CRM分析の具体的な手法&進め方は?分析のポイントも確認

2025年04月08日

CRMに蓄積された顧客データを分析して、売上向上につながる戦略を立てたいと考えている営業・マーケティング担当の方は多いでしょう。正確で効率的なCRM分析をするには、基礎知識を理解した上で、データ収集や手法の選択を適切に行うことが重要です。

この記事では、CRM分析に必要なデータ収集の方法や分析手法、具体的な進め方まで詳しく解説します。

CRM分析フレームワーク

CRM分析の目的と重要性

顧客の連絡先や購買履歴、接触記録などの顧客に関するデータを分析することで、顧客ニーズや属性、売上貢献度を把握することを「CRM分析」と呼びます。CRM分析の目的は、顧客を深く理解して、顧客との関係強化や企業価値の向上につなげることにあります。
※顧客に関するデータを蓄積・管理する主なツールはCRMであることから、「CRM分析=CRMに蓄積されたデータの分析」と定義してこの先の解説をいたします。

CRMで管理できる情報や、CRMでできることについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:ファンマーケティングの成功にCRMはなぜ重要?活用事例も紹介

CRM分析に用いるデータの例と収集方法

CRM分析に用いる「顧客に関するデータ」とは具体的にどのようなデータでしょうか。データの例と収集方法を確認しましょう。

顧客の基本情報 ECサイト・ブランドサイトに問い合わせや資料請求のフォームを設置して、会員登録時に年齢・性別・住所などの基本情報を収集する
取引データ(購入商品、購買日時、割引・クーポン適用状況など) ECサイトの決済システムや、実店舗のPOSレジを活用して顧客の取引データを記録する
顧客のWebサイト上の行動データ ブランドサイトやECサイトでの顧客の行動データを収集し、興味関心を把握する
購買理由 アンケート、SNSなどから購買理由に関する情報を収集する
顧客満足度 メール・チャットボットなどを活用してアンケート調査を実施し、顧客満足度に関するデータを収集する
顧客の声(VOC) 営業担当者が顧客からヒアリングした情報や、コンタクトセンターへの問い合わせを取りまとめるほか、SNSやECサイトをモニタリングし、自社ブランド・商品へのコメントの中からレビューを収集する

このように、CRM分析に用いるデータ・収集方法は多岐にわたります。

CRM分析の具体的な手法5選

CRMに蓄積された多様なデータをどのように分析すればよいのでしょうか。主な分析手法の概要・目的・活用例を確認して、自社の狙いに合致した手法を選びましょう。

①RFM分析

概要

次の3つの指標で顧客をグルーピングし、購買行動を分析する方法です。

  • Recency(直近購入日):直近に購入している顧客ほどアクティブな状態にあり、重要度が高い
  • Frequency(購入頻度):購入頻度が高い顧客ほど自社や商品への評価が高く、重要度が高い
  • Monetary(購入金額):購入金額が大きい顧客ほど自社への貢献度が高く、重要度が高い

目的

顧客グループごとに効果的なアプローチ方法を検討し、売上や顧客満足度の増大を図る

分析結果の活用例

  • RFMすべての指標が高い優良顧客には、特別イベントへの招待や限定クーポンの配布を行い、ロイヤルティ向上を図る。
  • 購入頻度が安定しているが金額が低い、または直近購入日から時間が経っている顧客に対して、アンケート調査を実施して課題解決のアクションを検討し、リピート購入を促すための施策を強化する。
  • 直近購入日が近く、購入金額が大きいものの、頻度が低い新規顧客には、アフターフォローとして適切なタイミングでメールを配信し、クーポン配布でリピート購入を促す。

②CTB分析

概要

過去の購入履歴を元に今後の購買動向を予測するため、次の3つの指標で顧客をグルーピングする手法です。

  • Category:商品の大分類や小分類(例:「食品」「衣類」)
  • Taste:サイズ、形、色、模様などの好み
  • Brand:好んでいるブランドやキャラクター

目的

  • 顧客の趣味嗜好を明確にし、それに合わせたアプローチを行う
  • 商品やサービスの需要予測に活用し、商品企画や改善に反映させる

分析結果の活用例

「半袖Tシャツ」に分類される商品に対して、「30代女性は白やネイビーを好む」「20代男性はS~Mサイズの襟付きシャツを好む」などの傾向を分析し、それに応じたプロモーションを実施する。

③LTV分析

概要

顧客の購買データから生涯価値(LTV)を計算・分析する手法です。LTV(Life time Value)とは、顧客の初回購入から最後の取引までの期間に得られる収益の総額を指します。

LTVの算出例

  • LTV=年間取引額×収益率×継続年数
  • LTV=購入単価×購入回数×収益率

目的

顧客の購買金額を分析し、優良顧客の発見や育成につなげる

分析結果の活用例

  • 1回の購入金額は高いがLTVが低い顧客には、マーケティング戦略のリソースを最低限に抑える。
  • LTVが高い顧客には、特別プロモーションを実施し、ロイヤルティを高める。

