POSデータとは?4つの分析方法から売上アップの活用術まで解説

POSデータとは?4つの分析方法から売上アップの活用術まで解説

企業が今後の販売戦略を考えるうえで、顧客分析は欠かせないものといえます。なかでも、顧客分析を行うにあたり、重要だとされているのが「POSデータ」の活用。POSデータを活用すると、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。そこで、この記事ではPOSデータの概要や活用術、主な分析方法を詳しく紹介します。

POSデータとは"Points of Sales"の略称で、レジでの商品販売時に記録される購入商品・個数・価格・店舗・時刻などのデータです。在庫管理や消費者の購買行動分析に活用できる非常に有用なデータで、その為に流通小売企業では、レジで商品のバーコードを読み取ることで販売の記録を取り、POSシステムと連携しリアルタイムなデータ管理を行っています。

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なかには、POSデータを集積したからといって「何に活用できるのだろうか」と疑問を持つ人もいるかもしれません。実は、集積したPOSデータは客観的な事実をもとに幅広く活用できる、貴重な分析材料です。たとえば、「顧客のニーズに沿った商品・サービスを展開する」という活用方法が挙げられます。POSデータによって顧客が求める商品やサービスを洗い出すことが可能です。これにより自社の商品・サービスが顧客に選ばれやすくなり、利益の拡大につなげられるでしょう。また、顧客の視点に立つことで、今までのビジネスでは検討していなかった新規商品の開発につながる可能性もあります。新しいインサイトが生まれ、マーケティング戦略に生かせるでしょう。

さらに、「売れ筋や死に筋の商品の把握」にも有効です。POSデータを活用することで、需要がある商品とない商品を把握できます。もしも売れ筋だったのに売れなくなった商品があれば、その原因を特定するための足がかりにもなります。POSデータを時系列に整理すれば、商品が売れやすいタイミングと売れにくいタイミングを分析できるため、ニーズに合わせた対策を講じられるでしょう。場合によっては適切な価格に調整したり、商品リニューアルを考えたりするきっかけもつくれます。

加えて、「在庫管理や販売戦略に役立てる」こともひとつの活用法です。POSデータによって各商品の重要度を測れます。その事実をベースに在庫管理を行うことで、無駄なコストの削減や売上の向上などの効果を見込めるでしょう。販売担当者の経験や勘に頼らず、確かなデータをもとに販売戦略を練られます。

POSデータを有効活用するためには、分析方法を知ることが大切です。ここでは、POSデータを活用するにあたり多く用いられる4つの分析手法を確認していきましょう。

バスケット分析は購買データをもとに、顧客の購買行動の関連性を見つけ出すデータマイニング手法です。バスケット分析によって「この顧客はこれも一緒に買うだろう」というパターンを導き出し、販売戦略に役立てられます。

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デシル分析とは、すべての顧客を購入金額が多い順に10等分する手法です。デシル分析は「購入金額」のみを指標とし、10等分したグループの売上貢献度を調べられます。購買力の高いグループは企業への売上貢献度が高いことを示し、そのグループへの集中的な販売施策を考えるなどの目的で活用できます。また、購買力の高いグループをどのように囲い込むか考えるための材料としても役立つでしょう。なお、デシル分析は顧客分析の第一歩ともいわれている手法です。指標がひとつのためプロセスが単純であり、マーケティング初心者でも比較的簡単に分析を実施できます。

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RFM分析は顧客の「最終購入日(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」という3つの指標をもとに、POSデータを分析する手法です。それぞれの指標の頭文字をとって名付けられました。具体的に最終購入日では、直近に購入している顧客を優良とし、購入日時をもとにグループ分けします。頻度では購入頻度が高い顧客を優良とし、購買履歴をもとにグループ化を行います。購入金額では購入金額の合計が大きい顧客を優良とし、購買履歴をもとにグループを分けることが基本です。

なお、RFM分析は複数の指標があるため、やや分析プロセスが複雑になります。そのぶん、より正確かつ深みのある顧客分析を行えることが特徴です。主に、新規顧客・優良顧客、休眠顧客・離反顧客など、顧客の実態を把握する際に多く活用されます。また、顧客の状態に合わせた具体的な施策を考える際にも重宝するでしょう。顧客ニーズを的確に読み取り、具体性のある販売戦略を立てられます。

