「ペプシからあげ専用」って、どんな飲料?
まずは「ペプシからあげ専用」が、どんな商品なのかを確認してみましょう。
プレスリリースでは、商品特徴を下記のように記載しています。
「ペプシからあげ専用」は、“国民食”として愛されているからあげとコーラの相性の良さに着目し、からあげの風味を引き立てるコーラの味わいを目指し、2022年6月14日より日本全国で夏季限定として新発売した商品です。
※画像は商品プレスリリースより引用
●中味の特長
からあげの風味を引き立てるためにコーラの香りと甘さを控えめにし、からあげの油っぽさが切れるように食物繊維を配合することで、スッキリした味わいを実現しました。カロリーを気にせずからあげを食べられるよう、カロリーゼロ設計の、透明なコーラです。
●パッケージの特長
ジューシーなからあげの写真を大きく配し、ラベル全体に水滴を描くことで、直感的にコーラとからあげを食べ合わせしたくなるようなデザインに仕上げました。
まさに、からあげと一緒に飲むための飲料としての新登場です。
「ペプシからあげ専用」って、どんな人が買っている?
そんな「ペプシからあげ専用」という新商品ですが、まずはどのような属性の人たちが購入しているのかを調べてみましょう。
当社のフェリカネットワークス「IDレシートデータ」では、全国3万人の日々のお買い物のレシートデータが登録されているので、会員の属性と購入商品を紐づけて調査できます。
そのため、「ペプシからあげ専用」の購入者属性が分かります。
まずは、性別で男女どちらが多いかを見てみましょう。
会員の男女比が1:1ではないので、登録者全体の割合(家計簿全体)と、ペプシからあげ専用購入者の割合を比較します。
■性別(男/女)
性別は、登録者全体の男女比に対して、男性が8ポイントほど多くなっています。
■年代
年代は、登録者全体により40~50代の割合が多く、10代と60代以上の割合が少なくなっています。
ただ、男性のみに絞ってみると、20代が7ポイント、50代が5ポイント登録者全体より増えている状態です。ただ40代は、登録者全体より1ポイント減少しており、20代が強いことが男性の特徴となります。
女性のみとなると、40~50代が登録者全体より多くなっています。40代が5ポイント、50代が8ポイントの増加となります。
■未婚/既婚
続いて、購入者が結婚しているのか、子供がいるのかを見てみましょう。
それによって、ひとりで自分用に購入しているのか、家族で食べることも想定して購入しているかが見えてきます。
【全体】
未既婚は、既婚者が登録者全体より11ポイント多くなっています。
男性のみに絞っても既婚者の割合が高く、登録者全体より5ポイント多くなっています。
女性は既婚者が登録者全体より15ポイント多くなっています。
参考までに、先程20代男性の購入者が多かったことから、20代男性の未既婚の割合を見てみましょう。
【20代男性のみ】
既婚男性が、登録者全体より21ポイント多いことが分かります。
■子供の有無
【全体】
子供の有無に関しては、子供がいる購入者が強い傾向が見て取れます。
登録者全体より16ポイント多くなっています。
男性のみに絞っても、子供のいる購入者が強い傾向は変わりません。登録者全体より16ポイント多くなっています。女性のみに絞ると、さらに子供がいる購入者の割合が大きくなります。登録者全体より18ポイント多くなっています。
【20代既婚男性のみ】
先程、20代男性も既婚者が多いことを確認しましたので、20代既婚男性で子供がいる割合を調べてみると、登録者全員に子供がいることが分かりました。
そのため、20代既婚男性は全員子供のいる購入者だったことが分かります。
■職業
職業は、会社員や公務員そしてパート・アルバイトと、仕事をしている方が多いようです。
■年収
年収は、300~400万が少なく、600~700万が比較的多いようです。
「ペプシからあげ専用」購入者層のまとめ
上記のような購入者属性を見てみますと、40~50代の子供のいる家庭で購入されている傾向が強いことが分かります。20代男性の購入層も強く出ていましたが、未既婚・子供の有無を掘り下げると、購入者全員が子どものいる方であったことが分かりました。
「ペプシからあげ専用」は、子供のいる家庭で購入される傾向が強い商品であることが分かりました。
「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」は?
