既存顧客

既存顧客を維持する方法、
既存顧客への効果的なアプローチ方法を徹底解説

既存顧客の維持は、企業の売上の基盤をつくると言われています。この記事では、そもそも新規顧客開拓との違いや、既存顧客を維持することの重要性、そして、既存顧客への具体的なアプローチ方法などを、網羅的にわかりやすく解説しています。今後、売上アップのヒントを探している方は、ぜひ参考にしてみてください。

新規顧客とは、その名の通り「過去に取引履歴のない顧客」を意味します。「新規顧客を開拓する」とは、それまで自社の商品・サービスを認知していない層へアプローチし、購入・契約するまでの一連のマーケティング・営業活動を指します。

新規顧客を開拓するための営業手法には主に「プッシュ型」と「プル型」がありますので、それぞれ解説します。

プッシュ型:テレアポ(見込み顧客への電話営業)やダイレクトメール(メールやチラシの送付)など、自社からアプローチをする方法。

プル型:見込み客が興味を持ちそうな情報発信を行い、顧客側から問い合わせてもらうように仕掛ける手法。SNSでの情報発信やセミナーの開催などがその例です。

存顧客の維持

既存顧客の維持とは、すでに取引履歴のある顧客に対して、自社商品・サービスの購入・契約をリピートしてもらうための営業活動です。

商品・サービスの再購入・契約更新を促す販促施策に加えて、自社やブランドへの好意度・信頼度を高めるための施策を実施し、既存顧客と良好な関係性を構築していきます。既存顧客自身が再購入や契約更新をして売上を作ってくれるだけでなく、既存顧客からの紹介で新規顧客の獲得につながることもあるでしょう。

ときに、新規顧客開拓に注力している間に既存顧客の維持が蔑ろになってしまうケースも少なくありませんが、売上を高めていく上で、既存顧客の維持は新規開拓と同様に大切にしていく必要があります。その理由は次章で詳しく解説していきます。

新規顧客の開拓と同じぐらい大切にしたい既存顧客の維持。なぜ、既存顧客へのアプローチが欠かせないのか、その理由は主に以下の3つです。

まずはマーケティング・営業にかかるコストが低い点が挙げられます。一般的に、新規開拓営業のコストは既存顧客への営業コストの5倍かかると言われています(1:5の法則)。

新規顧客を開拓しようとすると、営業先のリストアップから始まり、初回アポイントの獲得、その後、何度も商談を重ねてやっと取引につながるという、時間もコストも労力もかかるプロセスを経なくてはなりません。

それに比べて既存顧客の場合は、すでに連絡先は入手済みの状態で、商材の特長への理解もある状態なので、新規顧客へのアプローチよりもコストが低く抑えられることは容易に理解ができるでしょう。

良好な関係性を築けている既存顧客は、同商品・サービスの再購入や契約更新だけでなく、類似品や新商品を購入したり、関連サービスを新たに契約し、売上アップに貢献してくれる可能性もあります。

長年に渡って何度もリピートしている既存顧客の場合、商材だけでなく、企業やブランド自体への愛着が醸成されていることが多く、新商品・サービスの情報を受け取るだけで「この企業の新サービスなら試してみたい」「このブランドの新商品なら買ってみたい」と思ってもらえることがあるのです。

自社商品・サービスを購入・契約後、クレームもなく、支払いが完了している既存顧客の場合は、次回の購入時も同じようにトラブルなく営業活動を行える可能性が高いといえるでしょう。

新規顧客の場合は、どんなトラブルに発展するか予測が難しい側面がありますが、既存顧客であれば、「この顧客は信頼できる顧客である」とある程度判断がつくというメリットがあります。

既存顧客の中でも、商品・サービス、または企業やブランドへの信頼が得られている顧客の場合は、自発的に周囲へ推奨してくれたり、SNSやWebサイト等で良質なクチコミを発信してくれたりする可能性が高まります。結果、その顧客経由で新規顧客を獲得することも大いに見込まれるでしょう。

このように売上向上の鍵を握る「既存顧客」は、どのように維持をしていけば良いのでしょうか?