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ABC分析は商品の「売上高」「在庫」「コスト」などの指標を、重要度によって3つにランク分けする手法です。重要度の最も高いものをAとし、続けてB、Cという順にランク付けします。ABC分析は別名「重点分析」とも呼ばれ、注力すべき商品や顧客層の把握などに活用することが可能です。売れ筋商品と死に筋商品を把握でき、適正な在庫管理に貢献します。現在どの商品が売れておりどれだけの売上があるのか、またそのニーズに応えるための在庫はどれほど用意すべきかを分析できます。

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POSデータだけでは不十分!?顧客のし好性の理解には「IDレシート」が向いている!

POSデータは商品の売れ方を分析する際などに役立てられます。ただ、それだけでは顧客のより詳しい情報、たとえばし好性まで把握することは難しいという側面があります。このような場合に、役立つのが「IDレシート」です。

IDレシートとは、顧客を識別する情報がひも付いているデータのことです。POSデータは「商品」を分析の軸にしているのに対し、IDレシートは「顧客」を軸にしているという違いがあります。IDレシートは個人にひも付いた情報を得られるため、「〇〇で商品Aを買った人は、△△では商品Bを購入している」などを分析できるのです。

たとえば、セブン-イレブンでコーヒーとチョコレートを買った20代女性は、「ローソンでは何を買うのか」や「スターバックスでは何を頼むのか」といった情報を把握できます。「誰が」「何を」、「いつ」「何と一緒に買ったのか」という情報を詳しく分析し、ターゲットへのより効果的なアプローチ方法を練れます。分析結果をもとに同時購入で使用できるクーポンを配布すれば、併売効果アップを期待できるでしょう。

また、同時購入されやすい商品を隣同士に並べるといった売り場の配置変更にも役立てられます。それ以外にも、「購買行動の変化」「リピート回数」など、顧客の幅広い購買情報を得られます。レシートには多くの情報が記載されており、正確な購入時間まで把握することが可能です。購入時間帯別に来店状況をチェックすることで、顧客の生活や消費のスタイルを把握できます。気になる購買行動の変化を把握し、ニーズを分析することが可能です。

加えて、購入した商品はトライアルなのか、それともリピートなのかという点も詳しく調査できます。購買行動を分析する際、モニターアンケートなどを実施するケースもあるでしょう。しかし、このようなアンケートは顧客側が選択した情報のみが記載されることも多く、正確なデータを得られない場合があります。その点、IDレシートはモニターアンケートとして呼びかけるものではないため、購入者のよりリアルな購買状況を知れます。日々の買い物中のかごの中身をのぞき見るように、顧客の自然な情報を得られるのです。

IDレシートは「チェーン・業態を横断したデータ」を取得できます。POSデータで分析できるのは、特定チェーンの中の購買情報のみです。たとえば、セブン-イレブンで買った商品はわかるものの、その人が別のコンビニエンスストアで買ったものはわかりません。一方、IDレシートの場合はチェーンや業態をまたいだデータを取得できます。より広い情報を集められるので、比較検証を行う大きな手がかりとなるでしょう。このように、IDレシートは網羅的に顧客の購買情報を追うことが可能です。分析するデータの選択や組み合わせによって、多角的な視点から販売戦略を立てられます。

POSデータで分析できるのは特定チェーンの購買行動のみ。顧客のし好や市場の実態をより把握するには、IDレシートの活用がおすすめです。レシートからは、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を分析できます。

「膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかる」とお悩みの方はBIツールの導入を検討してはいかがでしょうか。「IDレシートBIツール」は独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

現代は個々の消費スタイルの変化が激しい時代だとされています。企業が継続して利益を出すためには、顧客のニーズをきちんと把握することが大切です。POSデータやIDレシートデータなどの情報を有効活用することで、マーケティングの精度を高められます。なかでも、IDレシートデータは顧客の性別・年代・属性など、個人の購買情報を横断的に得られることが魅力です。有効なデータ分析を行い、顧客の動向をしっかりと把握しましょう。

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