では「ペプシからあげ専用」が、本当に「からあげ」と一緒に買われているのかを調べていきましょう。
「ペプシからあげ専用」が「からあげ」と一緒に買われているかを評価するためには、ベンチマークとなる比較対象が必要です。そのため、まずはベンチマークとして「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」を見てみます。
フェリカネットワークスの「IDレシートデータ」なら、全国3万人の日々のお買い物のレシートデータをもとにしているため、全国200チェーン350万商品の購入情報が分析できます。そのレシートの中で、一緒に買われていた商品が「併買」商品です。
「ペプシからあげ専用」の「からあげ併買率」は?
「IDレシートデータ」で割り出した、ベンチマークとなる「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」は4.9%でした。「コーラ飲料」購入者の4.9%が、「からあげ」を一緒に購入しているということになります。
では、「ペプシからあげ専用」の「からあげ併買率」を見てみましょう。
「ペプシからあげ専用」の「からあげ併買率」は、7.9%でした。
「ペプシからあげ専用」が「からあげ」と一緒に買われたかの結果発表!
「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」よりも、3ポイント高い7.9%ということは、『「ペプシからあげ専用」は、からあげと一緒に買われている』と評価していいのではないでしょうか。
プレスリリースに記載された「“国民食”として愛されているからあげとコーラの相性の良さに着目し」という部分が見事に想定通りの結果となったことが検証できました。
ただ、「からあげ」と相性が良いのは、「コーラ」だけなのでしょうか?
ここからは、「からあげ」と相性の良い飲料を紐解いて、本当に「コーラ」と相性が良いのかを検証していきましょう。
そもそもからあげって、どんな飲料と併買されているの?
「ペプシからあげ専用」は、実際に「からあげ」と一緒に買われていることが分かりました。
ただ「からあげ」は、「コーラ」だけでなく、その他の「炭酸飲料」や酎ハイやビール系飲料などの「スピリッツ・リキュール」といったアルコール飲料とも相性が良さそうです。
「からあげ」が、どんな飲料と一緒に買われているか、調べてみましょう。
スーパーマーケットでは、数日分の食材をまとめて購入するケースが多く、買い置き商品も含まれてしまうため、2021年6月1日~2022年6月30日のコンビニのナナチキ・ファミチキ・からあげクンなどの「からあげ系商品」の併買商品を調べてみました。
ここから取り扱うデータは、「IDレシートデータ」上では「リフト」と称する「からあげとの相性度」です。
一般的な「併買率」は、「同じレシートに記載された割合」なので、本当に同時に購入された割合です。ただ、必ずしも同じレシートでなくても、別の店や別の日に一緒に使いたい商品を購入する場合もあると思います。そこで、同じ家計簿内に「からあげ」が出現する割合を、「家計簿内出現率」として集計しています。その「家計簿内出現率」から「併買率」を引いたものが「リフト」と称する「からあげとの相性度」となります。相性がよい商品を選定する場合には、この「リフト」の数値を参照します。
やはり強いのは炭酸飲料とコーラ、1位と2位となっています。
お酒もTOP10に入りして、スピリッツが4位、リキュール類が9位になっています。
参考までに、商品カテゴリーではなく具体的な商品も確認してみましょう。
上位カテゴリーでは、下記のような商品が併買されています。
■炭酸飲料
・サントリー スーパーC.C.レモンペット350ml
・アサヒ 三ツ矢サイダー ペット 500ml
・チェリオ ライフガード ペット 500ml
