フォーカスグループインタビューをする様子

フォーカスグループインタビューとは何か?メリットや例を紹介

フォーカスグループインタビューは、性別や年齢といった共通する属性で小規模グループを作成し、座談会形式でインタビューを行うマーケティング調査手法のことを指します。

顧客のリアルな意見を聞くことができ、自社製品に対する評価や潜在的なニーズなど、多くの情報を集めることが可能です。
この記事では、フォーカスグループインタビューの基礎知識をしっかりと押さえた上で、実施の手順や例についても解説します。
フォーカスグループインタビューで意見を出す人々

フォーカスグループインタビューとは、共通する属性(性別や年齢など)の小規模グループを作成し、グループ単位でインタビューを行うマーケティング調査手法のことです。
参加者が気軽に意見を交わし合う座談会形式で行われ、「商品やサービスの評価」「潜在的なニーズ」「消費者インサイト」など幅広い情報を集めることが可能です。
フォーカスグループインタビューの対になる手法として、インタビューの対象が1人のデプスインタビューという調査手法もあります。
デプスインタビューは、大勢の前では話しにくい、お金・家庭環境・身体に関するようなパーソナルなテーマに適しており、
対となるフォーカスグループインタビューは、パーソナルなテーマではなく、グループで話しやすいテーマに適しています。

フォーカスグループとは、定性調査(=数値化できない動機や感情を探るための調査)で代表的に用いられるマーケティング調査手法です。
フォーカスグループには「探索型」「分析型」「体験型」の3種類があります。
探索型は、仮説や問題の発見・定義付けを行うために用いられます。
分析型は、隠れた消費者インサイトなどの、動機や感情を把握するために用いられます。
体験型は、商品やサービスを実際に利用してもらい、感想や改善点を知りたい場合に用いられます。
必要とする情報や調査の目的に合わせて、フォーカスグループを作成すると良いでしょう。

①商品やサービスの改善点を発見できる
フォーカスグループインタビューは、商品・サービスを利用している人から生の声を聞くことができる調査手法です。
インタビュー対象者の率直な意見を聞くことで、商品やサービスの改善点やニーズを新たに知ることができます。

②デプスインタビューでは得られない発想・より広い見解・改善案を収集することができる
フォーカスグループインタビューは、座談会形式で行われるため、1人の意見が議論や他の参加者の共感を生み出すこともあるでしょう。
参加者間でそのような相互作用が働き、テンポ良くインタビューが進むことが想定されます。
単独でのインタビューと比較してもアイデアが出やすい環境であるため、より多くの情報やヒントを収集することができるでしょう。

③短時間・低コスト化の実現
一般的にフォーカスグループインタビューは、1グループ4〜8人程度で実施されます。
複数人まとめて同時にインタビューを実施できるため、短時間で多くの人からアイデアを獲得することができます。

④属性ごとに実態や評価の違いを考察することができる
フォーカスグループインタビューでは、性別や年齢、ライフステージなどの属性ごとにインタビューを行うため、属性による実態・評価の違いを比較・考察することが可能です。
より効果的な考察を行いたい場合、フォーカスグループインタビューの実施前に、収集したい情報に適合する属性のグループ分けをしておくことが重要です。

①参加者個人の深い心理を知ることには適していない
フォーカスグループインタビューはその特性上、初対面の人同士がグループになって話し合います。
そのため、緊張や遠慮、見栄や羞恥といった感情で上手く自分の意見を伝えられなかったり、本音を隠してしまう参加者が出てくる可能性もあるため、深い事柄について知るには適していないという特徴があります。

②議論が思うように進まない場合がある
参加者同士の相性もあるため、グループによっては場が盛り上がらず、議論が思うように進まないケースがあります。
意見を述べた人に対し、攻撃的な態度を取らないことや、発言者の偏りを発生させないなどの雰囲気作りが重要です。

③対象者を正確に選定できない場合がある
事前にインタビュー対象者をスクリーニングしていても、失敗は起こり得ます。
対象者が想定していた層とかけ離れていた、といった失敗を防ぐためにも、インタビューの実施目的を明確にして、計画的に適正な対象者の選定を行えるようにしておきましょう。

④バイアスが生じやすい場合もある
フォーカスグループインタビューでは、場の雰囲気や条件、インタビュアーなどからバイアスが生じてしまうケースがあります。
【バイアスの例】
⚫️ インタビュー実施が平日お昼の場合:サラリーマンなど平日お昼に働いている人の参加が少なく、学生や主婦の参加が多い。そのため、学生や主婦の意見に偏ってしまう可能性がある。
⚫️ 参加者に高学歴高収入の世帯が多い:一般的な層の意見を聞くことが難しい。
⚫️ インタビュアー:インタビュアーの質問や議論の進め方によって、インタビュアーが理想とする結論へ誘導してしまう可能性がある。

