ヒット商品

ヒット商品を生み出すポイントとは?
プロセスやリサーチ方法をご紹介

消費者ニーズの多様化、商品ライフサイクルの短期化が進行している現代において、ヒット商品を生み出す難易度は高くなっていると言えるでしょう。商品開発を行う企業に所属する方の中には、「良いものを作っても売れない」「なかなかヒットに繫がらない」と頭を悩ませている担当者も多いのではないでしょうか。

ヒット商品を生み出すためには、ただ良いものを作ればいいということだけではなく、「ターゲット」と「セールスポイント」を的確に設定することが大切です。

そこでこの記事では、ヒットに繫がる商品開発の流れやポイントについてわかりやすく解説していきたいと思います。

消費者の最新のニーズをしっかりとつかんだうえで商品開発やマーケティングに取り組まないと、どんなに質の高い商品でも、ヒットしないことが多いです。 現代は特に社会の変化が目まぐるしく、それに応じて消費者のニーズも常に変わり続けます。特にコロナウイルスの流行により生活様式や人々の行動範囲、心理は大きく変動し、消費者が求めるものも変わっています。単純に過去のヒット商品を模倣したり、過去のデータを分析したりして商品開発をしても、想定しているような結果は得られない可能性が高いです。
商品の質がとても高いものでも、あまりヒットしないケースもありますが、そういった場合はターゲット設定のズレや、マーケティング方法の問題が考えられます。商品開発の際にはそういったターゲティングやマーケティング手法まで網羅して、包括的に取り組んでいくことが必要です。商品は作ることがゴールではなく、消費者に届いて満足してもらい、リピートしてもらうことが究極のゴールですからね。

商品開発には3つの種類があります。追随型、シーズ型、ニーズ型の3つです。どの型で商品開発に取り組むかにより、マーケティングのリサーチで着目すべき点が変わります。まずは3つの型の詳しい説明をしていきましょう。

食品の商品開発は、追随型が多いです。追随型とは他社の人気のある先行商品に追随して、商品を開発する方法。他社の人気商品がなぜヒットしたのか、どんな消費者層が購入しているのかなどを徹底的に分析していきます。単に模倣するだけではもちろん、先行商品を上回るようなヒット商品を生み出すことはできません。消費者の購買動機を分析するとともに、先行商品に足りない部分をピックアップし、補填したさらに価値のある商品を開発することが大切です。
追随型の商品開発はトレンドに乗る形になるので、リサーチや商品設計への負担は小さくなる一方で、トレンドを逃さないスピードが求められます。常に市場や消費者の動向を分析し、いち早くヒット商品に追随していかなければいけません。

ニーズ型は消費者のニーズを満たすことを起点として、商品開発に取り組む方法。IDレシートやアンケートなどで蓄積したデータを活用して、需要を深堀りしていき、具体的にニーズをつかんでいきます。研究開発部門、マーケティング部門が連携して調査に取り組み、ニーズの調査に取り組み、ニーズを満たした商品を開発していくことが重要です。
現代はニーズが目まぐるしく変容しますし、以前よりも多様化しています。複雑になった市場や消費者のニーズを正確にとらえるためには、技術や手法の継続的な向上も必要です。横断的に消費者1人1人の購買行動を追跡できる購買データ「IDレシートデータ」が、ニーズの正確な把握に効果的であると、注目されています。

新しい加工技術や製造方法、品質の開発といった商品開発はシーズ型に分類されます。新しい技術はどのターゲット層に、どのように活かせるのかを分析して、商品を開発していきます。商品そのものはもちろんのこと、ターゲット層に魅力的にアピールするマーケティング手法もとても大切です。新技術やその企業の強みとなる技術を起点に商品を開発していくため、唯一無二の自社商品として、大ヒットする可能性も秘めているでしょう。他社と競合になりづらく、自社の強みを最大限に活かした商品開発ができるのが、シーズ型の最も大きなメリットです。
自社の持つ技術を起点として商品開発に取り組む型ですが、あくまで消費者視点で、技術を活かしてどのように消費者に貢献できるかという姿勢で開発していくことが大切です。

ヒット商品を生み出すための商品開発は、前述の3つの型に当てはめて、大まかに3つのステップを踏んで進めていきます。3つのステップは下記の通り。
①リサーチ
②コンセプトの検討
③商品設計
まずは必要な情報をリサーチして、商品コンセプトを検討してから、具体的な商品設計に入るという流れです。1つ1つのステップをしっかりと踏んでいくことで、ヒット商品へとつながっていきます。各ステップについて詳しく解説していきましょう。

商品開発の起点となる、最も重要な部分がマーケティングリサーチ。リサーチが正しくできていないと、この後のフローがどんなに上手く進んでも、ヒット商品を生み出すことはできません。商品開発の3つの型に当てはめ、開発に必要な情報を明確にしたうえで、リサーチに取り組むことがとても大切です。消費者の潜在的な部分を含めて、ニーズをしっかりと捉えていきます。既に明らかになっているニーズだけでなく、まだ顕在化していないけれども、分析して見えてくるニーズを満たすことができれば、新たなブームを作れる可能性があるでしょう。多種多様なデータを長期的に収集して、様々な角度から分析して、市場やニーズをリサーチしていくことが大切です。

関連記事:マーケティングリサーチとは?マーケティングリサーチ方法や例を紹介

明確にしたニーズを満たすための、商品コンセプトを検討していきます。ターゲット層や利用シーン、そして購入の目的を明確にしたうえで、消費者の欲求に応えられるコンセプトを考えなければいけません。リサーチで明確にした市場や消費者の動向やニーズを軸として、そこからブレずにコンセプトを作っていきます。商品開発やマーケティングにかけられるコストや、リリースまでに費やせる期間や工数も、コンセプトとして重要な要素の1つです。
既に競合が存在する商品である場合は、競合の弱みを補填したり、自社ならでは強みを付加価値として付与したりすることが、ヒット商品を生み出すカギとなります。

