【事例】ペルソナマーケティングとは?従来とこれからのペルソナ分析の違いもご紹介!

ペルソナマーケティング

消費者の好みやニーズ、ライフスタイルが年々多様化している中、限られた属性による画一的で曖昧なターゲット設定では、売上に貢献しづらくなってきています。ペルソナマーケティングは、ターゲットとなる人物像を詳細まで描くことで、商品やサービスを本当に届けたい顧客が絞り込まれ、狙ったターゲットのニーズを満たしやすくなる手法です。ペルソナ設定により戦略がぶれにくくなるため、顧客に商品の魅力が伝わりやすくなります。今回は、ターゲット設定とペルソナ設定の違いや、ペルソナマーケティングによりヒット商品を生み出した企業の事例、進化するペルソナ分析の手法について紹介します。

ペルソナマーケティングの「ペルソナ」は、企業が提供する製品やサービスの典型的な顧客像を指します。ペルソナマーケティングは、自社の商品やサービスに合致するペルソナを設定し、ペルソナのニーズを満たすような商品やサービスを設計するマーケティング手法です。
ターゲット設定の方が一般的には馴染み深く混同しやすいため、両者の違いについて説明します。ターゲットは年齢や性別、趣味や思考といった属性、購入頻度や来訪回数などでセグメントしますが、ペルソナは、名前や勤務先、職種、居住地、家族構成など個人を特定する細かな情報のほか、使用アプリやサービスまで定義します。

例)
【ターゲット】
・女性(F2層)
・30歳代
・既婚
・正社員

【ペルソナ】
・田中 和美(仮名)
・女性
・37歳、既婚
・夫(33歳)、小学1年生女児、ミニチュアダックス(オス)と住む
・東京都調布市在住(賃貸マンション)
・両親は東京都、夫の実家は長野でペンション経営
・私立大学文学部を卒業し、広告業界の大手企業に就職、30歳で結婚
・テレワークで勤務
・年収400万円、夫の年収600万円
・趣味はカフェ巡り、フラワーアレンジメント
・インスタでカフェ巡りの記録や趣味で作ったものを日々更新、お気に入りのカフェはGoogleマップで口コミを投稿

ターゲットを深く定義して絞り込むことは、一見、多くの顧客を逃すことにつながると捉えやすいですが、ペルソナに刺さる商品やサービスは、魅力が際立ち、多くの人に支持されやすくなります。また、一貫したメッセージや価値は、商品への期待感を高めたり、ファン化醸成にも効果的です。具体的なメリットを3つ紹介します。

①顧客について細部まで共通認識が持てる
ペルソナが確定すると、セールスやマーケティング、プロダクトなど部門共通で共通した顧客像を思い描けるため、すれ違いが起きにくくなります。施策の度に顧客像を見直す必要がなくなり、無駄な議論やトラブルを削減できます。

②顧客ファーストのプロダクト開発やマーケティング施策を実行できる
ペルソナ設定は、あたかも既に存在しているかのように人物像を細部まで落とし込むため、顧客の心理状態までイメージしやすくなります。たとえば、先ほどペルソナで定義した女性に広告を出す場合、子供が登校前の午前7時~8時は気持ちに余裕がなく、広告に興味が湧きづらいと予測でき、子供が学校にいる時間帯に出稿するべきと判断できます。

③検討や意思決定がスピードアップする
顧客像の明確化は意思決定スピードを加速させ、的を絞り効率的な施策を実行できるようになります。社内に限らず、社外関係者に対しても具体的な顧客像を共有でき、提案力を向上させられるでしょう。

ペルソナマーケティングは、企業規模に関わらず取り入れられる手法です。ここでは、ペルソナマーケティングを活用し、ビジネスに成功をもたらした消費財メーカー3社の事例を紹介します。