LTV分析によるファンマーケティングにご興味がある方にはこちらの記事もおすすめです。

関連記事:ファンマーケティングでLTVを上げるには?企業の成功事例も紹介

④CPM分析

概要

顧客を「購入回数」「購入金額」「初回または最終購入日からの経過期間」などの指標で次の10のグループに分け、趣味嗜好や購買傾向を把握する手法です。

<現役顧客グループ>
初回顧客 設定期間中に初回購入がある
よちよち顧客 設定期間中に2回以上購入がある
コツコツ顧客 設定期間中にリピート購入がある
流行現役顧客 短期間で一定金額以上の購入がある
優良現役顧客 長期間で一定金額以上の購入がある
<離脱顧客グループ>
初回離脱顧客 設定期間中に初回購入があり、その後離脱
よちよち離脱顧客 設定期間中に2回以上購入があり、その後離脱
コツコツ離脱顧客 設定期間中に安定的なリピート購入があったが、離脱
流行離脱顧客 短期間で一定金額以上の購入があったが、離脱
優良離脱顧客 長期間で一定金額以上の購入があったが、離脱

目的

各顧客グループに適したアプローチを行い、優良顧客へと育成する

分析結果の活用例

  • よちよち顧客には、関連商品の紹介や誕生日・記念日の特別オファーを提供し、愛着を醸成する。
  • 流行離脱顧客には、新商品の情報を優先的に提供し、ブランドとの関係を再構築する。

⑤デシル分析

概要

購買単価が高い順に、顧客を10のグループに分類し、各グループの特徴を分析する手法です。

目的

各グループの売上高や利益を元に顧客比率を算出し、優先的にアプローチする層の特定や、訴求方法の検討に役立てる

分析結果の活用例

  • 上位顧客には限定商品の情報をDMで案内し、さらなる購買を促進する。
  • 下位顧客にはお買い得商品の案内を行い、購入回数の増加を図る。

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【7ステップ】CRM分析の進め方

CRM分析を効果的に進めるには、体系的なプロセスを踏むことが重要です。次の7つのステップでCRM分析を進めることで、顧客の行動を的確に把握し、売上向上につなげることができます。

1.分析の目的を明確にする

まずはCRMにおけるデータを分析する目的を具体的に設定しましょう。例えば「自社にとっての優良顧客を定義したい」「休眠顧客に向けたマーケティング戦略を立てるためにデータが欲しい」など、目的を明確にすることで分析の方向性が定まります。

2.必要なデータの特定と収集を行う

目的に応じて必要なデータを特定し、収集します。データの例として「顧客の基本情報」「購入履歴」「サービスの利用状況」「問い合わせ履歴」などが挙げられます。これらのデータを正しく収集することで、精度の高い分析が可能になります。

3.データクレンジングを行う

収集したデータの品質を確認し、欠損値の処理や異常値の除去などを行うことで、データの正確性を向上させます。データの精度が低いと分析結果に影響を及ぼすため、このステップは欠かさずに行いましょう。

4.分析手法を選択し、実行する

目的に応じて適切な分析手法を選択し、データの分析を進めます。「CRM分析の具体的な手法5選」の章でご紹介したように、分析にはさまざまな手法があるため、目的に適した方法を選ぶことで効果的な分析が可能になります。

5.顧客の動向・特性を把握する

分析結果を基に、顧客の傾向や行動など、現在の状況や特性について把握します。
顧客を深く理解することで、利益貢献度の高い顧客や今後の利益を生み出す可能性がある潜在顧客を発見し、各顧客に対して、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

6. 戦略立案を行う

顧客の特性に応じて仮説を立て、適切なアプローチを計画します。例えば、顧客をセグメント化し、優良顧客には特別なキャンペーンを提供し、休眠顧客には再購入を促す施策を実施するなど、具体的なアクションプランを策定します。

7.戦略を実施して効果測定を行う

策定したアクションプランを実施し、その効果を測定します。必要に応じて施策の調整や追加の分析を行い、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことが重要です。

CRMにおける分析の効果を最大化するポイント

単にCRM分析を実施するだけでなく、その効果を最大限に引き出すための工夫も大切です。ここでは、CRM分析の効果を最大化するためのポイントを解説します。

分析・活用・評価のサイクルを回す

アプローチ施策の効果を最大化させるためには、分析、活用、評価のサイクルをくり返すことが重要です。施策を実施したままにせず、結果を踏まえて次のアクションを検討しましょう。

複数の分析手法を組み合わせる

複数の分析手法を組み合わせることで、多角的な視点での顧客理解が深まります。それにより精度の高いマーケティング戦略の立案が可能になります。

顧客データをかけ合わせて多角的に分析する

顧客の属性データや購買履歴、行動データなどをかけ合わせて多角的に分析することで、具体的・特徴的な顧客セグメントを生み出すことができます。ただしその実現のためには、MA・EC・POSシステムなどとCRMシステムを連携させて、データの統合や分析の効率化を図ることも重要です。

自社に適したツールを活用する

自社の課題や目的、リソースなどを考慮し、最適なCRMツールを選定することで、より効果的な分析が可能になります。

CRM分析のデータ収集に役立つ「レシートCRM」

「レシートCRM」は、お客様の購買レシートを活用したレシートマーケティングツールです。ポイントプログラムへの参加を通じて顧客の購買データを取得し、CRMに蓄積して活用できます。
CRMに蓄積したデータを分析すれば、顧客の分類や特性に合わせたアプローチが可能になります。

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