カスタマージャーニー作成のためのマーケティング資料

カスタマージャーニー作成には精度の高いペルソナ設定が重要

カスタマージャーニーとは、商品認知から購入に至るまでの顧客の行動や心理のプロセスを、時系列のストーリーにして分析する手法です。カスタマージャーニーを作成するにあたっては、まず収集した顧客情報からペルソナを定義することが重要です。この記事では、カスタマージャーニーとペルソナの定義、必要性を説明した後、カスタマージャーニーにおけるペルソナを設定し、カスタマージャーニーの作成方法を解説します。

カスタマージャーニーとは、商品認知から購入に至るまでの顧客の行動・心理を、時系列に並べて検討する手法です。たとえば、テレビで飲食店の新メニューを見て興味を持ち、SNSでクーポンがもらえたことで来店を決め、実際にお店に来て注文を頼むなどの過程を「旅(ジャーニー)」に見立てています。一連の流れをストーリーで分析することで、顧客の心理や行動の全体像がつかめ、具体的なマーケティング戦略を立てやすいことが特徴です。

カスタマージャーニーは、あくまで事実に基づいて作成されます。この点が、理想的な顧客の行動と心理を想定して作られるユーザーシナリオと違うところです。ストーリー仕立てというと会議室のなかで作られるようなイメージがあるかもしれませんが、できるだけ定量的なデータに基づいて作成することが重要です。なお、マトリックスやフロー図などを用いて、カスタマージャーニーを視覚的にわかりやすくしたものをカスタマージャーニーマップと呼びます。

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カスタマージャーニーを作成する目的は、一言でいえば、顧客のことをよく理解する ためです。それによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

1つ目は、顧客目線でマーケティング戦術を立案できるようになることです。たとえば、高級路線の食パンを売りたいケースでは、富裕層の日常的に購入する顧客を狙ったマーケティングが考えられます。一方たまには、贅沢においしい食パンを食べたいといった会社帰りの単身者にアピールすることで、売上向上を狙う方法もあるでしょう。このようなケースでは、売る食パンは同じでも、訴求したい顧客によってアプローチは大きく変わります。顧客目線で自社商品が魅力的にみえるかを検討することで、マーケティングの成果を大きく向上させられます。また、カスタマージャーニー作成の過程で顧客を深く知ることにより、新たな顧客層の発見やパーソナライズした施策の立案ができることもあるでしょう。顧客ニーズが多様化するなか、カスタマージャーニーが注目されているのは、このような効果があるからです。

2つ目は自社の顧客理解が深まることです。現代は、オンライン店舗での購入など、テクノロジーの進歩とともに購買行動は複雑化しています。たとえば、口コミ投稿をみて商品を買う購買行動も増えてきており、企業は時代にあった顧客の購買行動を理解する必要性があります。そこでカスタマージャーニーを活用すると、顧客の行動や行動に至ったインサイトを深く理解でき、マーケティング施策にうまく反映できるでしょう。

3つ目は顧客の行動や心理をわかりやすく視覚化することで、チームで共通意識を持ちやすいことです。カスタマージャーニーは、通常、商品認知から購入までのプロセスをすべて含むため、マーケティング担当者や営業、店舗のスタッフなど、それぞれの接点が網羅されます。全体の流れを共有することで、関係者の連携力を強化できるでしょう。経営ビジョンや店舗経営者が掲げる目標なども、カスタマージャーニーマップを用いて説明することで、認識の齟齬などが減り、正確に伝わりやすくなります。

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ペルソナのイメージ

マーケティングにおけるペルソナとは、特定の商品やサービスを購入してくれると思われる顧客像のことです。簡易的なペルソナとして「20代・女性・大阪在住」などが挙げられます。ちなみに、ペルソナとはラテン語で「仮面」を意味し、心理学では社会的な人格を意味する用語です。
カスタマージャーニーにおいて、顧客の行動や心理を具体的に時系列のストーリー仕立てで考えるため、ペルソナ設定が欠かせません。ペルソナ設定は、ターゲットとは違い、より具体的に人物像をリアルに設定する必要があります。まず年齢や性別、居住地域などの基本属性を元に作成します。
自社の消費者ターゲットを決めるうえでは、これらの基本属性だけで用が足りる場合もありますが、カスタマージャーニーではもっと多くの情報が必要です。たとえば「健康意識が高く、オーガニック食材を好む」などのように、好みや価値観、ライフスタイルなどの情報も盛り込みます。定量化しにくい複雑な情報も扱うため、ペルソナ設定では多くのサンプル数が求められる場合も少なくありません。
また、ペルソナの設定の際に陥りやすいミスとして、作り手の妄想や都合の良い設定をしてしまうことなどが挙げられます。そのため、正しく実用性のあるペルソナを設定するためには、しっかりとした情報収集が必要であるという事を念頭に置く必要があります。
この、事実に基づいたウソのないデータを集める方法として、自社が想定する顧客のリアルな購買データであるレシートの情報を活用する方法があります。レシートから抽出された事実ベースのデータを活用することで、より正確なペルソナを設定する事ができます。

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ここでは、ペルソナ設定とカスタマージャーニー作成の手順をそれぞれ解説します。全体の流れは、初めにペルソナ設定を行い、次にカスタマージャーニーを作成する順序です。