顧客からの問い合わせ等に、可能な限り迅速に対応していくことで信頼関係は深まります。反対に電話でたらい回しにされたり、回答を得るのに何日も待たされたりすると、顧客は不満を募らせることになります。

質疑応答の履歴を管理して、よくある質問には素早く回答できる体制を整えたり、処理中の問い合わせを管理できるツールを導入するなどにより、スピーディーな対応を心がけましょう。

次に大切なのは、顧客のニーズをしっかりと把握した上で、提案やサポートを提供することです。既存顧客をひとくくりにせず、購入動機、商品・サービス購入後の活用度合いや満足度などを分析し、次の営業活動に活かすことで、より精度の高いアプローチが可能になります。

逆に顧客心理を理解せず、的外れな提案やサポートを行ってしまうと、信頼関係を失い、顧客離れにつながります。顧客一人ひとりの状況に合わせた営業活動は欠かせません。

商品・サービスを「購入・契約してよかった」と思えるようなアフターフォローを心がけましょう。例えば、オフィス機器のメンテナンス体制を整えたり、導入済みシステムのカスタマーサポートを充実させたり、購入したアパレル商品のコーディネート提案をメールで案内したりすることで、商品・サービスの価値を十分に感じられると、顧客満足度が高まり、再購入や契約更新の可能性は高まります。

この記事では、既存顧客との良好な関係性維持のための様々な方法を紹介していますが、これらを成功に導くには、顧客分析が必要です。購入動機、商品・サービス購入後の活用度合いや満足度などが異なる既存顧客に対して、同じアプローチをするよりも、顧客を分類し、それぞれの顧客像にあった施策を実施することで効果を最大化することができます。

「この顧客はこんなことで困っていそうだな」と仮説を立て、営業施策を実施・検証しながらその精度を高めていきましょう。

ここからは、既存顧客との良好な関係を構築するための具体的なアプローチ方法3つを紹介していきます。

まずは基本となるのが、定期訪問です。購入・契約後、その顧客との接触がない状態が続いていると、いつの間にか競合他社の商品・サービスに切り替えられていた、ということもあり得ます。

このような機会ロスを防ぐために、既存顧客を定期訪問し、顧客の状況を探る努力は欠かせません。顧客数が多い場合は取引額等を基準に優先順位を決め、訪問計画を立てておくと抜け漏れが防げるため安心です。

定期訪問の重要性はわかっていながらも全顧客を訪問することが現実的でない場合は、ダイレクトメールや電話でのアプローチも効果的です。キャンペーン情報や販促情報だけでなく、時折、雑談や日常のエピソードなども織り交ぜることでDMや電話でも、訪問と同じような温かい印象を残すことができます。

ロイヤルティプログラムとは、「購入金額が高い」「サービス利用頻度が高い」といった優良顧客を優遇するための施策です。一定条件を満たした顧客に対して特典を与え、リピートを促すことで売上向上を目指します。

このプログラムに参加した顧客側も「自分はこの商品の愛用者である」というアイデンティティを抱くようになり、商品・サービス、ひいてはブランドや企業への愛着が増していくメリットがあります。プログラム導入には綿密な戦略設計が必要ですが、成功時のリターンは大きいと言えるでしょう。

既存顧客の売上を向上させる方向性には、①購入頻度を高める、②客単価を上げる、の2つがあります。それぞれ確認していきましょう。

半年に1回購入していた顧客に対し、3ヶ月に1回の購入を勧めるなど、購入頻度を高めることで売上アップにつなげます。リピートしてもらうには、顧客ニーズを把握しタイムリーに販売促進を行うことが大切です。前回の購入から次の購入タイミングを予測したり、季節に合わせた案内や、誕生日等の特典の案内など、顧客一人ひとりの状況に合わせた営業活動ができるとリピート率は高まります。

普段利用しているサービスのワンランク上を案内したり(アップセル)、購入商品と合わせて利用できる関連商品を案内したり(クロスセル)、普段とは違うサービスのお試しを促したり(クロスセル)することで、売上を向上させる方法です。

営業センスや経験値のある担当者ならば「この顧客に何を提案すれば良いか」が感覚的に判断できることも多いと思いますが、属人的な判断に任せずチーム全体で売上向上を目指すのであれば、購買データを分析し、「商品Aを購入した人は、商品Bも購入している」とエビデンスを見出して、営業方針を決めていくと良いでしょう。

リピートや、アップセル・クロスセルを効果的に行うために、顧客データや購買データの分析をする方法は様々あります。ここでは、その一例として、IDレシートデータを活用する方法をご紹介します。

「IDレシートデータ」は顧客情報を記録・管理するシステムで、業態や店舗、カテゴリーを横断して購買データを分析することができます。既に3万人の購買データを有しており、顧客の日々の行動履歴が網羅的に分かるので、既存顧客の比率や傾向を分析できます。
傾向については、例えば顧客が「いつ」「どこで」「何を」「どれだけ」購入したかが分かり、また、購入に至った経緯を仮説立てすることもできるでしょう。

以上、既存顧客の維持がいかに企業の売上向上に貢献するかを解説し、その具体的な手法を紹介してきました。どの手法も初めて導入する際、わからないことが多いと思いますが、特に顧客分析には、データ抽出のためのシステム導入や分析のノウハウが必要になってくるため、サポートが充実したシステムを利用し、適切なアドバイスをもらいながら進めると効率的です。ぜひお試しください。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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