炭酸飲料では「サントリー スーパーC.C.レモンペット350ml」が最も多く、からあげ系商品とレモン風味の相性の良さが感じられます。
■コーラ
・コカコーラ OTGボトル 500ml
・コカコーラ コカコーラプラス 470 ml
・コカコーラ ゼロ OGTボトル 500ml
コーラでは、コカコーラ「OTGボトル」との相性が良いようです。
「OTG」は「On the Go」の略で、「移動中の飲用シーン」に適した持ち運びやすさと握りやすさを体現した形状のボトルということですから、今まさに「からあげ系商品と一緒に買って食べて飲みます」という印象を受けます。
■スピリッツ
・-196度C ストロングゼロDRY 缶 500ml
・-196度STガツーンとサイダーサワー 500ml
・-196度C ストロングゼロドライ 缶 350ml
スピリッツ系は、サントリーの「-196度ストロングシリーズ」がTOP3を独占しています。炭酸飲料のTOPも「レモン」味でしたが、ストロングシリーズも柑橘系の味が人気となっているので、酎ハイも柑橘系風味が「からあげ系商品」と相性が良さそうです。
350mlよりも500mlのロング缶が選ばれています。
参考までに、併買商品カテゴリーの3位となっている「その他乳飲料」は、「ザバスミルクプロテイン脂肪0ココア味 430ml」というプロテイン飲料が圧倒的に人気で、上位にランクインしていました。鶏肉とプロテイン、筋トレ好きの購入者というイメージです。
「からあげ系商品」の併買飲料のまとめ
やはり「からあげ系商品」と炭酸飲料・コーラは相性が良く、しっかりと併買されていることが分かりました。商品カテゴリーだけでなく、細かな商品名まで確認すると、柑橘系のサッパリした風味と炭酸のスッキリとした喉ごしが、重視される傾向が見えてきました。
ただ、柑橘系のサッパリした風味と炭酸のスッキリとした喉ごしは、アルコール飲料でも求められていました。少し、アルコール飲料と「からあげ系商品」の併買について、掘り下げてみます。
「からあげ」の併買飲料に、購入時間で違いはあるの?
「からあげ」は、お酒との併買も目立ちました。ただ、お酒との併買は夜間の購入と思われます。日中と夜間帯では、併買商品にどんな差があるのでしょうか。
まずは日中から見てみましょう。
なかなか酒類が上位とならないのは予想通りです。炭酸飲料とコーラが2強となっており、お酒は「スピリッツ」が7位に入っただけとなっています。
続いて夜間帯の19時以降を見てみましょう。
夜間帯になると、1位がリキュール類、2位がスピリッツ、4位にビールとなり、上位に酒類が目立つようになりました。やはり夜は、お酒との相性が良さそうです。
「からあげ」の併買飲料、購入時間による違いのまとめ
上記のように、日中は「炭酸飲料・コーラ」が2強ですが、夜間になると「リキュール類・スピリッツ」とアルコール飲料が2強となり、「コーラ」は日中の2位から夜間は7位となっています。
からあげの併買飲料に、性別や世代差はあるの?
時間帯によって、併買の上位が炭酸飲料やコーラから酒類に切り替わることが分かりました。では、「からあげ」の併買飲料に、性別や世代による差はあるのでしょうか?
からあげ併買飲料の性別差
まずは、男女それぞれの併買飲料を比較してみましょう。
女性は、「果汁100%飲料」「日本茶・麦茶ドリンク」が上位に入ったのに対し、男性はTOP10に入りませんでした。男性の「果汁100%飲料」は14位、「日本茶・麦茶ドリンク」は32位。男性では「栄養ドリンク」が8位に入っています。
女性がビタミンの補給で「果汁100%飲料」、カロリーを気にして「日本茶・麦茶ドリンク」を選んでいるのに対して、男性はガッツリとからあげの後味を炭酸でスッキリと飲み込む印象があります。
からあげ併買飲料の世代差
では、世代によっての違いはあるのでしょうか?
