CRM分析を効果的に使う!
CRM分析の重要性と8つの分析手法を解説

CRM分析を効果的に使う!CRM分析の重要性と8つの分析手法を解説

CRM分析によって、企業は顧客との関係管理をレベルアップでき、自社の利益につながる施策のための情報分析を可能します。顧客のニーズを把握して、効果的なアプローチを取っていくにはCRM分析の活用が欠かせません。しかし、一口にCRM分析といっても、求める分析結果に応じてさまざまな種類があります。この記事で、CRM分析の重要性や代表的な8つの分析手法、効果的に使うためのポイントを確認していきましょう。

まずCRMとは、Customer Relationship Managementの頭文字を取った言葉で、直訳すれば「顧客関係管理」です。CRM分析とは顧客関係を管理することにより、そのニーズや属性、売上貢献度などを把握し、企業価値を高める施策につなげるための分析手法です。新商品を開発・販売する前に市場のニーズを分析するような調査とは異なり、あくまで顧客関係を管理することに重きを置いています。CRM分析には、分析を行う目的によって種類があるため、それぞれの手法の効果的な使用方法を理解しておくことが重要です。

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CRM分析は自社の顧客を対象にした分析であるため、企業はこれまで行ってきた顧客へのアプローチが適切かどうかを確認できます。たとえば、1回の購入金額が多いのに来店頻度が低い顧客には、プッシュ通知やダイレクトメールで新商品の入荷や割り引き情報などを送るのが効果的です。また、来店頻度が高い季節や時間帯なども、顧客への適切なアプローチを探る貴重な情報になるでしょう。顧客との長期にわたる関係性の中で得られる利益として重要とされるLTV(ライフタイムバリュー)を向上させるためにも、目的に応じた細かいデータが出せるCRM分析は役立ちます。

企業を対象とする場合、社風や企業規模、業界などが細分化の切り口です。性格に該当するものが社風で、体格に該当するものが企業規模というように、個人のプロフィールの項目を企業に当てはめていくと分かりやすいです。また、決裁権限の有無や購入履歴のような取引上のデータを考慮することも大事です。たとえば、法人向けのサービスを提供する場合、企業規模に着目すれば、「従業員数にかかわらず一定の価格」「従業員数よって変動する価格」のどちらが好まれるのか検討できます。業界に焦点を当てると、消費量が多い物品の傾向などを参考にして、自社製品の売り込み先を決定する指標が得られます。

消費者を対象とする場合の評価軸は次の4つです。それぞれの特徴と具体的な要素を把握しておきましょう。

地理的変数とも呼ばれるもので、国や都市のような居住地域の観点による分類で使われます。エアコンの売れ行きに気候が関係するなど、エリア単位の戦略も組みやすくなることが特徴です。人口密度や面積、経済成長度といった数値で表せるものだけでなく、文化や気候なども含まれます。

心理的変数とも呼ばれ、メンタルや感性などの心理的属性に着目して使用される基準です。趣向の多様化が進むにつれて、隠れたニーズを見極めるために重視されるケースが増えてきました。価値観などのパーソナリティやライフスタイル、関心のある分野などが該当します。

消費者を細分化する際に最も多く利用されている、人口統計学的な属性です。一般的な個人情報がベースとなっており、容易に測定できます。年齢や性別、職業・家族構成や所得などが含まれており、日常生活との関わりが強い商品と連動しやすいです。

ビヘイビアルともいい、消費者が商品に対してとった行動による分類で用いられます。日時や金額のような購入した際の状況や、購入している頻度などが代表的な要素です。レシートデータによる把握が可能で、実際に起こったことが検討の材料になるため、予測の精度を高めやすいという特徴があります。

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CRM分析の手法にはさまざまな種類があります。企業は目的に応じて適切な手法を使い分けたり、いくつかの手法を併用したりするのが一般的です。ここでは代表的な8つの分析手法を紹介します。CRM分析の具体的な方法を見ていきましょう。

デシル分析とは、顧客の購買履歴データをもとにして、購入金額の多い順に10のグループに分け、それぞれのグループの購入金額や全体における比率などを算出する手法です。デシル分析を行うことで、グループごとの特徴が分かり、自社の顧客の中で優良な顧客層を把握できます。最上位グループに所属する10人の合計購入金額が全体の半数を超えるならば、そのグループを対象としたマーケティング戦略が優先順位の上位になるでしょう。デシル分析のデータがなければ、具体的に対象を絞った戦略を立てるのは困難です。従来であれば、従業員の感覚や知識などに頼っていた部分を、データという汎用性のある形で見られます

