マーケットセグメンテーションを解説!評価軸や判断基準が重要

マーケットセグメンテーションを解説!
評価軸や判断基準が重要

現代のビジネスシーンでは、マーケットセグメンテーションが広く使われています。この手法はBtoBとBtoCの両方に使えますが、それぞれに適した評価軸が必要です。実施する際は、結果を検証するための判断基準も求められます。あらかじめ活用事例やSTP分析を知っておくと、マーケットセグメンテーションの理解が深まるので、順番に確認しましょう。

日本語でマーケットは「市場」を意味し、セグメンテーションは「分割や区分」という意味し、マーケットセグメンテーションは「市場の細分化」を指しています。マーケティングの効果的な遂行を目的とし、顧客を属性などで分類することが大きな特徴です。属性には、年齢や性別といった一般的な個人情報の他に、行動パターンや趣向などのパーソナルデータも含まれています。分類によって作られたグループはセグメントと表現され、自社商品の特徴などを考慮したうえでセグメントに最適なものを選ぶのです。

マーケットセグメンテーションが脚光を浴びる前は、万人向けを期待できる商品に注力するマスマーケティングが主流でした。しかし、現代は価値観の多様化が進んでおり、大量生産して市場に大量投入するビジネスで顧客のニーズに広く応えるのは難しくなりました。そのため、細かな単位ごとにアプローチできる手法としてマーケットセグメンテーションを取り入れる企業が増えてきています。

なお、マーケットセグメンテーションでは、顧客のデータを活用することがポイントです。顧客分析の精度を高められることで、明確になったセグメントごとに的確な戦略を組めるようになり、マーケティング効果の最大化に期待できるでしょう。

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マーケットセグメンテーションを実施するには、市場の細分化に使用する評価軸が必要です。正しく評価軸を設定することで、ニーズがマッチする顧客を市場から選べます。ただし、顧客は企業と消費者に分けられるため、以下のようにBtoBとBtoCで別の評価軸を設けなければなりません。

企業を対象とする場合、社風や企業規模、業界などが細分化の切り口です。性格に該当するものが社風で、体格に該当するものが企業規模というように、個人のプロフィールの項目を企業に当てはめていくと分かりやすいです。また、決裁権限の有無や購入履歴のような取引上のデータを考慮することも大事です。たとえば、法人向けのサービスを提供する場合、企業規模に着目すれば、「従業員数にかかわらず一定の価格」「従業員数よって変動する価格」のどちらが好まれるのか検討できます。業界に焦点を当てると、消費量が多い物品の傾向などを参考にして、自社製品の売り込み先を決定する指標が得られます。

消費者を対象とする場合の評価軸は次の4つです。それぞれの特徴と具体的な要素を把握しておきましょう。

地理的変数とも呼ばれるもので、国や都市のような居住地域の観点による分類で使われます。エアコンの売れ行きに気候が関係するなど、エリア単位の戦略も組みやすくなることが特徴です。人口密度や面積、経済成長度といった数値で表せるものだけでなく、文化や気候なども含まれます。

心理的変数とも呼ばれ、メンタルや感性などの心理的属性に着目して使用される基準です。趣向の多様化が進むにつれて、隠れたニーズを見極めるために重視されるケースが増えてきました。価値観などのパーソナリティやライフスタイル、関心のある分野などが該当します。

消費者を細分化する際に最も多く利用されている、人口統計学的な属性です。一般的な個人情報がベースとなっており、容易に測定できます。年齢や性別、職業・家族構成や所得などが含まれており、日常生活との関わりが強い商品と連動しやすいです。

ビヘイビアルともいい、消費者が商品に対してとった行動による分類で用いられます。日時や金額のような購入した際の状況や、購入している頻度などが代表的な要素です。レシートデータによる把握が可能で、実際に起こったことが検討の材料になるため、予測の精度を高めやすいという特徴があります。

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「4R」を活用することで、マーケットセグメンテーションを正しく実施できたか評価できます。それに含まれるのは、以下に示す「規模の有効性(Realistic)」「優先順位(Rank)」「Reach(到達可能性)」「Response(測定可能性)」です。