ステップアップ

まず初めに、企画立案を行います。
「何のためにフォーカスグループインタビューを行うのか?」といった目的を明確に設定し、参加者から得たい情報や、かける予算などを検討します。
インタビューの実施について、社内リソースを割く場合と、調査会社へ依頼する場合とがあります。
会社の体制的に余裕がない・ノウハウに自信がないといった場合には、適切な調査会社の利用を検討してみるのもおすすめです。

次に、フォーカスグループインタビュー実施の目的に合う対象者を選定します。
実施目的と照らし合わせ、「インタビューを実施したい人とはどのような属性なのか?」といったことを検討します。
【属性の例】
⚫️ 年齢
⚫️ 性別
⚫️ ライフステージ:独身・既婚、子供の有無、子供の年齢
⚫️ 商品/サービスの使用状況:ヘビーユーザー層、ミディアムユーザー層、ライトユーザー層
特に、商品やサービスの利用状況をもちいて属性わけをする際には、各顧客の購買データやレシートの記録などをアプリなどから活用する事でより正確な選定を行うことができるでしょう。

インタビュー対象者の選定後は、実際に対象者を集めるフェーズです。
インタビューを実施する日程を決めたり、グループ分けを行います。
1グループあたりの人数は4〜8人、所要時間は90〜120分の間で行われることが多く、現在はリモートで開催されるケースも増えているので、参加者や企業の都合に合わせた手法を検討すると良いでしょう。
またこの際対象者に対し、本当に参加可能であるかを事前に電話等で確認しておくと安心です。

いよいよ当日です。
事前に設定していたグループごとにインタビューを実施します。

インタビューのトーク

◆フォーカスグループの種類
体験型
◆目的
自社製品(お菓子)が各年代ごとでどのように利用されているのか、その利用シーンや感想、改善点についてインタビューを行う
◆グルーピング
30〜49歳の主婦層
20〜30歳の男性
◆インタビューの結果
30〜49歳の主婦層:普段の自分用のおやつ、子供用のおやつとして消費している
20〜30歳の男性:お酒を飲む際のおつまみとして消費している
◆総評
年代と性別でグルーピングを行うことによって、各属性における自社製品のニーズを把握することができた

◆フォーカスグループの種類
分析型
◆目的
利用しているブランドごとに、「なぜそのブランド商品を買いたいと感じるのか」「どのような要因によって購買を決定したのか」についてインタビューを行う
◆グルーピング
自社ブランド“X”利用者
自社ブランド“Y”利用者
競合他社利用者
◆インタビューの結果
購買決定の因子は「チラシ広告」や「テレビ・YouTubeの広告」だった
◆総評
広告の打ち出しや、効果が高い広告市場について検討することで、商品の売り上げ向上を促進することができる。

効果的なフォーカスグループインタビュー実施の鍵を握るのは、グルーピングです。
グルーピングを的確に行うためには、インタビュー実施の目的に合った対象者を選定しなければならない、ということはお伝えした通りです。

適切なインタビュー対象者選定のヒントとなるのが、顧客の購買データです。
しかし、膨大で多岐にわたる購買データを入手・精査するのはなかなか難しいかと思います。
そこで、役に立つのがフェリカネットワークスのIDレシートBIツールです。

IDレシートBIツールは、レシートデータを用いて、流通チェーンやカテゴリの制限なく、横並びでのチェーン比較分析やバスケット分析(=同時に購入された商品の分析)を行うことができるツールです。
加えて、他社にはない外食チェーンやバーコードのない商品の購買データまで確認することができるという強みもあります。
また、IDレシートBIツールは、どの層の顧客がどのような商品を好んでいるのかといったリアルな購買データも収集しているため、正確で説得力のあるデータを把握することが可能です。
こうした機能を活用することで、あらゆる属性での正確なグルーピングも可能になります。

この記事では、フォーカスグループインタビューの基礎知識やメリット・デメリット、実施の流れ、実施例、属性とグルーピングのポイントについて解説しました。
フォーカスグループインタビューは、小規模グループで議論を行なってもらうことで、顧客のリアルな意見を聞くことができるマーケティング調査手法です。
上手くフォーカスグループインタビューを活用すれば、製品の売り上げ向上や、新しいニーズの発見などにつなげることも可能です。
効果的にインタビューを実施するためにも、目的の明確化や、適切なグルーピングなど、しっかりと計画を立てるようにしましょう。

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