カスタマージャーニーを作成するには、ペルソナを設定しておく必要があります。ここでは、3つのステップに分けて手順を解説します。

ゴールの設定とは、ペルソナがどのような悩みや要求を持っており、それらが自社商品・サービスでどのように満たされるのか設定しておくことです。たとえば1日分の野菜をランチで採りたいと考えているペルソナなら、ランチメニューのサラダが顧客の要求を満たせるか検討する必要があります。

どのターゲット層を対象とするのか、おおまかなペルソナを設定します。この時点でのペルソナは「ターゲット設定」または「簡易ペルソナ設定」と呼ばれ、営業部やマーケティング部が自社商品を購入すると思われる基本的な属性をいくつか選びます。たとえば、飲食店の新メニュー販売に関した施策なら、40代女性、都内在住、年収350万円以上などです。これでは範囲が広すぎる場合は「5歳以下の子どもがいる」「昼間に来店する」など詳しい条件を追加することもあります。データで裏付けられているとは限らないので、後で修正が必要になることもあります。

②で設定したペルソナを肉付けして詳細に設定していきます。このステップでは、的確なペルソナ設定にするために、アンケートやWebサイトでの行動履歴、ベンダーが提供しているビッグデータなどの情報を入手する必要があります。できるかぎり定量的なデータでペルソナを作成することが重要です。ペルソナが具体的になると、購買プロセスに進む条件も明確にできます。仮に外食費に余裕がないペルソナを設定したとすれば、商品認知から興味・関心に移ってもらうためには、価格が安いことが条件のひとつになるでしょう。

ここまでで、ペルソナの設定の仕方を説明しましたが、ペルソナマーケティングの際のペルソナ設定と今回のペルソナの違いはありません。
この手順で、正しい情報を用いたペルソナを設定することが、カスタマージャーニーマップを作成するための第一歩です。
また、近年では消費行動が多様化し、複雑さを帯びているため1つのカスタマージャーニーを使い続けることは効果的でないので注意しましょう。
ペルソナ設定後は、定期的にペルソナとカスタマージャーニーマップの二つを適切にアップデートしながら活用することで、現代の市場に合わせたマーケティングを行うことが重要となります。

上記①~③で設定したペルソナの情報をもとに、カスタマージャーニーを作成しましょう。手順は以下の5つに分けられます。

・①カスタマージャーニーのゴールを決める
カスタマージャーニーで分析する範囲によって異なりますが、新規顧客数増加、リピート率アップ、既存顧客の満足度向上などの目標を設定します。

・②フレームを設定する
カスタマージャーニーの大枠となる分析項目を決めます。カスタマージャーニーマップを作成する際は、以下の図のように、横軸の項目を「認知」「情報収集(興味・関心)」「比較検討」などの購入に至るまでのプロセスにするのが一般的です。縦軸は顧客が各プロセスにおいてどの様な行動をとるのかという、その際の「行動」「思考」「タッチポイント」などを項目として設定します。

グラフ

・③顧客情報を収集する
顧客情報を収集します。レシートから抽出された購買データなどの、定量的な分析データと、定性的なアンケートやインタビューなどの情報を照合すると、信頼性が高い情報を得やすくなります。

・④フレームを用いてマッピングする
③で集めた情報を元に、フレームに従って各項目(マップ)を埋めていきます。あまり細かく記述しすぎると顧客層が狭まりすぎることに注意が必要です。そのため、たとえば行動なら「SNSでアンケートに回答」、心理なら「割引があってうれしい」などのように、端的に記述します。

・⑤商品購入までの一連をストーリーにする
マッピングが終わったら全体を見直し、商品認知から購入までのストーリーを検討します。
理想的には、実在する1人の人物の行動と心理として自然な流れのストーリーを考えます。
さまざまな部署や立場の人から具体的な人物をイメージできるか、意見を聞くとよいでしょう。イラストやグラフを挿入すると、よりわかりやすくなります。

なお、関連記事の「顧客の心つかめ!カスタマージャーニーマップの作り方とは?」を参考に作成することで、効率よくカスタマージャーニーが作成できます。

カスタマージャーニーのペルソナ設定に役立てやすいデータのひとつが「レシートデータ」。レシートには、顧客の行動や思考、市場の実態を把握できる有益な情報が満載です。
具体的にはレシート1枚で、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報が得られ、ここからユーザーひとりひとりに紐づいたリアルな購買行動を把握できます。

「IDレシートBIツール」なら、消費者の購買や併買のデータを、店舗・カテゴリーを横断的に確認できます。膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかるという場合に利用すると、効果測定の手間が大幅に短縮できるでしょう。また、同ツールでは、独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。POSデータでは見えづらかった自社商品の「買う人」と「買われ方」をしっかりと把握できるため、自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

商品認知から購入までのプロセスを視覚化できるカスタマージャーニーは、顧客理解に有効な手段です。マーケティング戦略の立案や目的意識の共有がしやすくなるメリットもあります。カスタマージャーニーを作成するにあたっては、精度の高いペルソナ設定が欠かせません。信頼できる顧客情報を収集して、カスタマージャーニーを作成していきましょう。

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