デシル分析って何?
マーケティングの効果測定を簡単に行う方法

デシル分析って何?マーケティングの効果測定を簡単に行う方法

マーケティングの効果測定にデシル分析を用いるのは、時間や手間をかけずに行えるので費用対効果に優れている方法であるといえます。デシル分析によってマーケティング戦略をうまく立てられれば、リピーターの増加が期待できます。自社の製品を気に入って利用してくれるリピーターを増やせると、総じて口コミ評価も高くなり、新規顧客を獲得できるという好循環につなげられるでしょう。

デシル分析の“デシル”には、ラテン語で10等分という意味があります。つまり、デシル分析とは、全顧客を購入金額の高い順に並べ替えて10等分し、10のグループの売上データを分析する方法です。各グループの購入金額・購入金額比率・累積購入金額比率・1人あたりの購入金額などを算出します。たとえば、上位グループの顧客が売上にどのくらい貢献しているかが分かると、貢献度によって特典を変えるなど、施策を取る際の目安になるでしょう。

デシル分析が企業で重用されるのは、リピーターの獲得にかかるコストの低減が背景にあります。リピーターをつくるのは、新規顧客を獲得するよりもはるかにマーケティングにかけるコストが小さくて済むといわれています。新規顧客で売上を維持しようとするとコストがかかるため、既存顧客をリピーターに昇華させることが大切です。リピーターと新規顧客をつくるのに必要な投資の比率は、一般的に2対8くらいだとされています。実に、新規顧客にかけるコストの4分の1程度で、リピーターを増やせます。デシル分析によって、既存顧客の購入金額に応じた戦略を練ることで、費用対効果の高い販促活動が行えるでしょう。

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ここからは、自社の製品を購入した人が500人いると仮定して、デシル分析を3ステップで行っていきます。下記の方法で、各グループの購入金額・購入金額比率・累積購入金額比率・1人あたりの購入金額を求められるので、自社の数値に置き換えて計算してみましょう。

デシル分析を行うときは、顧客データを準備するところから始めます。500人の顧客を購入金額の高い順に並び替えるのですが、どのくらいの購入期間のデータを扱うかは企業側で任意で決めて構いません。一般的には1カ月・3カ月・半年・1年間・1年以上などのスパンのデータが使われます。

ステップ1の手順を踏むと顧客が購入金額の高い順に並んでいるので、合計金額の上位から50人ごとに分けて、合計10のグループをつくります。最も合計金額の高いグループはデシル1に属し、金額が低くなるごとに数字がカウントアップされていき、一番合計金額が低いグループはデシル10と呼ばれます。

各グループの売上構成比を出すためには、購入金額の合計値を算出する必要があります。仮にデシル1が100万円・デシル2が90万円と、グループの数字がカウントアップされるごとに、合計金額が10万円ずつ減ったとしましょう。購入金額構成比は、各グループの合計金額を全体の購入金額で割ると求められます。そのため、デシル1の購入金額構成比は、「グループ合計額100万円」を「全体購入金額550万円」で割って算出した「0.18」です。購入金額比率は、0.18に100を乗じて18%となります。

続いて、累積の購入金額構成比は、算出するグループまでの合計額を全体の購入金額で割ると算出できます。デシル1だと購入金額比率も累積金額比率も同じ値になってしまうので、ここではデシル2の累積金額構成比の算出例を紹介しましょう。デシル2の累積金額構成比は、「デシル1とデシル2を足した190万円」を「全体購入金額550万円」で割った「0.35」となります。累積購入金額比率に変換すると、0.35に100を乗じて35%です。上記の例では、デシル1とデシル2の上位2つのグループが、売上の35%を占めていることが分かります。購入金額が上位の顧客と、下位の顧客の金額差が激しい場合は、上位2~3グループで売全体の8~9割占めていることも珍しくありません。累積購入金額比率は、上位グループの売上への貢献度合いを判断する材料となります。

最後に、各グループの1人あたりの購入金額は、グループごとの合計額を所属する人数で割ると簡単に求められます。たとえば、デシル1の顧客1人あたりの購入金額は、「グループの合計額100万円」を「所属人数の50人」で割って“2万円”となります。デシル2で求めると、グループの合計額90万円を所属人数の50人で割って、顧客1人あたりの購入金額は1.78万円です。上記の方法でデシル1から10まで売上構成比を求めていくと、全体のうちの何割が優良顧客に相当するのかが把握できます。

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ここからは、自社の製品を購入した人が500人いると仮定して、デシル分析を3ステップで行っていきます。下記の方法で、各グループの購入金額・購入金額比率・累積購入金額比率・1人あたりの購入金額を求められるので、自社の数値に置き換えて計算してみましょう。

デシル分析は、顧客の購入金額のデータさえそろっていれば、誰でも簡単に優良顧客が分かるようになります。これからマーケティングの効果測定を始めようとしている企業も、比較的導入しやすい分析方法でしょう。ちなみに経済学で有名なパレートの法則(2対8の原理)にのっとると、売上の8割は2割の顧客が占めているという風に考えることもできます。そのままパレートの法則で優良顧客の範囲を決めた場合、100人の顧客がいたら上位20人だけに力を入れれば良いと捉えられます。

