STP分析を用いた優れたマーケティング事例13選

STP分析を用いた優れたマーケティング事例

マーケティング戦略の「STP分析」は、自社と競合他社を差別化するポイントを見極め、自社の優位性を打ち出していくために行います。
本記事では13社の事例より、どのようにSTP分析を行ったのかについて紹介します。
これからSTP分析でマーケティング戦略を実施していきたい方は、ぜひ本記事をご活用ください。

STP分析とは、「セグメンテーション(Segmentation)」、「ターゲティング(Targeting)」、「ポジショニング(Positioning)」の3つの要素から構成される、マーケティングの基本戦略のことで、それぞれの頭文字をとってSTP分析と呼ばれています。

Sのセグメンテーションとは市場の細分化、Tのターゲティングとは狙うべき市場の決定、Pのポジショニングは自社の製品の優位性と差別化ポイントを顧客に示す行為です。

STP分析について詳しくはこちら
関連記事:https://receiptreward.jp/solution/column/stp-analysis.html

マーケティン事例

各社が行っているSTP分析で、それぞれ、S(市場セグメンテーション)、T(ターゲティング)、P(ポジショニング)を具体的にどのように設定していたのかについて、紹介していきます。

パナソニックのビジネス用PC「レッツノート」のSTP分析について紹介します。

S(セグメンテーション):
個人ではなく、ビジネスユースの市場で、「外出先で使いたい」、「軽量がいい」、「セキュリティの機能が高い」、「デザインへのこだわりは特にない」といったニーズや関心ごとでセグメントを行いました。

T(ターゲティング):
出先でも快適に仕事をしたい外回りが多い営業職(20〜40代男女)に設定し、顧客のニーズは、「軽量」「長時間バッテリー」「防水性」「セキュリティ」としています。

P(ポジショニング):
ターゲットのニーズである、「軽量」「長時間バッテリー」「頑丈さ」などの面において、競合よりも優位に立つよう商品開発を行い、「ビジネス利用のノートPC」というポジションを確立しました。

2000年代初頭のユニクロの安さ訴求から、現在のファストファッションの地位の確立まで、進化してきたユニクロのSTP分析を紹介します。

S(セグメンテーション):
一般的に、顧客の年齢や性別などでセグメンテーションを行う場合が多いですが、ユニクロは顧客のニーズでセグメンテーションを行っています。
具体的には、「安くても長く使用できる」、「デザイン性も持ち合わせている」などが挙げられます。

T(ターゲティング):
すべての年齢層の男女で、「カジュアルやベーシックなファッションを好む顧客」を設定しています。

P(ポジショニング):
流行に左右されず、日常を豊かにする「Life Wear(究極の普段着)」として、他社のファストファッションブランドと差別化を図っています。

コロナ渦で軒並み飲食店が減退する中、マクドナルドは優れたマーケティングで大躍進を果たしました。

S(セグメンテーション):
2020年11月の数字では、前年の同時期と比べ+18.5%と顧客単価が上昇しました。
その背景に、顧客がコロナ禍でテイクアウトやデリバリーサービスのニーズが高まったことが伺えます。
マクドナルドではコロナが流行する前より、「デリバリー」、「デジタル」、「未来型店舗体験」を掲げ、これらの定めたセグメンテーションが時代とマッチし大躍進の結果を生みました。

T(ターゲティング):
顧客が最もマクドナルドに対して期待するサービスは、「提供スピード」と「安さ」であると捉え、さらに30〜40代のファミリー層をターゲットにしています。
特にコロナ禍でのデリバリーやテイクアウトでは、ファミリー層の狙いが利用顧客数を増やし、オーダー時の品数や単価もアップするという結果に繋がりました。

P(ポジショニング):
「提供スピードの速さ」、「お手頃メニュー(バリュー)」そして「モバイルオーダー」や「ドライブスルー」などの非接触提供の分野で、独自のポジションを築いています。

