ABC分析とは

POSデータを用いたフレームワーク
ABC分析とは?

いまやデータ活用は経営戦略を練るうえで重要な要素となっています。その中でも汎用性の高い基本的な手法として、ABC分析があります。ABC分析とは、POSデータを用いたフレームワークのひとつです。

こちらの記事では、ABC分析の基本的特徴から具体的な実施方法、そしてPOSデータを用いてできるその他の分析方法についても合わせてご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

POSとは「Point of Sale(販売時点情報管理)」の頭文字を取ったもので、小売販売において商品が売れた時点の情報を管理するシステムです。

そしてPOSデータとは、POSレジを通して取得可能な情報を指します。POSデータを見ることで「いつ、どのアイテムが、いくらで、いくつ売れたのか」が明らかになります。

POSデータを用いることで可能となる分析方法のひとつがABC分析です。

ABC分析とは、売上高/コスト/在庫などの評価軸からひとつを決定し、重要度の高い順番にA、B、Cのグループに分類する手法です。これによって、アイテムの優先度を可視化し管理することができるため、「重点分析」とも呼ばれています。

ABC分析を用いることによって販売状況を数値で定量的に捉えられるため、ABC分析は在庫管理やマーケティングの指標として採用されています。

ABC分析の基礎には、「パレートの法則」という考え方があります。

パレートの法則とは、集団における構成要素の偏りを示すものです。ビジネスにおいては「売上の8割は、全体の2割の商品に依存する」というような傾向を示します。

パレートの法則に基づいて考えると、重要度の高い構成要素(例:売上の大きい商品)は全体のうちの一部に集中していると考えられます。優先度合に応じたアプローチを検討するために、重要度を可視化する手法がABC分析なのです。

ABC分析の大きなメリットとして、商品全体の中で売れている商品とそうでない商品がどのように分布しているかを可視化することが挙げられます。その結果として、把握した各商品の販売状況によって、戦略を練ることが可能になります。

例えば売上高を評価軸として各商品を分類した場合、重要度の高いグループAの商品は在庫切れを防ぐ対応を、グループCの商品は入荷数を抑える対応を取ることで、適切な在庫管理を行うことが可能です。

また、定期的にABC分析を行うことで、過去の分析の結果行った施策について、時系列に沿って効果を検証できます。

さらにABC分析の長所として、統計学やデータ分析の経験がない人であっても、Excelなどを用いて簡単に行える点も挙げられます。

ここからは、実際にPOSデータを用いてABC分析を行う方法を解説していきます。ここでは例として、売上高を軸とする場合を取り上げます。

まずはPOSデータをもとに売上データを収集しましょう。

各商品ごとに売上高をまとめます。Excelや販売管理システムなどのツールを使用しましょう。ここで売上が大きい順に並べておくと、これ以降のステップを進めやすくなります。


POS_abc分析

次に、商品ごとに売上構成比を出します。売上構成比はある商品の売上の商品全体における割合を示すもので、次のような計算式で出すことができます。

売上構成比=(ある期間における個別商品の売上)÷(ある期間における全体の売上)

売上構成比を出したら、売上構成比の大きい順に並べてグループに分類します。

ここで、累積構成比を算出しておきましょう。累積構成比を見れば、ある順位までの商品売り上げの累計が全体の売上に対しどのくらいの割合を占めているかが分かります。

累積構成比=(累計売上)÷(累計売上合計)

累積構成比の上位何%までをA…というように分類することで、構成比率の大きさに従ってグループ分けを行うことができます。


POS_abc分析

グループ分類までできたら、ヒストグラムやパレート図などの図表を作成すると、より視覚的に分かりやすい形になります。

ヒストグラムとは、データを区間で区切った度数分布表を基に、棒グラフのような形でデータの分布を表すグラフです。データを区切った階級を横軸に、その階級が生じた回数を表す度数を縦軸に示しています。

  (ヒストグラムの例)

ヒストグラム

パレート図とは、項目ごとの値を示す棒グラフと、累積構成比率を示す折れ線グラフを組み合わせたものです。構成比がどのように集中しているかを可視化するのに適したグラフとなっています。

  (パレート図の例)

ヒストグラム

ABC分析を行ううえでは、特別な要因が関連していないか注意する必要があります。例えば、分析対象の期間においてある商品の売上が大きな割合を占めている場合であっても、原因としてはその商品に人気が出たことだけが挙げられるわけではありません。流行や季節限定品、値下げ商品などによって一時的に変化しているだけの可能性もあるため、特定要因が絡んでいるケースに関しては個別に対応する必要があります。

また、最下位に位置するCグループを一律に無視しないことも重要です。例えばマーケティングにおいては、Cグループに位置する商品を重視する「ロングテール戦略」という手法もあります。ロングテール戦略とは、あえて販売機会の少ないニッチな商品を幅広く取り扱うことで、他では手に入りづらい希少価値のある商品が入手できるという点で競合との差別化を図り、顧客の総数を増やして利益をあげる手法です。

POSデータはABC分析の他にも、バスケット分析、デシル分析、RFM分析などさまざまな分析方法に用いることができます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。
POSデータとは?4つの分析方法から売上アップの活用術まで解説

POSデータが商品を軸とするのに対し、IDレシートでは顧客を軸としてデータ分析を行うことができます。顧客軸のデータ分析の場合、異なる店舗でのリピート購入を追うことでヘビーユーザーを発見・分析したり、ある顧客の購買データを分析することで購入シーンを具体的に把握したりすることが可能となるのです。

IDレシートは、消費者と紐づいた日々の買い物レシートを、「レシート商品特定システム」によってマーケティングデータ化しています。チェーンやカテゴリの制限なく、幅広いデータを見ることができる点が特徴です。ABC分析を行う際には、ぜひIDレシートの活用を検討してみてください。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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