セグメンテーション分析とは、顧客の属性や購買履歴などをもとに細かくグループ分けをして分析していく手法です。顧客属性は性別や年齢、居住地といった基本的な情報に加えて、購入履歴を参照することで来店頻度や購入金額、商品の好みなどの情報も収集できます。セグメンテーション分析の目的は、多様化した顧客のニーズを把握して、どんな属性を持つ顧客にアプローチしていくのが最適なのかを検討することです。たとえば、売上貢献度の高い顧客という視点でデータを分析することで、顧客の属性や購買パターンなどが明確になり、商品やサービスのターゲットを決定する際に参考にできます。セグメンテーション分析を行う場合には、視点を変えて多角的な分析を行い、ターゲティングの精度を上げていくことが重要です。

CTB分析とは、Category(分類)、Taste(デザインやサイズ)、Brand(ブランド)の3つの指標を用いて、顧客を特徴別に分類する方法です。Categoryは、洋服か、家具か、あるいは生活雑貨かといった大きな分類から、服という共通項の中でアイテムごとの小さな分類をするなど、商品に応じた使い分けができます。そこにデザインやサイズ、ブランドなどの情報を組み合わせて分析するのがCTB分析です。分析の目的は、顧客の好みを正確に把握できることが挙げられます。それによって顧客への適切なアプローチが選べますし、顧客が自社サイトを訪問した場合には、サイトの内容をそれぞれの顧客に合わせて最適化することも可能になるでしょう。

クラスター分析とは、個々の属性などが異なる大きな集団から、似ているものを集めてグループにする分析手法です。他の分析手法では、目的や特徴などを基準にしてグループ分けしていましたが、クラスター分析では明確な分類基準を設定しません。類似性だけでグループを作り、できあがったものを分析するという手法であるため、大量のデータの中から特性や傾向をつかもうとする際に使われることが多いです。新商品の販売予測をするために、未分類の情報を使って顧客層の特性を把握したいときなどは、クラスター分析が選択肢のひとつになります。


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CPM分析とは、Customer Portfolio Managementの頭文字を取っており、自社にとって顧客がどんな状態なのかを10のパターンに分類し、それぞれ適切に管理していくことを目的とした分析手法です。CPM分析の方法は、まず利用が続いている「現役客」と「離脱客」に大きく分けます。次に、それぞれの購入回数や購入金額、離脱期間などのデータによって、初回のみ購入した顧客(その後で離脱した顧客)や、安定してリピート購入している顧客(その後で離脱した顧客)といった具合に、細かいパターンに分けていくのです。CPM分析の結果は、顧客に応じて最適なアプローチを選ぶための情報となり、リピーター獲得のためのマーケティング戦略などに生かせられるでしょう。

CRMにおける顧客分析とは、自社の商品やサービスを利用したことがある顧客の特徴を知るために行われる分析です。そのため、顧客の属性データや購買履歴などを分析に利用します。顧客分析の基本的な目的は、得られたデータを活用して、顧客に最適なアプローチを探るための参考にすることです。たとえば、顧客の性別や年代ごとの商品売上高がデータとして算出された場合には、売上高が高い顧客へのアプローチをさらに強めるのか、それともそれ以外の顧客に対して違ったアプローチを模索するのか、状況によってマーケティング戦略を考えるための参考にできます。


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売上分析とは、自社や従業員、商品などの売上を分析することで、現状把握や売上拡大につなげていく手法です。売上分析を行うことにより、なぜ売上が伸びないのかという課題の可視化を行えます。その際には、自社の売上や従業員の営業成績などを個人別に細かく見ていくのが重要です。売上や営業成績が伸びないことを漠然と考えるよりも、同業他社や同僚と比較分析を行った方が、現状を正確に把握することが可能です。そして、取り組むべき課題が明確になった後は、それをクリアするための目標設定が促されることも売上分析を行うメリットです。また、商品の売上を個別に分析することで、購入者の属性や購入されやすい時期などが明確になります。そうした情報を役立てることで、売上向上のためのより具体的な戦略を立てられるでしょう。