ニーズを分析し、そのニーズを満たすためのコンセプトを考えたら、具体的な商品設計に入っていきます。価格設定や原料、加工方法、容量、パッケージデザインなど重要なポイントを決めるフェーズです。ターゲット層が求めるニーズをしっかりと再確認し、そのニーズに応えるための商品を設計していきます。
設計は市場や消費者のニーズを具体的な商品に落とし込むフェーズになるため、緻密な分析が重要です。競合商品とどう差別化を図るか、コストとターゲット層を天秤にかけて、どういった原料や加工方法で商品を作るかなど、考えるべきことは多岐にわたります。

コンビニ弁当

それでは具体的に「IDレシートデータ」から、どのような分析が可能なのか、実際の分析事例を紹介しましょう。

「IDレシートデータ」の分析レポート記事では、人気商品に関する分析事例も存在します。
今回は、フランスの焼菓子「カヌレ」そっくりのグミ「カヌレット」(UHA味覚糖)が発売後に、一時は売り切れが続出する人気商品となった背景について分析しています。その一部をご紹介します。

見た目や食感がフランスの焼菓子「カヌレ」にそっくりということで、SNSなどで話題となった「カヌレット」ですが、話題となってからも常に順調な推移だった訳ではありませんでした。

下図のように、30代・会社員・パート・アルバイトという属性では、人気が出始めた「急増期」に一過性の増加を見せますが、やがて購買が減少する傾向がうかがえます。一方20代の購入割合は安定しており、40代も「急増期」には入手困難だったためか一時減少するものの、「安定期」には増加に転じ、継続して購入している様子が見えてきます。


「カヌレット」購入時期別のデモグラ変化


この、一度減少に転じてから復調した10月に、どのような要因があるのか、「カヌレ」との関連がないか分析を進めました。

10月周辺で、大きく購買数が変化している「カヌレ」はないか検証してみると、10月に急激に伸びている「カヌレ」がありました。ローソンから9月に発売された「濃密カヌレ」です。10月には、この「濃密カヌレ」と「濃厚生チーズケーキ」の割引クーポンのキャンペーンが実施されていた影響もあってか、10月の「カヌレ」の購買額が伸びていた模様です。



一方、「カヌレット」が10月に、どこで購買数が伸びたかを調べてみました。
すると10月以降、コンビニでの購買数が伸びていることが分かりました。



もともと「カヌレット」は「カヌレ」を一口サイズにしたお菓子のため、一定の購買関連性はあると思っていましたが、実際に10月のローソン「濃密カヌレ」新発売と同タイミングで「カヌレット」もコンビニでの購買額が急増していました。

さらに、このレポート記事では、ローソン「濃密カヌレ」と「カヌレット」の相乗効果について、さらに深掘りをしておりますので、続きはこちらをご覧ください。
「カヌレ」そっくりの人気菓子「カヌレット」の購買特徴や相乗効果を分析しました

上記のように、公開しているIDレシートデータの分析レポートでは、様々な視点での分析例が掲載されています。マーケティングにおけるデータ分析のヒントとして、ぜひご活用ください。

"IDレシートデータ"活用事例は、こちらをご覧ください。
“IDレシート”分析レポート

ヒット商品を生み出すうえで大切なのは、やはり一歩目のマーケティングリサーチ。競合の状況や市場のニーズ、現代社会の状況などあらゆる観点から、徹底的に消費者の理解を深めていきます。「誰のどんなニーズを満たすのか」という方向性を決定して、その軸に沿って商品開発に取り組みます。常に軸をブラさずに、開発者視点からの分析にならないように注意をして、市場や消費者やトレンドの調査まで深堀りしていかなければいけません。
気を付けなければいけないのは、「ゴールありきのリサーチにならない」ようにすること。
「こういった商品を開発したい」というゴールが先にあり、リサーチしたデータをその開発の根拠づけのために補強するという、順序が逆になってしまうケースが珍しくありません。
あくまで収集したデータを客観的に分析し、そこからニーズをとらえていかないと、新しいブームを作るようなヒット商品は考案できません。

従来のPOSレジやポイントカードからの情報収集では、店舗の垣根を超えた横断的なデータや、全国規模の情報収集が難しいという課題がありました。その課題を解消するために注目されているのが、「IDレシート」。顧客1人1人の購買履歴を店舗や業態を超えて横断的にリサーチすることができるため、より正確かつ広域的な分析が可能。日々変容するコロナ禍での消費者の需要も、しっかりと捉えることができるでしょう。
IDレシート等を通して分析したデータは、商品開発にも大きく貢献します。広域的にデータを分析できるため、これまで想像していなかったような消費者の行動パターンやニーズが、浮かび上がってくる可能性がありますからね。新しい傾向が見えたらすぐに商品開発へと活かし、いち早くヒット商品を生み出せることもあるでしょう。

現代の社会はニーズが多様化しており、従来のデータをベースにした分析だけでは、市場や消費者のニーズを正確につかむことはできず、ヒット商品を生み出すことはできません。
「追随型」「ニーズ型」「シーズ型」の3つの型に当てはめて、「①リサーチ」「②コンセプトの検討」「③商品設計」の順に徹底的に分析して、開発していくことがカギになります。起点となるリサーチは特に重要で、IDレシートなどを活用して横断的にデータを収集して、掘り下げて調査していくことが大切です。売り手の思いや開発したい商品が先行しないように、あくまで客観的にデータを分析していかなければいけません。こうした緻密なフローを経て、ヒット商品が生み出されていきます。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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