」にはランク外となっており、「夕方」以降に上位となっていることが分かります。ボリュームがあり腹持ちのいい「不揃いバウム」シリーズは、ランチ後の空腹時間帯のニーズが高いようです。
「ローソン無印」のカテゴリ別シェアは、「コスメ」「菓子・スイーツ」「文具」「食品・飲料」で概ね4分割されているものの、時間帯ごとには特徴が見えてくる結果となりました。
「ローソン無印」はどんな商品と一緒に購入されている?
続いては、「ローソン無印」がどのようなローソン商品と一緒に購入されているかを見てみましょう。
「無印良品店舗」での購買は、無印良品の商品に興味があって店舗に入るケースが多いと思われます。しかし「ローソン無印」は、コンビニ特有の「ついで買い」という購買ケースも考えられます。そこで「ローソン無印」における、同時併買商品のカテゴリを集計しました。
「ローソン無印」同時併買商品のカテゴリシェア

「ローソン無印」と同時併買されているローソン商品は、「食品・飲料」が68%で最も多く、次いで「菓子・スイーツ」の27%が続きます。「雑貨」「コスメ」は、それぞれ1%ですので、ほとんどが「食品・飲料」「菓子・スイーツ」という結果になりました。
では、「食品・飲料」「菓子・スイーツ」と一緒に購入される傾向がある「ローソン無印」は、どの程度リピート購入されて、購入金額はいくらくらいなのでしょうか。「ローソン無印」の購買回数と購入金額分布を見てみましょう。
「ローソン無印」購買回数と購入金額分布

2023年4月1日~6月30日の3か月間で、2回以上「ローソン無印」を購入している割合は20%でした。80%が1回のみの購入となります。また最も多い購買額は100円以上200円未満でした。
ローソンで「食品・飲料」「菓子・スイーツ」を購入したついでに、無印の商品も見つけたのでついでに買ってみたというニュアンスの購入頻度と購入額のようにも見受けられます。ローソンでは、店内で目立つように「無印コーナー」を設置しており、一目で「無印良品」の商品が販売されていることが分かるような陳列にしています。
コンビニで購入したい目的商品を手にした後、「無印コーナー」にも立ち寄って、100円~200円程度の商品を「つい追加購入してしまう」ということなのでしょうか。最近は、セブンイレブンでダイソーの商品を扱っているなど、様々な業態とのコラボレーションが始まっています。そのような、コラボ商品の動向を分析してみると、新たなチャンスが見えてくるかもしれません。
ローソン店舗内の無印コーナーのイメージ

※画像はプレスリリースより引用
https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1451733_2504.html
まとめ
このように、無印良品の「無印良品店舗」と「ローソン無印」の売れ筋商品を比較してみると、以下のようなことが分かりました。
【「ローソン無印」と「無印良品店舗」の売れ筋商品】
・「不揃いバウム」シリーズは、「ローソン無印」と「無印良品店舗」の両方で人気
・「コスメ」の「クレンジング」「コットン」は、両方で人気
・「カレー」では、「素材を生かしたカレー」シリーズが両方で人気
・「無印良品店舗」で1位となった「靴下」は、「ローソン無印」でも種類は異なるものの24位に入っている
・「ローソン無印」では「文具」が上位となるが、「無印良品店舗」ではTOP30に入っていない
【「ローソン無印」のカテゴリ別売れ筋商品】
・「ローソン無印」のカテゴリ別シェアは、「コスメ」「菓子・スイーツ」「文具」「食品・飲料」で概ね4分割されている
・「コスメ」はコットンが1位、クレンジングが2位、3~5位が化粧水であった
・「菓子・スイーツ」は、TOP5は全て異なるタイプの商品となった
・「文具」はノート・メモ帳が中心で、小さいA5やA6サイズが売れている
・「食品・飲料」は、インド料理(カレー)関連の商品が人気
【「ローソン無印」と「無印良品店舗」の購入者の男女比の違い】
・「無印良品店舗」「ローソン無印」ともに、女性の購買率が高い
・
・「菓子・スイーツ」「文具」では、「ローソン無印」の男性比率が高い商品も確認できる
・「コスメ」は、「無印良品店舗」では若干男性購入が確認できるが、「ローソン無印」では全員女性の購買であった
【「ローソン無印」の時間帯別売れ筋商品】
・全時間帯にランクインしているのが、「素材を生かしたカレーバターチキン」
・「朝」は「文具」が多く、「菓子・スイーツ」がランク外に
・「昼」「夕方」は、「菓子・スイーツ」「食品・飲料」が上位に
・「夜」は「コスメ」のランクが上位に
【「ローソン無印」の購買傾向】
・「ローソン無印」で併買されているのは、ほぼ「食品・飲料」「菓子・スイーツ」であった
・「ローソン無印」で最も多い購買価格帯は、100円以上200円未満
・「ローソン無印」では、購買者の8割が3カ月に1回のみの購入であった
このように、当社フェリカネットワークスの「IDレシートデータ」を活用すれば、無印良品のように、無印良品店舗とコンビニでの売れ筋商品が比較できます。さらに「同時併買」機能を活用すれば、「ローソン無印」がどのようなローソン商品と一緒に購入されているかが見えてきます。無印良品は取扱商品のカテゴリも幅広いため、取扱商品が競合する企業も多いと思います。ぜひ、このようなデータを参考にしてください。
このような分析に興味をお持ちの方は、ぜひご活用ください。