ユニークユーザ分析とは?顧客を起点とするマーケティング手法を紹介

ユニークユーザ分析とは?顧客を起点とするマーケティング手法を紹介

顧客を意識したマーケティング戦略を考えるときにユニークユーザ分析が有効です。ユニークユーザ分析を活用することで、顧客視点に立って物事を考えられます。この記事では、ユニークユーザ分析の定義や目的、手法、分析するときの注意点を紹介します。ユニークユーザ分析を理解して自社に有益なマーケティング戦略を導き出すための参考にしてください。

数万人規模の消費者を対象にしたアンケート結果をマーケティング戦略に生かす集団分析には、顧客像がおぼろげで確信を持った経営判断ができない課題があります。たとえば、ヒアリングをしても記憶だよりの場合が多く、企業も「30代共働きの子育て世帯」など曖昧にしか顧客層がつかめません。さらに大まかな市場ニーズや消費者の共通点を把握できても、顧客の商品やサービスに対する深層心理を徹底的にヒアリングすることは難しいです。

そのため、真の商品やサービスの強みや改善点を見いだし、集団分析では難しかった顧客の解像度を上げるには、ユニークユーザ分析が効果的といえます。

ユニークユーザ分析には、今後の具体的な顧客へのアピール方法のアイデアを得る目的があります。特定の顧客に対してインタビューやアンケートをすることで、商品やサービスに対する顧客の心理をつかむことが可能です。顧客の商品やサービスに対する思いを把握することで、直接商品開発やサービスの改善につなげられます。たとえば、商品を利用している顧客に対して、「数ある商品の中からなぜこの商品を選んだのか」や「他の商品との違いは何か」などを問うことで、商品の強みを把握することが可能です。

また、一度サービスを利用したものの途中で利用を止めた消費者に対して、「何に対して不満を抱いたのか」、「他のサービスに移った理由は何か」などを問うことで、サービスの向上に役立つヒントを得られます。ひとりの顧客から得たデータが商品やサービスの事業展開のアイデアの参考になるので、マーケティング戦略を立てるときにユニークユーザ分析を活用しましょう。

ユニークユーザ分析を行うときは、最初に分析する顧客ひとりの定義づけをして、規模の把握を実施する必要があります。そのために、まずは顧客を大まかに分類した「セグメントマップ」を作成し、顧客のセグメントを分類しましょう。この段落では、セグメントマップの定義や方法を紹介します。

消費者を対象とする場合の評価軸は次の5つです。それぞれの特徴と具体的な要素を把握しておきましょう。

ロイヤル顧客とは、自社の商品やサービスを認知しており、かつ購買頻度が高い顧客を指します。簡単にいえば、購入頻度の高いリピーターのことで、事業を支えてくれるありがたい存在です。ロイヤル顧客を増やすことにより、長期的に売上を確保できるため、事業の安定を目指す上で一般顧客からロイヤル顧客への発展を狙うことが求められます。なお、ロイヤル顧客からユニークユーザ分析の対象を選ぶことで、商品やサービスの強みを把握することが可能です。他の商品やサービスとの差別化を図る上で、自社の強みを強化することは重要なので、市場の中で確固たる地位を築きたい場合に効果的といえます。

一般顧客とは、自社の商品やサービスを認知しているものの高い購買意欲はなく、必要なときに購入する顧客のことです。購入頻度はそれほど高くないものの、現在も利用中のリピーターが該当します。商品やサービスの質を向上すれば、ロイヤル顧客になる可能性は高く、いかに自社の商品やサービスのファンになってもらうかを考えてアプローチすることが重要です。一般顧客から対象を抽出することで、商品やサービスの改善点を把握できるため、商品やサービスの質の向上を目指す上でポイントとなるセグメントといえます。

離反顧客とは、自社の商品やサービスを把握しており、過去に購入経験はあっても現在は利用していない顧客のことです。離反顧客を減らすことで、売上の減少を抑えられます。自社の商品やサービスを利用したものの、何か不満に思うことや自分と相性が良くないことがあったために、利用を止めてしまった顧客が分類されるセグメントです。離反顧客をユニークユーザ分析の対象にすることで、商品やサービスの欠点や弱みを把握できます。そのため弱点を改良し商品やサービスの全体的な質を向上させたい場合は、離反顧客の中から対象を抽出しましょう。

認知・未購買顧客とは、自社の商品やサービスを認知しているが、実際に購入したことがない顧客のことです。認知・未購買顧客は、売上を増やすために重要なセグメントで、商品やサービスの存在はすでに知っているため、いかに利用してもらえるかを考えるヒントになります。なぜ購入に至らないのかを調査することで、新規顧客獲得のためのプロモーションを展開することが可能です。新規顧客数を伸ばしたい場合は、認知・未購買顧客のセグメントからユニークユーザ分析の対象を選びましょう。