まずは若者を見てみましょう。
【20代以下】
やはり若者は「炭酸飲料」と「コーラ」が圧倒的に強く、2強となっていることが分かります。「ペプシからあげ専用」の目論見が的中しています。
続いて30代です。
【30代】
世代が上がって30代になると、「炭酸飲料・コーラ」はランクダウン。
日本茶・麦茶ドリンクや果汁100%飲料といった健康志向ドリンクが上位となり、アルコール飲料も「リキュール類」が3位で「スピリッツ」が7位とランクアップしています。
続いて40代です。
【40代】
40代になると、健康志向の要素は減少し、「炭酸飲料・スピリッツ・コーラ」がTOP3となり、炭酸との相性がバッチリとなってきます。最初に紹介した「ペプシから揚げ専用」の購入層は、40~50代の子供のいる家庭層でしたから、40代はその傾向とマッチしています。
続いて50代以上です。
【50代】
50代以上のTOPは「スピリッツ」で、6位「ビール」7位「その他アルコール飲料」と、アルコールとの併買が目立ちます。2位の「紅茶ドリンク」も、これまでの世代とは違った傾向が見て取れます。また「コーラ・炭酸飲料」は3位と4位で上位に位置していますが、「炭酸飲料」よりも「コーラ」のほうが相性いいことが数値から分かります。
「からあげ」の併買飲料、性別や世代による違いのまとめ
このように、性別や年代で「からあげ」の併買飲料を比較してみると、かなりの違いがあることが分かりました。
ただ、共通して見えてきたのは、『「からあげ」と「コーラ」の相性の良さ』です。
冒頭で、「ペプシから揚げ専用」が実際に、「からあげ」と一緒に買われていることを検証しましたが、「からあげ系商品」という食品から見た併買状況でも、概ね「コーラ」は上位に位置しています。
商品開発時に、このようなマーケティングデータを活用したのでしょうか。「ペプシから揚げ専用」というピンポイントなフードペアリングのコンセプトは、見事に的中したようです。
まとめ:「ペプシからあげ専用」は、からあげと一緒に買われているのか?
「ペプシからあげ専用」の「併買」商品を、「コーラ飲料全体」の「併買」商品と比較すると、「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」が4.9%なのに対し、「ペプシからあげ専用」の「からあげ併買率」は、7.9%でした。
「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」よりも、3ポイント高い7.9%ということは、『「ペプシからあげ専用」は、からあげと一緒に買われている』と評価できそうです。
プレスリリースに記載された「“国民食”として愛されているからあげとコーラの相性の良さに着目し」という部分が見事に想定通りの結果となったことが検証できました。
また、「からあげ」がどんな飲料と併買されているのかも調べてみましたが、やはり「炭酸飲料・コーラ」は人気の併買商品となっていることが分かりました。ただ、「からあげ」の併買商品は、購入時間帯や性別・年代によって異なることも見えてきました。
高カロリーな「からあげ」と一緒に飲む飲料は、女性は栄養やカロリーを気にしているのに対し、男性はスッキリとした炭酸の喉ごしを求めているようです。
そして若者は、「からあげ」の併買商品として「炭酸飲料・コーラ」といった喉ごしを優先しているのに対し、30代になると栄養やカロリーを気にしている様子や「アルコール飲料」のニーズが高まってくる様子が分かりました。「リキュール類」や「コーラ」の炭酸系飲料も併買されていることが分かり、喉ごしを重視していることが伝わります。40代と50代も、アルコール飲料の「スピリッツ」の人気が高いという点で若者とは異なる傾向があるものの、「コーラ・炭酸飲料」は上位に位置していました。
このように、当社フェリカネットワークスの「IDレシートデータ」を活用すれば、自社の商品とどの商品が同時に購入されているのか、さらに男女や年代で掘り下げるとどのような特徴があるのかといったデータ分析が可能となります。メーカーでは入手が難しいコンビニでの購入状況も、購入者属性と紐づけて分析ができますし、JANコードを持たないコンビニのカウンターフードなどの購入データも活用できるため、分析の幅が広がります。
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