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RFM分析とは、Recency(最終購入日)、Frequency(来店や購入の頻度)、Monetary(累計購入金額)の3つの指標で顧客をグループ分けする分析方法です。RFM分析の目的は、自社にとって優良な顧客を明確にすることが挙げられます。たとえば、最終購入日から2週間以内での再来店が確認され、購入頻度や累計購入金額が高い数値であれば、その顧客は店舗やブランドのファンといえるでしょう。その一方で、最終購入日が1年以上前の場合には、その店舗を思い出してもらえるような施策が求められます。このように、購入頻度や累計購入金額が少ない顧客に対して、アプローチを変えていくための参考にできることもRFM分析の活用法です。

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CRM分析を効果的に行うためのポイント

自社のマーケティング戦略を考えるうえでCRM分析が必要だと判断した場合、どうすればスムーズな導入や利用が行えるのでしょうか。ここではCRM分析を効果的に利用するための4つのポイントを解説します。

いざCRM分析を導入しようと思っても、顧客の細かな情報をデータとして整理していなければ、正確な分析結果を得られません。まずはそれぞれの部門ごとに顧客情報の整理を行い、それらをデータとして蓄積していくことが重要です。顧客の個人情報や購入履歴だけでは十分とはいえません。顧客ニーズの把握につながる好みなども、データにして社内で共有していきましょう。

CRM分析を導入する際には、企業の情報を一元管理できるERPも同時に導入すると、膨大な顧客情報を社内で共有できる環境が整います。ERPとはEnterprise Resource Planningの略語で、企業における資源を管理する計画といった意味です。企業の各部署に点在している情報が管理できれば、それだけCRM分析で利用できる情報が増えます。その結果、分析結果の精度を向上につながるのです。ERPは企業全体の情報を一元管理することもできれば、それぞれの部署ごとでも導入できます。CRM分析のためにはできるだけ多くの情報があった方がいいですが、事業内容や規模によっては集めるのが難しい場合もあるでしょう。いくつかの部署で導入し、その後で拡張していくといった方法もあります。

CRM分析を行う基本的な目的は、既存顧客の特徴を把握して、それぞれに最適なアプローチを探っていくことにあります。既存顧客の囲い込みに重きを置いた方法といえるでしょう。新規顧客を開拓するには宣伝・広告費用がかかったり、効果が出るまでに長い時間がかかったりと難しい問題があります。それよりも、CRM分析の結果をもとにして既存顧客にアプローチし、優良顧客にしていくような施策を取った方が効果的です。まずは既存顧客への対応からCRM分析を試していきましょう。

CRM分析を導入する際のポイントは、自社に合ったものを選択することです。CRM分析ツールの機能はさまざまなものから選べます。しかし、機能が多ければいいというものではありません。自社でCRM分析をどう使うのか、何が目的なのかを明確にして、最適なツールを導入しましょう。たとえば、リピーターを増やしたい場合には、顧客の特性や購入パターンを細かく分析するようなツールが求められます。その分析結果から顧客離れの要因を明らかにし、それぞれの顧客へのアプローチを変えていきましょう。また、CRM分析の適切な運用には、社内での情報共有がスムーズに図ることが大切です。部門ごとに情報がばらばらに管理されている状況ならば、顧客の管理から営業支援まで行えるように業務効率化に特化したものを選ぶのがいいでしょう。

CRM分析に役立つデータのひとつにレシートデータが挙げられます。レシートには、顧客の思考や市場の実態を把握できる有益な情報が満載です。具体的にはレシート1枚で、日付・時間・商品名及び金額(値引・単価・個数)・合計金額・電話番号、さらには購入した店舗のチェーン名・店舗名などの情報からユーザーのリアルな購買行動を把握できます。

「IDレシートBIツール」なら、消費者の購買や併買のデータを、店舗・カテゴリーを横断的に確認できます。膨大なデータを自社で集計・分析するには時間がかかるという場合に利用すると、効果測定の手間が大幅に短縮できるでしょう。また、同ツールでは、独自で構築した膨大なレシートデータから、コンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストアなどの店舗別の売れ行きを可視化しています。POSデータでは見えづらかった自社商品の「買う人」と「買われ方」をしっかりと把握できるため、自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

CRM分析には、その手法としてもツールとしてもさまざまな種類があり、どんな目的で使うのかを明確にしておかないと、効果的な導入や利用が難しくなります。目的を決める際には、自社が顧客とどういった関係性を築いていきたいのかが重要です。また、社内の情報管理も考えなければなりません。自社の将来像の中で、CRM分析ツールがどういった位置づけになるのかを踏まえて、目的に合ったものを選びましょう。

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