未認知顧客は、自社の商品やサービスを認知しておらず、かつ購入経験がない顧客のことです。事業の拡大に重要なセグメントで、将来の優良顧客になりうる潜在顧客が一定数います。未認知顧客をユニークユーザ分析の対象にすることにより、自社の商品やサービスをどのように宣伝すればよいのかを把握することが可能です。新規事業を立ち上げた場合などに有効なセグメントなので、事業拡大を狙っている企業は未認知顧客を対象にユニークユーザ分析してみましょう。

セグメントマップの作成は、簡単な質問をいくつか行うことで可能です。主に「あなたは〇〇という商品・サービスを知っていますか?」「これまでに購入したことがありますか?」「どのくらいの頻度で購入していますか?」の3つの質問で、5つのセグメントに分類できます。1つ目の質問で知らないと答えた人は未認知顧客で、2つ目の質問で購入したことがないと答えた人は認知・未購買顧客です。そして、最後の質問で「以前は利用していたが今は使っていない」と答えれば離反顧客で、「数カ月ごとに使っている」などと答えた人は一般顧客、「毎月のように使っている」などと答えた人はロイヤル顧客となります。

一般顧客とロイヤル顧客の差は商品やサービスの性質によるので、企業側が目安となる基準を設けてどちらに該当するか判断しましょう。たった3つの質問をするだけなので、低コストで実施できます。潜在顧客に対してアプローチすることによって対象者を増やせるため、インターネット調査を活用して多くのデータを集めましょう。

N=1とペルソナの違いがあまりピンと来ていない方も多いのではないでしょうか。N=1は「実在の人物」であるのに対し、ペルソナは「架空の人物」を指します。ユニークユーザ分析をするときは、「N=1」を徹底的に理解することが重要です。N=1を理解するとは、実際に存在するひとりの顧客を徹底的に理解することを意味します。

一方で、N=100など不特定多数を対象に調査を行うときは、企業や商品・サービスのターゲットを想定した顧客像(ペルソナ)つまり「実際に存在するであろう架空の人物」を分析します。実在するN=1とは違い、架空の人物であるペルソナには質問で深堀りできず、要望や不満などの真の顧客の深層心理を引き出すことは困難です。

ユニークユーザ分析を提唱した西口氏は、ひとりの顧客と向き合い、徹底的に情報を引き出すことを大切にしています。このことから、ユニークユーザ分析を行うときは、顧客から何を知りたいかを明確にし、顧客起点の回答を引き出せる質問を考え、顧客と向き合ってアイデアを見いだすことを心掛けましょう。

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ユニークユーザ分析を実施することで、顧客の新たなインサイトや商品開発に役立つ仮説を見いだせます。しかし、分析するデータがPOSデータやポイントモニターでは情報が限られており、ユニークユーザ分析の精度を高めるのは難しいです。小売以外にも外食チェーンなどを横断的に顧客行動を把握でき、確かなファクトデータとして活用できるのが「IDレシート」です。

IDレシートは、顧客のリアルな購買行動を把握でき、無意識の購買グセも見いだせます。たとえば、同じ「減塩系しょうゆ」の購入者でも、「無添加」や「減塩」「有機」の食材をメインとした安心・安全な食事を作る30代ママさんもいれば、汁なしカップ麺などジャンクフードが大好きで、自炊はしないものの「減塩」を免罪符として購入している50代男性もいると把握できます。このように、IDレシートを活用したユニークユーザ分析では、顧客の購買行動やインサイト・し好性の理解を深められるのです。

また「IDレシートBIツール」は、POSデータでは見えづらかった自社商品の「買う人」と「買われ方」を常に最新のレシートデータからしっかりと把握できます。自社と競合商品の実売価格・売上が確認でき、顧客の理解だけではなく、商談時の資料としても利用可能です。

「IDレシートBIツール」の詳しい情報はこちらをご覧ください。

マーケティング戦略を考えるときにユニークユーザ分析は効果的です。商品やサービスを多くの顧客に利用してもらうためには、顧客の立場に寄り添った内容である必要があります。不特定多数を対象にした分析も有効ですが、顧客の深層心理を見いだし、真に顧客から求められている商品やサービスを展開するためにはひとりの顧客に向き合うことが重要です。ユニークユーザ分析を活用して、顧客に対して効果的にアプローチをしかけていきましょう。

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