「顧客理解」のための手法

「顧客理解」のための手法

現在売上が伸び悩んでいる、顧客がすぐに離れてしまうと悩んでいる方もいるでしょう。企業視点ばかりで商品やサービスを提供し続けると消費者のニーズからずれてしまい、思うように売上が伸びないリスクがあります。そこで、ここでは顧客理解の重要性と手法をご紹介します。顧客視点を取り入れられていないと悩む企業は、この機会に顧客理解を深め、マーケティング戦略に生かしてみてはいかがでしょうか。

顧客理解とは、売上アップや顧客の囲い込みをするために顧客を理解しようとする取り組みのこと。企業視点だけで顧客を増やそうと試みても、商品やサービスが顧客に求められていなければ、リピーターになってもらうのは難しいですよね。自社の強みを生かした商品やサービスを提供するのはもちろん、顧客のニーズに沿った価値を生みだす必要があります。顧客に対する理解を深め、顧客が真に求めるバリューと企業が提供できるバリューがぴったりと一致するようなマーケティング戦略を立てることが大切です。

たとえば、大手ECサイトでは顧客理解を深めることで「すぐに届く」「何でも購入できる」というバリューを持たせています。顧客からもサイトの価値がひと目で分かるように工夫されていますので、すぐにでも商品を手元に欲しい消費者が集まりやすいです。また、何でもそろっていることで目当てのものがどこで売っているか分からない、と悩んでいる消費者まで丸ごと獲得するのに成功しています。顧客理解を深めておくと、消費者にとってちょうどいいサービス、需要があるサービスを展開しやすいといえるでしょう。

顧客視点は、競合他社に打ち勝つためには必要不可欠な考え方です。かつて、日本の高度成長期では大量生産に着手したばかりで、差別化を図る、あるいは良い品質にするだけで商品やサービスは飛ぶように売れました。ところが、各社が売るためにしのぎを削った結果、現代では顧客ニーズを理解しないと売れる商品やサービスの開発はできないともいわれています。

実際に、Webサイト上での顧客の動きをチェックするログ分析を行ったり、ターゲットを定めるのにペルソナを設ける企業が増えています。ログ分析やペルソナ設定を行えば、今まで逃していた客層まで獲得できるチャンスを得られるでしょう。潜在層から明確層までステップアップさせるときの変化を表すカスタマージャーニーマップも顧客のニーズをくみ取る方法として広く活用されています。

このように、顧客視点をマーケティングに取り入れなければ、激しい市場競争が繰り広げられる中で自社が勝つのは難しいでしょう。世界的に有名なアメリカの経営学者であるF・コトラー氏も、自著を通して顧客視点のマーケティングが大切であることを説いており、「製品やサービスによって、顧客がなりたい自分、あるべき姿を発見できるようなマーケティングをするべき」と提唱しています。顧客視点を取り入れると、企業やブランドのファンを獲得することにつながります。顧客をファンへ昇華できると、企業側から働きかけなくても周りへ商品を薦めてくれたり、SNSで広めてくれるようになるでしょう。

顧客視点がマーケティング戦略で重宝されるワケは、顧客のニーズから生まれたサービスは自然とターゲットを絞り込めるところにあります。仮に、顧客のニーズから「すぐ買える」という価値をサービスにつけた場合、おのずと買い物に行く時間が取れない忙しい人が集まるようになるでしょう。また、「何でも購入できる」という付加価値をつけたときは、自然と1カ所で買い物を済ませたいと考える人たちが使ってくれるようになるはずです。顧客セグメントがしやすくなりますので、顧客視点で考えることを日頃から意識してみましょう。

では、顧客視点を取り入れるには、具体的にどのように顧客の声をうまく拾い上げればいいのでしょうか。ここからはリアルな声を聞く方法・購買データの分析方法の2つをご紹介します。

顧客の声を拾うには、インターネット調査・郵便調査・グループインタビューのように、リアルな意見を聞かせてもらえる方法を取り入れたいところです。インターネット調査は多くの人の意見を短期間で集められるため、調査にかけるコストを抑えられるというメリットがあります。とはいえ、信ぴょう性にかける答えや回答者に偏りが出るリスクがあります。一方で、郵便調査の場合は指定した人に直接アンケートのお願いができますが、手間がかかるので回答率が低くなる恐れがあるでしょう。

グループインタビューは、インターネット調査や郵便調査に比べると直接問いかけますので、生の声を拾い上げられます。しかし、人数を集める手間があったり、数人で話し合うためテーマが限られるなど、実施するのに縛りがある点は留意したいポイントです。それぞれ一長一短があり、用途に合わせて適したアンケートを行うのが良いでしょう。意外に企業が問題点だと考えているところが好感触であったり、反対に気づいていないところでダメ出しされるなど、思わぬ収穫を得られることがあります。

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購買データを分析すると、普段アンケートに回答しない客層の声まで拾い上げられます。コンビニエンスストアなどのチェーン店では、POSデータを調べて売れ筋・トレンド・ついで買いといった仕入れやレイアウトに活用できる情報を手に入れています。

購買データの分析をすれば、顧客理解を深めたり、顧客満足度を上げるための施策が打ちやすくなります。顧客満足度は、商品やサービスを購入するまでの体験によってアップするといわれています。ネットで商品を調べる・実店舗やECサイトで商品を買う・使い終わってから口コミを投稿するといった一連の流れは、すべて顧客体験に含まれています。購買データを集められれば、消費者にどのタイミングで宣伝し、購入を促せばよいかが分かりやすくなります。顧客との接点を増やすことにもつながるため、効果が分からない広告を打ち続けるよりは販売チャンスが巡ってきやすいでしょう。

