アンケート結果を分析するには?
集計や分析手法のいろはを解説

アンケート結果を分析するには?集計や分析手法のいろはを解説

アンケートは、商品・サービスに対するユーザーの意見を効率的に集められる方法のひとつです。アンケートで集めたユーザーの意見をうまく活用すれば、商品開発やマーケティングに役立てることも可能です。ただし、アンケートを実施するだけでは商品開発やマーケティングの向上に余りつながりません。アンケートの集計結果を適切に分析することが重要なのです。そこでこの記事では、具体的な集計方法や分析方法を説明します。

アンケートをうまく活用するためには結果の分析が必要ですが、アンケート分析にもふさわしいタイミングがあります。たとえばアンケートを実施後、すぐに結果を分析している方はいませんか。アンケート実施直後の分析は、タイミングとしてふさわしいとはいえません。なぜなら、結果を分析する前に「集計」のステップを踏む必要があるからです。

集計はアンケートの回答をデータにまとめて、数値や割合に置き換える作業です。では、なぜ集計が必要なのでしょうか。それはデータをまとめることで全体像や属性ごとの傾向が把握しやすくなり、分析の成功につながるからです。また、集計と並行してアンケートを実施する目的を再確認すれば、目的に沿った情報の抽出に役立ちます。アンケートを作る段階で集計と分析の工程を意識しておけば、作業効率アップも期待できます。

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集計は、アンケート結果の全体像や属性ごとの傾向を把握するために必要な作業であり、いくつか手法があります。ここでは代表的なアンケート集計の手法を3つ解説します。

単純集計はGT集計(Grand Total)とも呼ばれる手法です。アンケート結果の全体像を把握するための最もシンプルな手法で、設問ごとに回答結果を集計し、各選択肢の回答者数の割合や比率を計算します。単純集計には、複雑な計算が少なくシンプルで分かりやすいという特徴があります。単純集計の具体例をひとつ紹介しましょう。たとえば商品Aの満足度を「満足」、「不満」、「どちらでもない」の3択で100人にアンケートしたとします。100人全員が回答したとして回答者数が「満足」75人、「不満」5人、「どちらでもない」20人だった場合、単純集計の結果は「満足」が75%、「不満」が5%、「どちらでもない」が20%です。この結果から、全体的な傾向は商品Aに対する満足度は高いことが推測できます。

クロス集計とは性別や年齢などの属性ごとの詳細情報を得られる集計方法で、どのような属性の人が各選択肢を回答したのかを把握できます。クロス集計では、設問や属性を組み合わせて集計する方法が一般的です。複数の要素を組み合わせるため集計は複雑になりますが、その分より詳細なデータを把握できます。たとえば「商品Aを購入したいですか」という設問に対し、クロス集計では「年齢」や「性別」など違う要素を組み合わせて集計を行います。「商品Aを購入したい」と回答した人が70人だった場合、その中で女性が50人なら女性の購入意欲が高いことが分かります。

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自由記述を集計する場合、回答形式の違いによって集計方法を変える必要があります。回答形式が数値の場合、平均値、中央値、標準偏差、最小値・最大値をそれぞれ求めます。複数の数値を求めるのは、ひとつの数値のみだと偏りが生まれる可能性があるからです。たとえば平均年収は1億など極端に高い数値があると、平均年収が一気に上がり全体の傾向を見誤ってしまう可能性があります。そのため中央値や標準偏差などの数値も求める必要があるのです。

また、回答形式が文章の場合は、アフターコーディングやテキストマイニングを実施します。アフターコーディングとは記述式回答を類似の回答、キーワードなどで分類してコード(選択肢)に置き換える作業のことです。文章をコードに変換することで集計や分析の効率アップが期待できます。テキストマイニングは文章を単語や文節で区切り、それらの出現頻度や相関関係などから、情報を取り出す手法です。テキストマイニングは文章の全体像や特徴の把握に役立ちます。どちらも文章をデータとして分析しやすくするための手法ですが、文章による回答をデータ化することで、情報を見落としてしまう可能性があるので注意が必要です。

アンケート分析のキホン③|4つの分析手法を覚えよう

アンケートの集計が完了したら分析のステップに移ります。主な分析手法は4つあるので、それぞれ解説します。

アソシエーション分析とは、データとデータの間にある関連性(アソシエーション)を分析する手法です。データマイニング手法として有名ですが、アンケート結果の分析にも役立ちます。アソシエーション分析は「商品Aの購入者は、商品Bも購入していることが多い」のように、同時に購入された商品の傾向を調べる時などに有効です。一見無関係なように見える商品同士に意外な関連性を探し出せる点が、アソシエーション分析の大きな特徴です。アソシエーション分析を実施し、複数のデータの間にある関連性や法則性を導き出せれば、より具体的なマーケティングが可能です。