セグメントが収益アップを期待できる規模なのか検討します。基本的には、属している人数で判定するので簡単に行えることが特徴です。ニーズに合っていると判断できる商品でも、市場が小さいと売上を伸ばすのは容易ではありません。費用対効果をよく考えたうえで、市場が小さいセグメントは対象から除外することが得策です。

商品やサービスとマッチしている度合いにより、セグメントにランク付けをして優先順位を設定します。特徴は、重要度の高いセグメントの詳細を確認し、そこへの注力を前提として判断することです。企業の資金や人材は有限なので、着実に成果を上げるには、優先順位を正しく定めてリソースを分散させない戦略がポイントです。

いくら商品やサービスを充実させても、届かなければ意味がありません。そのため到達可能性では、セグメントに届けられる商品や施策なのかを判断します。たとえば、潜在的な需要を見込めても、対象が離島のセグメントなら輸送コストの高さがネックになりやすいです。また、外国の場合はコミュニケーションが問題になる場合もあるなど、届けるまでのリスクに十分な配慮が必要です。

いくら商品やサービスを充実させても、届かなければ意味がありません。そのため到達可能性では、セグメントに届けられる商品や施策なのかを判断します。たとえば、潜在的な需要を見込めても、対象が離島のセグメントなら輸送コストの高さがネックになりやすいです。また、外国の場合はコミュニケーションが問題になる場合もあるなど、届けるまでのリスクに十分な配慮が必要です。

実際にセグメントの反応や効果を見ることは、マーケットセグメンテーションの成果を把握するうえで重要です。したがって、実施後に反応などのチェックをセグメントに行えるかどうかを判断します。チェックが可能で評価の傾向などが分かれば、商品の開発や改善につなげられるなど、次の戦略を適切に考えることも難しくありません。持続的な利益の向上に欠かせない基準だと理解しましょう。

マーケットセグメンテーションの成功事例:ハーゲンダッツ

マーケットセグメンテーションをうまく実施したいなら、実際に成功したハーゲンダッツの取り組み事例を知っておいた方がよいでしょう。同社はアイスクリームの製造や販売を手がける企業ですが、他の企業と異なる戦略で事業を展開しました。各企業は子どもをアイスクリームのターゲットとして捉え、低年齢層に好まれるヒット商品を生みだすことに力を注いでいました。それに対して同社は、当時の常識にとらわれることなく、年齢や性別・所得などによりセグメントを分け、経済的に余裕のある大人の存在に着目しました。

ポイントは「高価でも満足度の高いものを食べたい」「おいしいスイーツを食べて癒やされたい」というニーズがあったことです。これを踏まえて、「ワンランク上のアイスクリームを希望する大人」というセグメントを設け、そこをターゲットとするマーケティングを実施しました。また、アイスクリームショップの運営というスタイルをとらず、大人が買い物をする店舗にパッケージ商品を提供する方向にシフトしたのです。結果として、同社のアイスクリームは少し贅沢なスイーツとして認知されています。大人をターゲットとするアイスクリームの高級ブランドというポジショニングにより、競合他社との差別化に成功しました。

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マーケティングで使われるSTP分析には、セグメンテーションが用いられています。この分析手法は著名な経営学者であるフィリップ・コトラー氏が考案したフレームワークです。複数の重要なプロセスで構成されていることが特徴で、メインの市場となる顧客を選定し、どのようにアピールすれば最大の効果を得られるのか決定できます。新商品やサービスの展開に欠かせないのは、以下に挙げる3つの要素です。

セグメンテーションとは、顧客の属性による「市場の細分化」を指すもので、マーケティングのコンセプトを定めるためにも欠かせません。適切に実施すれば、細分化された市場、すなわちセグメントごとにニーズを理解できますし、市場の全体象を把握するという用途にも役立ちます。なお、成果を大きくするためのポイントは、可能な限りニーズを細かく分割することです。