しかし、直接POSデータを入手できないメーカー・マーケティング会社・広告代理店の方も多いはず。さらに購買データを、購入者の年齢層・性別・趣味嗜好(しこう)などのプロファイルデータと掛け合わせて分析できたら嬉しいのではないでしょうか。

そんなデータが欲しいと思った方は、ぜひ最後までお読みください。販売店でなくても購買データを活用できるアイディアを後程ご紹介します。

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顧客理解の4つの分析方法

顧客のリアルな声を商品やサービスに反映するには、顧客データの分析が欠かせません。ここでは、どのような分析方法があるのか、メジャーな方法を4つご紹介していきます。

RFM分析は顧客をグループごとに分けて、熱量の高いファン層を見つけるための方法です。最新購入日(Recency)・購買頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)の3つに分けることで、優良顧客をチェックできます。3つの条件を満たす、購入日が浅くてかつ購入の金額や頻度が高い消費者ほど、優良な顧客であるといえます。分析によって、優良顧客、もう少しで優良顧客になるランクアップが期待できる顧客、離れるのを防ぎたい顧客がハッキリするでしょう。顧客の熱量に合わせてマーケティング施策が打てますので、競合他社に流れるのを防げるほか、売上アップが期待できます。

RFM分析を使いこなすと、来店が少し遠のいている顧客に対してアプローチをかけられます。キャンペーン施策を打って呼び込んだり、アンケートのお願いをして離れてしまったきっかけを探ることが大切です。離れそうな顧客から優良顧客までを対象にアプローチできますので、すでに離れた戻ってくる見込みの薄い顧客に対してかけているコストを削減できるでしょう。

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セグメンテーション分析は、顧客の属性や特徴を似たもの同士で分けて調べる方法です。よく用いられるのが「地理的変数」のセグメントで、消費データを地域や気候で分けることで、売れるときの条件を導き出します。たとえば、寒い地域や季節より暑い地域や季節の方がスポーツドリンク・香辛料・日焼け止めはよく売れますよね。地域や気候に合ったものを用意しておくと、販売チャンスを逃さずに済むでしょう。他にも、消費者の年齢・性別・家族構成・職業といった人口動態変数によるセグメント化もよく行われます。ビジネスパーソンに売れるのか、若者に売れるのかによっても、マーケティング戦略は大きく変わります。分析によって、消費者へのアプローチ方法が決めやすくなるでしょう。

セグメンテーション分析によって、成功した企業はたくさんあります。たとえば、オフィス街・ビジネスパーソン・非対面での購入をセグメントした企業は市場を拡大するのに成功しました。自動販売のお菓子をオフィスに設けて、コンビニエンスストアまで出向くのが面倒だと感じる層を獲得し、売上をアップさせたのです。こちらの企業のように、セグメントによって新しい価値を見いだせるケースがあるため、属性や特徴に分けてデータを調べるというのも大切な取り組みだといえます。

デシル分析は、顧客の購買金額が高い順にソートして1~10デシルの10段階にランクづけし、購入比率・売上構成比率を調べる方法です。各グループの購入金額を出して、全体の何パーセントに当たるのかを求めます。優良顧客であるデシル1~3までが売上の80%を占めているなど、売上に貢献している人数を調べることができます。長いスパンのデータを用いると、ここ最近はまったく購入していない消費者の金額まで反映されてしまうため、期間を絞ってソートするのがおすすめです。

デシル分析は優良顧客をハッキリとさせて、売上につながる層へ積極的にアプローチするのに役立ちます。というのも、マーケティング戦略では2割いる優良顧客が、売上の8割を占めていると考えられているからです。企業の成長を下支えしている優良顧客をメインに力を入れられるため、より効率的に売上アップを目指していけます。

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コホート分析は、共通の属性を持っている顧客をグループ化し、長期スパンの移り変わりを調べる方法です。サブスクリプションビジネスやECサイトなどで、消費者のリピート率をチェックするのに使われています。消費者を獲得した日と減少した日のデータから、消費者が離れるタイミングを確かめらます。たとえば、獲得してから1週間後に離れてしまう人が多いのなら、5日目などにキャンペーンを打つことでそれを防げるようになるでしょう。解約率を下げるために、時間の経過による顧客心理の移り変わりをチェックしておく必要があります。

ここまでお読みいただき、「直接POSデータは入手できないから...」と思っておられる方にご活用いただきたいのが「IDレシートBIツール」です。

当社では、一般消費者が日々買い物する際に記録される、「レシートデータ」を収集しています。家計簿データを活用していますので、日常の自然でリアルな買い物状況が分かります。また、全国各地のコンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアに限らず、飲食店や百貨店や各種専門店とあらゆる業態のデータが存在します。

「IDレシートBIツール」は日々最新のレシートデータを集めて、3億枚ものレシートをご自身で分析できるサービスです。消費者の購買や併買のデータを、店舗・カテゴリーを横断的に確認できます。そのため、ひとりのお客様がどのスーパーでどの商品をいくらで購入したのか、別の店舗に行ってからはどんな商品を購入したのか、各店舗で同時購入したのはどんな商品なのかなど、顧客理解に活用できます。

独自のBIツールで簡単に分析・集計できるので、調べたいときにすぐに分析できます。レシートデータは、日々最新情報が更新されるので、いつでも最新データで分析が可能です。 ご興味を持っていただけましたら、ぜひこちらをご覧ください。

デジタル化が進むほど、消費者はいろいろな商品やサービスを簡単に比べられます。競合他社から一歩抜きん出るためには、自社にしか提供できないバリューと消費者が真に望むバリューを追い求めることが大事です。激しい市場競争を勝ち抜けるように、顧客理解を深めましょう。購買データの分析に力を入れ、顧客のニーズ・行動を予測し、売上アップひいてはリピーター獲得につながるように取り組むことが大切です。

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