しかし、本当に売上に大きな貢献している顧客は全体の2割だけかというと、実際には異なるケースがあります。デシル分析によって累積購入金額比率を求めてみると、デシル1からデシル3まで、デシル1からデシル4までが売上の8割を占めている可能性もあるのです。優良顧客を逃さないようにするためにも、デシル分析で売上構成比は把握しておくことが大切です。

デシル分析は簡単で分かりやすい方法ですが、マーケティングの効果測定を詳しく行うには不向きです。同分析法では、優良顧客層しか判断できないため、顧客の属性・定着率・購買予測などを把握するには違う分析法も取り入れる必要があります。ABC分析・RFM分析・CTB分析を組み合わせて実施すると、マーケティングを行う際の方向性が定めやすくなるでしょう。

デシル分析と混同しやすい顧客分析法

マーケティングの効果測定を行う際に、デシル分析と混同されやすいのがABC分析・RFM分析・CTB分析の3種類の分析法です。異なる複数の側面から評価すると偏った施策になりにくいため、マーケティングを行うときは複数の分析を組み合わせることが大切です。

ABC分析とは、製品やサービスの重要度を累積金額比率から求める方法です。累積金額比率70%以下をAランク、80から90%をBランク、90%超えはCランクに分けて、在庫管理の優先順位をつけます。Aが良く売れるので頻繁に補充し、Cは状況を見て在庫を増やします。上記の分け方はあくまで目安のため、自社に合った比率でランク付けすると良いでしょう。活用事例として、売上が高い製品やサービスを可視化し、Aの在庫数を増やし、Cの販売を見直すというケースが挙げられます。あくまでも現状の売上なので、今後の販促活動によってはBやCのランクのものも人気に火がつく可能性はあります。

RFM分析は、最新の購入日時・購買頻度・購入金額の3つの指標で、それぞれ顧客を順番に並べ替えてグループ分けしていく方法です。集計をしてグラフ化すると、優良顧客・新規顧客・安定顧客・離反顧客・非優良顧客といった5つの属性が分かります。たとえば、直近で購入履歴があり、購入頻度や合計金額が高い顧客は、間違いなく優良顧客だといえます。顧客の購買行動をセグメントすると、注力すべき製品・地域などが判明するでしょう。分析結果から優良顧客が多く住んでいるエリアが判明すれば、新規出店も視野に入れられます。

ABC分析とは、製品やサービスの重要度を累積金額比率から求める方法です。累積金額比率70%以下をAランク、80から90%をBランク、90%超えはCランクに分けて、在庫管理の優先順位をつけます。Aが良く売れるので頻繁に補充し、Cは状況を見て在庫を増やします。上記の分け方はあくまで目安のため、自社に合った比率でランク付けすると良いでしょう。活用事例として、売上が高い製品やサービスを可視化し、Aの在庫数を増やし、Cの販売を見直すというケースが挙げられます。あくまでも現状の売上なので、今後の販促活動によってはBやCのランクのものも人気に火がつく可能性はあります。

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FSP施策とは、顧客を増やしたり、リピーターを獲得したりするための販促活動のことです。Frequent Shoppers Program(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を省略した言葉で、顧客を優良レベルまで昇華させるためによく用いられます。たとえば、小売店で行われるFSP施策は、ポイントカード・会員割引・会員特典などが挙げられるでしょう。イギリスで最大手のスーパーマーケットである「テスコ」も、FSP施策を打って成功を収めています。

実をいうと、テスコは、最初からイギリスで最大の売上を誇るスーパーマーケットだったわけではありません。1995年以前は、イギリスでは2位の位置につけていたのです。しかし、クラブカードを導入したことで売上を伸ばし、イギリスのトップに躍り出ました。ポイントカードを通して顧客の購買行動を追い、品ぞろえ・マーケティング手法を変えて集客力を強化しています。デシル分析は、FSP施策を行う際の目安となります。優良顧客のひとつ前の段階がどのくらいいるかが分かれば、ポイントカードやダイレクトメール、会員割引などを実施する決め手になるでしょう。

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費用対効果の高いマーケティングを実施するには、顧客の購買行動を把握することが大切です。「IDレシートBIツール」なら、消費者の購買や併買のデータを、店舗・カテゴリーをまたいで確認できます。膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかるという場合に利用すると、効果測定の手間が大幅に短縮できるでしょう。また、同ツールでは、独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、営業商談時の資料として利用したり、顧客への理解を深めたりするのに利用できます。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

マーケティングの施策を打った後も、効果測定という作業が必要になります。効果測定は、デシル分析などの分析法をいくつも組み合わせて行うため、労力も時間も取られます。IDレシートBIツールなら、手間がかかるマーケティングの効果測定も簡単にできて便利です。マーケティングの効果測定でお悩みなら、IDレシートBIツールを検討してみませんか。

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