フレームワーク

現状分析を成功させるためのフレームワーク

変化の多い現代社会において、企業などの組織を存続させるためには、時代に合わせて変化し続けることが必要と言えるでしょう。よりよい形を目指すためには、自社そのものや自社を取り巻く環境の現状を把握し、分析することが最初のステップとなります。このステップで有効なのが、フレームワークを用いた現状分析です。

そこで今回の記事では、現状分析を成功させるためのフレームワークをご紹介しています。現状分析にフレームワークが有効な理由や、フレームワークを用いる際の注意点も合わせて解説していますので、ビジネスにおける現状分析についてお悩みの方は是非参考にしてみてください。

現状分析とは、課題解決を図るための最初のステップです。現状分析の対象には、自社の内部のみならず、競合他社などの外部の状況も含まれます。

そんな現状分析を効果的に進めるためには、論理的思考が有効です。このような論理的思考の枠組みを「フレームワーク」と言います。ここからは、現状分析において役立つフレームワークを5つご紹介します。


SWOT分析_図1

SWOT分析は、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」という4つの要素を洗い出すことで、自社の現状を把握する手法です。SWOTとは、4つの観点の頭文字にあたります。経営戦略や事業戦略など、企業の大まかな方向性を決めるのに適したフレームワークです。

ここで、「強み」と「弱み」は自社がもつ資源などの内部環境を、「機会」と「脅威」は競合他社や社会などの外部環境と関連しています。また、「強み」と「機会」は自社の成長に貢献し得るプラス要因である一方で、「弱み」と「脅威」は自社の成長の障害となり得るマイナス要因と称されます。

SWOT分析は、クロスSWOT分析を併用することでより効果的になります。クロスSWOT分析とは、SWOT分析における内部環境の軸と外部環境の軸を掛け合わせる手法です。例えば「強み×機会」からは、ビジネスチャンスが到来した際に自社の強みを活かすための戦略を見つける手立てが得られます。

SWOT分析についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事も合わせて参考にしてみてください。
SWOT分析とは?手順や効果的に活用するポイント、活用例もご紹介

3C分析

3C分析とは、自社を取り巻く外部環境とその中での自社の立ち位置を把握するためのフレームワークです。「Customer(市場・顧客)」「Company(自社)」「Competitor(競合)」という3つのCに着目します。これらの3要素は独立しているのではなく、互いに干渉しあう関係性にあるため、3C分析を通じてこれら3つの要素を合わせて考えることが重要です。

3C分析は、SWOT分析において外部環境をミクロな視点から把握する際にも有効なフレームワークです。3C分析についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事も合わせて参考にしてみてください。
3C分析って何?コンビニ経営におけるマーケティング分析の方法とは

PEST分析とは、自社をとりまく外部環境を分析する手法です。PEST分析では「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」という企業がコントロールできない4つの要素を軸とします。これら4つの視点に立ち、経済情勢を捉えることで、市場において自社の製品やサービスがどのような影響を受けるか予測することが、PEST分析の目的です。

PEST分析は、主に事業戦略経営戦略やマーケティング戦略といった事業戦略を決定する際に用いられます。3Cよりマクロな視点に立ったフレームワークで、市場環境を5年や10年などの長期的な視野で捉えようとします。そのため、PEST分析はSWOT分析において外部環境をマクロな視点から把握する際にも適しています。

5forces分析

5フォース分析では、企業を取り巻く5つの脅威に着目します。5つの脅威を分析することで、自社が置かれている業界の構造と、自社の競争優位性を客観的に把握することが、5フォース分析の目的です。5フォース分析は基本的に競合他社を分析する手法ですが、自社を取り巻く脅威や業界の動向の分析は、現状分析にも効果的に用いることができます。

そして5フォース分析で注目する脅威は、「競合他社」「代替品」「売り手」「買い手」「新規参入」という競争要因です。競合他社は、業界内で直接的に収益を争う存在と言えます。また、自社よりも安価で高品質な代替品が現れた場合、顧客はその代替品へと流れてしまうでしょう。売り手や買い手と自社の力関係も重要です。自社製品を扱う売り手が少ない場合や、自社製品の競合が多く買い手が幅広い選択肢から選べる場合は、自社の力が相対的に弱まります。そして新規参入がしやすい業界であればあるほど、競争が激化し収益が落ちる危険性が高まります。

vrio分析

自社の経営資源の強み、弱みを分析するフレームワークが、VRIO分析です。「Value (経済的価値)」「Rarity (希少性)」「Imitability (模倣困難性、模倣可能性)」「Organization (組織)」という4つの視点に立って分析を行うため、頭文字をとってVRIO分析と呼ばれています。

VRIO分析では、次の順に各視点に立って検討するのがよいとされています。そこで、4つの視点の詳細を順番に見ていきましょう。まず、ヒトやモノなど自社の経済的価値がどの程度あるのか分析することで、自社の競争優位性が分か明らかになります。次に、他社と比べて自社の経営資源が希少かどうかによって、市場における受容と供給のバランスが分かります。そして、競合他社がどの程度のコストをかけて自社製品を模倣できるかどうか考えることで、競争優位の状態が一時的なものか否かが判明します。さらに、自社の経営資源を有効活用できる組織の状態が整っているか分析することで、持続的な競争優位の状態にあるかどうかが分かるのです。

ポイント

フレームワークは、論理的に現状分析を進めるのに大いに役立ちますが、使用時には注意すべきポイントもあります。

まず、事前にその現状分析が向かうべきゴール、つまり現状分析の目的を明確にしておきましょう。フレームワークは汎用性の高いツールである分、個別のケースに合わせて自動的に応えが導かれるものではありません。分析を通して必要としている結果を出すためには、最初に何のための分析かを明らかにしておくことが不可欠となります。

また、フレームワークはあくまでも論理的思考のための手段であるため、分析結果に頼りすぎないよう意識しておきましょう。フレームワークを用いた現状分析で得られる結果は、現状の把握に過ぎず、その現状を踏まえて戦略に生かす方法を考えることが重要です。

さらに、現状分析の過程においては主観的な意見と客観的な事実をしっかり区別するようにしましょう。個人によって異なる可能性のある主観的な情報ではなく、データをはじめとした誰が見ても納得できる客観的情報に基づき、公平な視点に立つことで、現状を適切に捉えることができます。

客観的事実に基づいて現状を適切に捉えるために有効なのが、フェリカネットワークスの「IDレシートBIツール」です。

自社の現状の立ち位置を把握するためには、自社商品と競合他社商品の比較を行う必要があります。そこで注目すべきは、どのようなデータを手に入れられるかどうかという点です。IDレシートBIツールは、消費者の毎日の買い物レシートを基にチェーン横断で日々の購買データを網羅的に蓄積しています。そのため幅広い属性を対象として、チェーンの制限なく横並びでのチェーン比較分析を行うことが可能です。

今回の記事では、現状分析に役立つフレームワークや分析時のポイントについてご紹介しました。フレームワークやデータを適切に用いながら、現状を論理的かつ客観的に分析し、企業の成長の一歩を進めていきましょう。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

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