世界最大のコーヒーチェーン「スターバックス」をSTP分析の視点から紹介します。

S(セグメンテーション):
スターバックスでは、利用顧客の年齢グループ、男女別、職業の分類、経済的な地位の高さ・低さ、大都市か地方都市といったでセグメンテーションを行っています。

T(ターゲティング):
スターバックスは全国展開していますが、その土地のニーズを調査した上で出店しています。大都市・主要都市においては、平均以上の収入を得ているオフィスワーカーがいる土地、そして職業は、デザイン職や専門職を意識し、内装やサービスに反映しています

P(ポジショニング):
スターバックスは、「都会的なおしゃれな雰囲気の店で高くて美味しいコーヒーを提供する」という独自のポジションをとっています。

コカ・コーラは、コーラの他にもさまざまな飲み物の商品開発から販売を行っています。

S(セグメンテーション):
コカ・コーラは炭酸飲料やソフトドリンク、お茶などを提供していますが、それぞれ「朝食に合うドリンク」や「和食に合うお茶」といったようにセグメントを行っています。

T(ターゲティング):
コカ・コーラは、商品ごとに市場をセグメントした中から、ターゲットを設定する差別型マーケティングと、あらゆる市場に同じ商品を提供する戦略の無差別型マーケティングも組み合わせて実施しています。

P(ポジショニング):
コカコーラのポジショニングは「昔からあるコーラの味」にロイヤルティを置き、ポジションをとっています。

スタディサプリは、リクルートが運営するオンラインで英語学習ができるサービスです。

S(セグメンテーション):
高校生を対象に市場調査を実施し、大学に行きたい子供たちの約70%が予備校に通えていないことがわかったため、さらに細かく「地方」、「大学進学希望の高校生」、「ハイレベルな受験対策授業を受けたい」というセグメンテーションを行いました。

T(ターゲティング):
メインターゲットは地方在住で、予備校に通えない高校生です。
その他、小学生、中学生、TOEICやビジネス英会話を学びたい社会人をターゲットにしたサービス提供も行っています。

P(ポジショニング):
「リーズナブルな価格でハイレベルのレッスンを提供するオンラインの予備校」と、「短い時間で集中的に勉強する」という2つのポジションを築いています。

「ショートパンツで乗れる高級車」として独自のポジションを築いたレクサスを紹介します。

S(セグメンテーション):
レクサスはアメリカや日本、ヨーロッパの市場で、年齢層や消費者の所得をセグメンテーションの軸に考えられています。

T(ターゲティング):
レクサスはスティーブン・スピルバーグのような「カジュアルな高級車を好む人」をターゲットに定めています。

P(ポジショニング):
歴史ある競合の高級車との差別化として、レクサスは「先進的で高品質」のポジションを確立しました。

業界内で長年不動の地位を確立し、昨今は話題性をさらうヒット作を生み出しているペヤングソースやきそばのSTP分析を紹介します。

S(セグメンテーション):
カップ焼きそば市場はあらゆる人をターゲットにすることが可能なので、まずは年齢や性別、嗜好などで細分化します。

T(ターゲティング):
セグメンテーションからペヤングソースやきそばの需要は「若い男性」にターゲットを定めました。さらに、風変わりで話題性が好きな人たちを狙い、ユニークなパッケージデザインや味の開発を行いました。

P(ポジショニング):
一平ちゃんやUFOといった競合他社は多くの人たちに受け入れてもらえそうな商品開発をしている一方で、ペヤングソースやきそばは「ユニークさ」というポジションを確立しています。例えば、「ペヤングやきそば超超超大盛りGIGAMAX」などは通常の4倍サイズで総カロリー2142kcalあるなど、他社が満たせていないニーズを満たす商品を提供しています。

江崎グリコが手がけるオフィスグリコは、オフィス内に菓子箱や冷凍冷蔵庫を設置し、従業員が代金箱へ金銭を投入して購入できるサービスです。

S(セグメンテーション):
江崎グリコ社は、「消費者は購入した菓子をどこで食べるか?」という調査を行い、7割が家庭で食べるが、次いでオフィスが2割であることがわかりました。そしてこの2割の「オフィスで食べる消費者」をセグメンテーションとして見い出しました。