味の素では従来、顧客の性別、年齢、居住地域、所得、職業、学歴などで分析し、消費傾向を見出していましたが、顧客ニーズの複雑化により、これらの属性以外にもライフスタイルや行動、意識などに踏み込んだリサーチを実施するようになりました。

2015年に発売開始した『ザ★チャーハン』は、「男性ががつがつ食べられるチャーハン」をコンセプトにした商品です。ロングセラー商品であった『五目炒飯』に比べ具材はシンプルにし、焦がしニンニクなどで香ばしさを強調しています。また、中華料理店並みの量に変更し、パッケージも黒地に金文字で特徴を書くなど、狙いを定めた商品開発で見事にヒットしました。この成功から、同様のペルソナに向けた商品「ザ★シューマイ」の開発に着手したようです。

コーポレートサイト:https://www.ffa.ajinomoto.com/

アサヒビールの発泡酒『アサヒ クールドラフト』も、綿密なペルソナ設定が安定した売上につながっています。開発当初、発泡酒市場では健康志向の商品に注目が集まり、定番商品の売上が低迷していましたが、同社は敢えて定番系発泡酒の販売に力を入れ、長く愛飲するであろう顧客への訴求を強化しました。 過去の定量的なデータ分析から、ペルソナを「30代後半以上の男性」にフォーカスし、さらに、個別インタビューでライフスタイルや目標など内面をヒアリングしました。その結果、都内在住の44歳自営業者、その他年収や家族構成までペルソナを具体化し、商品名やパッケージデザインにも活きています。

コーポレートサイト:https://www.asahibeer.co.jp/

スナック菓子は、ターゲットを明確にせず、一般受けする商品を開発する傾向が強いですが、カルビーの『ジャガビー』は「文京区に暮らす27歳の女性」というペルソナを基に、パッケージやマーケティングを工夫した商品です。 同社では、20〜30代の独身女性のうち、3割がスナック菓子から離れてしまうというデータから、みんなが好きなお菓子では獲得できないと察知し、個別にペルソナを定義しました。27歳の独身女性で文京区在住、ヨガとスポーツに凝っている人物を想定し、パッケージは部屋に置いても違和感のないデザインを施し、テレビCMでは女性ファッション誌「Oggi」で活躍するモデルを採用しました。ジャガビーは、想定以上の売上で一時生産が追いつかなくなるほど大ヒットしました。

コーポレートサイト:https://www.calbee.co.jp/

ICTの技術革新により、ペルソナマーケティングは高度化しつつあります。従来は、顧客へのインタビューやPOSデータなどの購買履歴を基に分析し、ペルソナ設定につなげるのが主流でしたが、近年では、より「人」にフォーカスし、何を目的に、どんなルートで店舗を回っているのかなど、心理や一連の行動傾向まで把握できるようになってきています。たとえば、複数業態やカテゴリを横断したデータを取得することで顧客の嗜好性を深く理解できたり、顧客と親和性の高い商品から、有効なコラボレーションが見込める企業を選定できたりと、幅広い分析が可能です。実際に、味の素冷凍食品株式会社やアサヒビール株式会社では、顧客を軸に横串でデータ分析し、ペルソナマーケティングに活かしています。

POSデータで分析できるのは特定チェーンの購買行動のみ。顧客のし好や市場の実態をより把握するには、IDレシートの活用がおすすめです。IDレシートからは、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を、家計簿アプリから分析できます。

「膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかる」とお悩みの方はBIツールの導入を検討してはいかがでしょうか。「IDレシートBIツール」は独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。



「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

現代は個々の消費スタイルの変化が激しい時代だとされています。企業が継続して利益を出すためには、顧客のニーズをきちんと把握することが大切です。POSデータやIDレシートデータなどの情報を有効活用することで、マーケティングの精度を高められます。なかでも、IDレシートデータは顧客の性別・年代・属性など、個人の購買情報を横断的に得られることが魅力です。有効なデータ分析を行い、顧客の動向をしっかりと把握しましょう。

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