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クラスター分析とは、特定のルールで回答者をクラスター集団に分けて、それらの傾向を把握するための手法です。クラスターの分類方法には大きく分けて「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」の2種類があります。階層クラスター分析は最も似ている回答者同士を集めて小さなクラスターをつくり、それらを逐次的にまとめて大きなクラスターを作る手法です。アンケート回答者全体がどのようなクラスターから成り立っているのか、クラスター同士の関係性などを把握するのに役立ちます。非階層クラスター分析は事前にいくつのクラスターを作るか決めて、決めた数のクラスターに分類する手法です。サンプル数の多いデータの解析に適している点が特徴です。クラスター分析を実施すれば各クラスターの傾向を把握できるので、クラスターごとに適したマーケティング施策が導きやすくなります。

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決定木分析とは、木構造(ひとつの要素から複数の要素が枝分かれして広がるデータ構造)を活用してデータを段階的に分析する手法です。ひとつの要素から「もし~だったら?」と仮説を繰り返し、何通りもの予測を立てていきます。ひとつの要素をもとに多くの予測が発生するので、分析の過程で樹木状の図になるのが特徴です。決定木分析の活用シーンは多く、商品やサービスの見込み顧客の属性の把握、満足度が高い顧客の属性の把握、リスクマネジメントなどに役立ちます。また満足度や購入行動に影響を与えている要因を導き出しやすい点もポイントです。

主成分分析とは、アンケート結果の属性が近いもの同士を集める手法です。クラスター分析と似ていますが、クラスター分析が似ている回答者をまとめるのに対し、主成分分析はアンケート結果が近いものをまとめるという違いがあります。主成分分析の特徴は、データ全体が把握しやすくなる点です。集計した項目が増えれば増えるほどアンケート結果の属性が多岐にわたり、全体の傾向や印象を把握するのが難しくなります。主成分分析でアンケート結果が近いものを集めれば、データ全体が把握しやすくなる訳です。そのためアンケートの項目数が多い場合などに有効です。

アンケート分析を成功させるためには、まず全体像を把握することが重要です。なぜなら大まかな情報や傾向を理解しておくことで、深く分析するために必要な細かい情報を洗い出せるからです。また全体を見ずに細かい情報だけ見ていると、全体の傾向と矛盾する仮説や結論を導いてしまう恐れもあります。全体像を把握するためにおすすめなのが単純集計です。まずは単純集計で全体の傾向をつかみ、次にクロス集計などで分析に必要な細かい情報を集めていきましょう。

ExcelやGoogleスプレッドシートはアンケート分析に役立つのは事実です。たとえば、Excelには相関係数や散布図の機能が搭載されています。相関係数とは2つの変数の関係(相関関係)の強さを表す指標で、散布図は相関関係の有無を視覚的に表したものです。これらを活用することで、簡単に分析を行えます。さらにGoogleスプレッドシートはExcelと同じような分析ができる上に、アンケート作成ツールであるGoogleフォームと連携もできるのでとても便利です。

ただしExcelやGoogleスプレッドシートでの分析には、使い手によって分析結果が異なるというデメリットがあります。特に使い慣れていない人がExcelで分析すると、適切な分析結果が導き出せない恐れもあるので注意が必要です。安定した分析結果を求めるなら、アンケート分析に特化したツールを外注するのがおすすめです。

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アンケートを使った市場調査は、もちろんマーケティングには欠かせませんが、よりリアルに顧客を知る方法のひとつに「レシートデータの活用」が挙げられます。レシートデータの魅力は、横断的に購買データを分析できる点です。具体的にはレシート1枚で、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を把握できます。

「IDレシートBIツール」なら、消費者の購買や併買のデータを、店舗・カテゴリーを横断的に確認できます。膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかるという場合に利用すると、効果測定の手間が大幅に短縮できるでしょう。また、同ツールでは、独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。POSデータでは見えづらかった自社商品の「買う人」と「買われ方」をしっかりと把握できるため、自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。

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アンケートは実施して終わりではなく、集計し分析して、初めてマーケティングなどにうまく活用できます。まずは単純集計で回答の全体的な傾向をつかみ、その後クロス集計などで必要な細かいデータを集計しましょう。集計が済んだら、アンケートの目的やデータの内容に合わせた分析手法を選びます。アンケートの分析はExcelなどでも可能ですが、結果にばらつきが出る恐れもあるので、分析に特化したツールの外注もおすすめです。

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