ターゲティングとは、セグメントごとに評価を実施して、どれを自社のターゲットに設定するのかを決定する取り組みです。たとえば「3C」と呼ばれる指標によりターゲットを絞れます。3Cに含まれるのは、市場の収益性や成長性を指す「顧客(Customer)」、他社に対する優位性などを示す「競合(Competitor)」、これまでの戦略との整合性を意味する「自社(Company)」。この3つの指標を分析することで、市場環境を網羅的に把握し、ターゲットを明確にします。

利益を大きくするには、自社の立ち位置を明確にしたうえで、競合他社と差別化するポイントを定めなければなりません。この取り組みはポジショニングと呼ばれており、対象となる商品やサービスの特徴を示す属性に着目します。たとえば、アパレル系の企業なら「価格」「デザイン」など特に重要な属性を2つ選び、それらを縦軸と横軸とする領域に、自社が売り出したい商品を配置します。同じ領域に、競合他社の商品や自社の既存商品も配置することで、競合他社との違いを的確に把握する分析が可能です。

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マーケットセグメンテーション時に併せて考えたいのが、自社商品を誰がどのように買っているか。「買う人」と「買われ方」を的確に認識することで、その後のマーケティング施策を検討しやすくなります。

たとえば、レシートデータを活用して顧客の思考や市場の実態を把握する方法があります。具体的にはレシート1枚で、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を把握できます。

「膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかる」とお悩みの方はBIツールの導入がおすすめです。「IDレシートBIツール」は独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。

それでは具体的に「IDレシートデータ」から、どのような分析が可能なのか、実際の分析事例を紹介しましょう。

既に公開している分析レポートの中には、「ピンポイントなフードペアリングをターゲットとした商品が、本当にそのターゲットに購入されているか」を分析しているものがあります。ターゲットのセグメンテーションの検証例として、参考にしてみてください。

「ペプシからあげ専用」が「からあげ」と一緒に買われているかを評価するためには、ベンチマークとなる比較対象が必要です。そのため、「コーラ飲料全体」をベンチマークとして、「からあげ併買率」を調べてみました。


グラフ

結果は、「コーラ飲料全体」の「からあげ併買率」が4.9%なのに対して、「ペプシからあげ専用」は7.9%と、3ポイント高いことが分かりました。

■「からあげ」の併買飲料に、購入時間で違いはあるの?
ただ「からあげ」と一緒に購入する飲料は、「コーラ」だけでなく、酎ハイやビール系飲料などの「スピリッツ・リキュール」といったアルコール飲料とも相性が良さそうです。

ということは、購買時間帯ごとに併買飲料の違いがあるかもしれません。 そこで日中と夜間帯では、併買商品にどんな差があるのかを調べました。


グラフ

19時までの昼の時間帯を調べてみると、なかなか酒類が上位とならないのは予想通りです。炭酸飲料とコーラが2強となっており、お酒は「スピリッツ」が7位に入っただけとなっています。

続いて夜間帯の19時以降を見てみましょう。


グラフ

夜間帯になると、1位がリキュール類、2位がスピリッツ、4位にビールとなり、上位に酒類が目立つようになりました。やはり夜は、お酒との相性が良さそうです。

このレポートでは、「ペプシからあげ専用」購入者のデモグラの紹介からはじまって、「からあげ」がどのような飲料と一緒に購買されているかを検証しています。様々なターゲットや時間帯で、どのように購買商品が異なるかを調べる事例として、レポート全体をご覧いただければと思います。

詳細については下記のURLでレポートをご覧ください。
https://receiptreward.jp/solution/report/pepsi-karaage.html

上記のように、公開しているIDレシートデータの分析レポートでは、様々な視点での分析例が掲載されています。マーケティングにおけるデータ分析のヒントとして、ぜひご活用ください。

"IDレシートデータ"活用事例は、こちらをご覧ください。
https://receiptreward.jp/solution/report/

マーケットセグメンテーションは、ニーズが多様な状況でも有効なマーケティング手法です。適切に使うことで、複雑化している現代の市場においても収益の最大化を目指せます。そのためには、実施に必要な評価軸や検証用の判断基準なども把握しなければなりません。活用事例なども参考にしながら、マーケットセグメンテーションの理解を深めましょう。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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