T(ターゲティング):
お菓子といえば女性がターゲットになるケースが多いですが、オフィスグリコは30〜40代のビジネスマンがターゲットに設定されています。

P(ポジショニング):
「オフィス内にある小さなコンビニ」というポジションを確立しています。

牛丼チェーン店でお馴染みのすき家のSTP分析を紹介します。

S(セグメンテーション):
「外食」、調理済みの食品を家で食べる「中食」、自分で調理して家で食べる「内食」を用いて、セグメンテーションを行っています。

T(ターゲティング):
競合である吉野家は男性客をターゲットにしていますが、すき家は女性客や家族連れをターゲットに設定しています。

P(ポジショニング):
「グループ客や家族連れも入りやすい牛丼チェーン」というポジションを築いています。

生活雑貨や家具、キッチン用品などを販売するニトリの事例を紹介します。

S(セグメンテーション):
ニトリはあらゆる人々を対象にしており、市場を明確にセグメンテーションせず、幅を持たせています。

T(ターゲティング):
20代〜50代ぐらいと幅広い人たち向けではありますが、都市に展開する店は中価格帯の製品をメインに、20代〜30代の女性や若い夫婦をターゲットに設定しています。

P(ポジショニング):
「品質や機能性の高い製品をリーズナブルな価格で提供する」というポジションを確立しました。

ヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」や「水曜日のネコ」、「僕ビール、君ビール。」といったユニークなネーミングとパッケージデザインが印象的で知られるクラフトビールメーカーです。

S(セグメンテーション):
「僕ビール、君ビール。」の商品企画では、「ビール離れをしている人」というセグメンテーションを行いました。

T(ターゲティング):
「ビールは嫌いじゃないけど、おじさんの飲み物というイメージがある」と感じているアラサー男子をターゲットに設定しました。

P(ポジショニング):
「僕ビール、君ビール。」は、「アラサー男子のプチ個性的な自分らしさにフィットするビール」としてポジションを確立しました。

2018年のタピオカブームを作ったといっても過言ではないゴンチャ。
その成功の背景はSTP分析の賜物でもあります。

S(セグメンテーション):
10代〜20代の女性にセグメンテーションを行いました。

T(ターゲティング):
ターゲットは「instagramユーザー」とし、映えるビジュアルを工夫しました。

P(ポジショニング):
ただのお茶好きではなく、「スターバックスなどのカフェは好きだが、コーヒーが苦手な層」に、お茶専門店のイメージを与えるため、その他の商品を提供しないといったこだわりをみせています。こうしてゴンチャブランドが確立しました。

以上、13企業のSTP分析の視点で、マーケティング戦略の事例を紹介しました。
このように、STP分析はマーケティング戦略を練る際には必要不可欠なフレームワークです。

しかし、近年市場環境の複雑化により、正しい分析結果を導き出しずらい、という懸念もあります。
セグメンテーション、ターゲット、ポジション、それぞれにおいて自社や競合が置かれてる立場を正確に把握するのが難しい、ということです。

この複雑性の高まりの中で分析を正確に行うために、弊社のIDレシートデータの使用が有効です。

IDレシートデータは、大手小売チェーンで蓄積されたレシート購買データです。
限定的な小売店やエリアに限らず、全国横断的にデータを取得しているため、より消費行動の解像度の高い購買データが集まります。

これにより、以下の点でSTP分析に役立ちます。

S(セグメンテーション):市場がどのような顧客に支えられているのかが把握できる
T(ターゲット):自社もしくは競合商品がどうなうな顧客に支えられているのかが把握できる
P(ポジショニング):自社顧客層は市場や競合とどこが違うのか把握できる
これからSTP分析を行っていきたい方は、こういったツールの活用も検討をおすすめします。
詳しくは以下よりご確認ください。

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