消費財メーカーはコンビニチェーンのPOSデータをどう活用すべきか

POSデータとは?活用術や分析方法を紹介

コンビニでの購買情報をデータ化したPOSデータは、コンビニを販売チャネルとする消費財メーカーのマーケティングにおいて重要です。POSデータの活用次第で売上や競合優位性を高められるため、本記事では、POSデータから入手できる情報や、事例を基に具体的な活用方法を解説します。また、POSデータでは取得が難しい、チェーン横断の購買データを自動分析できる「IDレシート」についても紹介していきます。

POSデータは「Points of POSデータの「POS」とは、Point of salesの略で、商品が販売された時点という意味です。POSデータは、レジで商品のバーコードを読み取って得られるデータで、購入された商品や購入時刻、購入店舗、商品ごとの価格や個数などの情報が含まれます。購入したタイミングでデータが集積されていくためリアルタイム性が高く、コンビニではPOSシステムを導入した1980年代以降、全店舗の売上情報を瞬時に把握し、在庫管理や仕入計画に役立てられるようになりました。
顧客の趣味嗜好が多様化する現代において、ニーズ理解のためには顧客分析が必要不可欠ですが、加えてコンビニにおける購買傾向が変化してきていることがPOSデータ分析の重要性に大きく関わっています。以下の引用からも伺えるように、店頭で販売している惣菜やお弁当、カウンターフード、日配食品などが食卓に並ぶ機会は増加しています。
これらのカテゴリがどんな顧客に選ばれているのかを分析することは売上に大きく影響するでしょう。

セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)のチェーン全店売上高は4兆5,156億円(2016年度)。そのうち米飯、調理麺、サンドイッチといったファストフードの売上高は1兆3,501億円(29.9%)、焼きたてパン、デザート、パウチ総菜などの日配食品の売上高は6,141億円(13.6%)で、両方で約44%を占める。そして、それらの商品のほとんどが独自開発商品である。 引用:相互利益を徹底追求した「戦略提携」で、信頼関係と価値あるPB商品が生まれる

クレジットカードでの決済やQR決済の場合には、前述したような購買情報以外に顧客の属性もデータ化できます。この販売データと客層データから、売れ筋商品の把握や消費者の購買傾向を分析し、どんな顧客に何を売るべきかや売るタイミング、セット販売が有効な商品、店舗内の陳列変更など、商品企画やプロモーション、販売に至るまで幅広く役立てられます。
ただし、クレジットカード事業者やQR決済事業者とPOSデータを持っている事業者が顧客属性をやりとりしているケースはあまりありません。
一般的に、セブンアプリやnanacoポイント、Tポイント提示など、ポイント事業者が顧客属性を提供しているケースはあります。
こうしたポイント事業者は、ユーザの属性の見えないPOSに比べて、より分析精度が高まるものの、カード提示がない購買は紐づかない、もしくは流通を横断して紐づけることができないなどの課題があります。

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また、POSと似た単語で「ID-POS」というものもあります。
ID-POSは、購買に人が紐づくものの、紐づくデータが限定的(チェーン限定など)である特徴があります。

POSデータがどんなシーンで有効なのか、具体的な分析視点と把握できる内容について解説します。

・販売検証
特定の商品における販売年月日や時間、販売個数を検証できます。バーコードで読み取ったすべての商品について汲まなく情報収集でき、販売状況を可視化します。

・廃棄率検証
特定の商品において、納品した数と販売した数を比較することで、何パーセントが廃棄されているかを割り出せます。食品廃棄ロス削減のためにも重要な分析です。

・欠品率検証
売れ筋商品の販売個数と納品個数を比較することで、欠品頻度が推測できます。具体的にどんな季節や時間帯で欠品が発生しやすいのかを把握し、納品計画に活かせます。

・品ぞろえ検証
商品によっては季節やトレンドなどで顧客が求める商品が異なります。販売個数の推移から最適な品揃えを割り出すことで、欠品や余剰を防ぎ、効率的な販売を実現します。

・過去の販売検証
蓄積された膨大なデータを時系列に見ることで、前年度と今年度の同時期における販売傾向の比較や、曜日と販売数の関係性などが導けます。

・売れ筋把握
チェーン全体や、近隣チェーンに絞った売れ筋商品の情報から、全体傾向とエリアごとの傾向を分析し、店舗ごとの納品数を調整できます。

・客層分析
曜日や時間帯ごとの販売個数や顧客情報から、どんな時にどんな客層がどの商品を求めているのか、顧客視点で捉えられます。天候などの環境要因も含めて比較すると、顧客心理が掴みやすいでしょう。

POSデータで取得できる購買データは特定チェーン内に閉じているため、チェーン横断的な分析ができない点や、顧客心理の把握に限界がある点など課題も認識しなくてはなりません。また、データを入手後に手作業で分析する際、傾向を掴むまでに時間を要したり、分析する人がスキルを保有した人に限られるなど、運用上の問題も存在します。
精度の高い顧客分析を効率化させるためには、POSデータの取得だけじゃなくIDレシートの導入も検討しましょう。

コンビニやスーパーへ商品を展開する安曇野食品工房社では、バイヤーへの商品提案時に、定量的な情報で説得力を上げ、採用に結び付けたいと考え、POSデータの活用に取り組んでいます。顧客のリアルな購買行動が反映されたPOSデータは、どのような属性の顧客がどんな商品を選んでいるのかを可視化でき、顧客インサイトまで推測可能です。このため、バイヤーへの提案資料にデータを活かすだけでなく、商品企画時のペルソナ設定にも役立てています。
また、コンビニ3大チェーンの購買データが揃い、市場全体を分析できるBIツール(IDレシート)の活用で、俯瞰的かつ客観的にみた自社商品の位置づけや強みをアピールするなど、購買データをマーケティングへ最大限活用しています。

詳細記事:コンビニでの購買全体像がリアルに視(み)えました

POSデータで分析できるのは特定チェーンの購買行動のみ。顧客のし好や市場の実態をより把握するには、IDレシートの活用がおすすめです。IDレシートからは、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を、家計簿アプリから分析できます。
「膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかる」とお悩みの方はBIツールの導入を検討してはいかがでしょうか。「IDレシートBIツール」は独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。
「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

現代は個々の消費スタイルの変化が激しい時代だとされています。企業が継続して利益を出すためには、顧客のニーズをきちんと把握することが大切です。POSデータやIDレシートデータなどの情報を有効活用することで、マーケティングの精度を高められます。なかでも、IDレシートデータは顧客の性別・年代・属性など、個人の購買情報を横断的に得られることが魅力です。有効なデータ分析を行い、顧客の動向をしっかりと把握しましょう。

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