客単価

客単価とは?
計算方法や分析データを活用するメリットについて詳しく解説

「客単価」は、売上アップを目指す上で重要な指標であるだけでなく、経営戦略やブランディングの方向性を検討する際にも大切な役割を果たすと言われています。

この記事では、「客単価」の定義や計算方法などの基本知識から、分析メリットや具体的な施策例などを詳しく解説します。客単価アップのために何をすれば良いか、模索検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

まずは「客単価」の定義から確認してみましょう。

「客単価」とは、顧客1人が1回の購買で支払った金額の平均です。

売上は「客単価」と「顧客数」で構成されるため、売上アップのためには、来店客数を増やすか、この客単価をアップさせるかの2つの方向性が考えられます。集客強化のための施策に注力することは大切ですが、同時に客単価の現状把握、単価アップのための施策検討も忘れてはいけません。

客単価は以下の計算式で求めることができます。

客単価 = 売上 ➗ 購入した顧客数

例えば、顧客Aが500円の商品を購入、顧客Bが500円の商品と1,000円の商品を購入した場合の客単価は、

(500円 + 500円 + 1,000円) ➗ 2 = 2,000円

となります。

店舗の月の売り上げが500万円、購入した顧客数が500人の場合の客単価は1万円です。

スケジュール

客単価を算出し、分析することによって、以下のようなメリットが生まれます。

客単価が高まる傾向を把握することができれば、その成功パターンが再現するような販促施策を実施して売上拡大につなげられます。

例えば、年末に向けて12月上旬の客単価が高まることがわかった場合は、11月中に集客施策を行ったり、12月によく売れる商品をオススメとして陳列やPOPに反映することができます。

また、週末の夕方に来店する顧客の単価が高いことがわかったなら、店舗のオペレーションを充実させたり、在庫の補充をしたりして、取りこぼしがないように対策するなどが考えられます。

商品やサービスの販売方針やブランディングの方向性を決める際は、客単価を仮設定して検討を進めます。例えば、競合他社と比較して客単価を高く設定する「高級路線」、反対に低く設定して「コストパフォーマンスの良いブランド」として展開、という具合です。

さらに定期的に客単価の実情を分析し、戦略通りのブランディングができているかを測定します。もし想定していた方向性と乖離がある場合は、なぜその違いが発生したのか、どの程度違うのかを把握し、戦略自体に軌道修正が必要かどうかの判断材料とします。

客単価の分析は、店舗ごとの売上と購入者数だけで算出することができますが、客単価が上がったり下がったりした際の理由を探るには、IDPOSなどの購買データを活用し、詳しく分析していく必要があります。

例えば、購入金額が5,000円を超える顧客は何を購入しているのか、どんな頻度で来店しているのか、その顧客の属性は?など、細かく把握していく中で、課題を見出し、売上アップのためには何をすれば良いのかを探っていきます。

多店舗展開している場合は、店舗ごとの客単価を把握した上で、販売戦略を変える必要があるかもしれません。

ドラッグストアやコンビニを販路としている場合は、POSデータ以外にも「IDレシートデータ*」を活用し、購買行動を分析することで、より網羅的に顧客を理解し、客単価アップの施策検討に繋げることもできるでしょう。自社の課題に合わせたデータ収集方法を洗濯しましょう。

*「IDレシートデータ」とは、ドラッグストアやコンビニなどの取扱商品において、チェーン横断、店舗・カテゴリー横断で、購買データを分析することができるシステム。約3万人の購買データを有しており、顧客の日々の行動履歴が網羅的に分かるので、顧客の比率や傾向を分析できます。

客単価が下がってしまう要因として、以下の2つが考えられます。

まず最初に考え得る要因として、1回に購入する商品点数が減ることが挙げられます。

競合他社と比較して商品力が弱かったり、市場のニーズやトレンドに合致していない商品を多く販売していたりすると、徐々に購入量は減少します。

他にも、商品1つ1つの値段が相場よりも高く設定されていると「まずはお試しで1つだけ」というような心理が働き、購入点数の減少につながります。

定期的にセールを行っている店舗の場合は「次のセールまで待とう」と買い控えが起きて、購入点数が伸び悩むケースもあります。

購入個数を上げるために実施した施策によって、商品単価を下げ、客単価も低下してしまうことがあります。

例えば、ついで買いを狙って安価な商品を大量に仕入れたはいいが、その商品だけを購入していく顧客が増えてしまうと、客単価は下がってしまいます。他にも、商品・メニューを拡充しようと、定番商品よりも安価なラインナップを追加した場合、定番商品よりも安い新商品へ移行してしまうことも考えられます。

購入点数をあげるために、商品1つ1つの値段を下げてしまうと、それはそれで、購入金額総額としてUPすることができなくなります。一度下がった客単価を上げることは容易なことではないため、価格設定は慎重に行わなければなりません。

ここからは、客単価をあげるための具体的な施策例6つをご紹介していきましょう。

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1. 商品価格を上げる:
商品1つ1つの値上げをすることで客単価を引き上げます。ですが、大幅値上げをすると、顧客が離脱してしまう可能性もあるので要注意です。

2. 松竹梅の価格設定:
人は「松・竹・梅」の3つの価格帯を用意すると、真ん中の「竹」の価格帯を選びたくなる傾向があります。この法則を利用して、一番売りたい商品(例:利益率が高い、仕入れが簡単など)を「竹」に設定することで、客単価アップにつなげます。

3. クロスセル・アップセル:
クロスセルとは、関連商品の同時購入させることです。「にんじんやジャガイモの陳列棚にカレールーを配置する」、ECサイト上で「この商品を購入した方は、こちらも購入しています」というレコメンドを表示させる、などがその例です。

アップセルとは、顧客が購入しようとしている商品よりも上位の商品を勧めて購入してもらうことです。押し売りにならないよう、上位商品の価値を十分に納得してもらえるような案内が必要になります。

4. まとめ買いを促す:
「3パックで、xxx円」といった形で大量買いを促進する方法です。

5. 特典を用意しておく:
「この商品を4点以上購入すると特製タンブラーがもらえる」「10,000円以上お買い上げで送料無料」といった特典をつけて、客単価アップを狙います

6. 決済手段を増やす:
現金以外に、クレジットカード、スマホ決済、電子マネー決済、ID決済など、複数の決済方法を導入しておくことで、購入層を広げることができる上、アップセル・クロスセルなどにより、急な高額決済時のチャンスロスを防ぐことができます。
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これらの例を参考にしつつ、自社の商品特性や顧客特性に合わせて施策立案・実施を行っていきましょう。また、施策を行う際は効果測定方法も合わせて検討し、立てた仮説を検証できるよう事前に準備をしておくと、効率よくPDCAを回すことができます。

さらに、効果測定時の注意点として、施策の対象となる商品そのものの売上変動だけでなく、関連商品や、時に関連がなさそうな別カテゴリの商品の変動にも視野を広げることも必要になります。自社のPOSデータ分析だけでは効果測定が不十分である場合は、IDレシートデータなど第三者が提供する購買データを用いて、より包括的な効果測定を心がけましょう。

以上、「客単価」の基礎知識から、具体的な単価アップの施策例までを解説してきました。

一言に「客単価を上げる」といっても、そのアプローチ方法は様々です。自社に最適な施策を企画していくために、実施するごとの効果検証を忘れず、学びを次に生かしながら精度を高めていきましょう。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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