ペルソナとターゲットは共存する!違いや設定方法、活用法を徹底解説

 ペルソナとターゲット

マーケティングにおいて重要視される「ターゲット」と「ペルソナ」。似たような意味で使われることが多いこの2つの言葉ですが、「実のところ違いがよくわかっていない」という方も多いのではないでしょうか?

ペルソナとは、自社の製品やサービスの象徴的な仮想ユーザーのこと。ターゲットは集団・実在する全体をセグメントしたものです。つまり、ターゲットが「実在している『集団』」であるのに対し、ペルソナは『個人』であり、実在しなくても良いというのが大きな違いだと言えるでしょう。

マーケティングを成功させるためには、ターゲットとペルソナはどちらか一方だけを設定するものではなく、両方とも設定する必要があります。

そこでこの記事では、マーケティングにおいてペルソナ、ターゲットを設定する意義、両者の違いや設定方法、効果的な活用法などについてわかりやすく解説していきたいと思います。

マーケティングにおいてターゲットやペルソナを設定することはどのような意味を持つのでしょうか?

ターゲットやペルソナを設定することは、「マーケティング活動を通じてメッセージを伝える相手を明確にする」ことを表します。相手を明確にしてメッセージを伝えることで、相手も発信したメッセージに耳を傾けてくれるようになります。このため、マーケティング活動においてターゲットやペルソナを設定することは非常に重要です。

ターゲットやペルソナは似たような意味を持つマーケティング用語ですが、両者の定義は異なります。まずは両者の定義を以下で解説します。

ターゲット

「ターゲット」とは顧客になってほしい特定のセグメント層を表します。例えば、「20代、女性、都内に勤務」といったように表します。

一口に顧客といっても、年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成、趣向などは人によって異なります。このため、全ての人のニーズを満たす商品を開発、販売するのは現実的ではありません。また、企業の資源は限られています。そこで、競争力が高いマーケットを選定し、そこに資源を集中させ、競争に打ち勝つことが重要となります。

ターゲットはSTP分析の一つである「ターゲティング」というマーケティング手法で設定します。ターゲティングとは、属性や行動パターンなどで分類したセグメントの情報をもとに、商品販売やマーケティング活動の対象を絞り込むことを指します。ターゲットを絞るほど資源を集中させられるので、ターゲットは絞った方が良いとされています。なお、ターゲティングでは、市場規模、自社の強みや弱み、競合状況、環境要因などを加味して決定します。

「ペルソナ」とはラテン語で「人」を表します。マーケティングにおけるペルソナとは、顧客などから集めたデータから共通項目を抽出し、具体的な人物像として設定した対象を表します。具体的には以下の通りです。

・性別:女性
・年齢:28歳
・家族構成:独身、父母と同居
・職業:システムエンジニア
・勤務先:1,000名規模の都内のIT企業
・学歴:〇〇大学理工学部卒、私立の中高一貫校
・趣味:スポーツ、休日にフィットネスジムに通う
・悩み:デスクワークによる肩や首のコリに悩まされている
ペルソナを設定することで具体的な顧客像が明確になり、顧客ニーズをより詳しく把握できるメリットがあります。

ターゲットとペルソナはどちらもマーケティング活動を進める上で対象を設定する手法です。ではターゲットとペルソナはどのような違いがあるのでしょうか?

結論を言うと、ターゲットが「実在している『集団』」であるのに対し、ペルソナは『個人』が対象で す。 なお、ペルソナで設定される個人は実在しなくても構いません。

先にも述べたようにターゲットは「20代、女性、都内に勤務」といったように顧客になってほしい特定のセグメント層を表します。ターゲットを設定することで顧客の特性を把握し、顧客に適切な商品やメッセージを送ってきました。

しかしライフスタイルが多様化する中で顧客の行動傾向やニーズを把握することが不十分となりました。このため、対象となる顧客像を個人として捉える「ペルソナ」が登場します。

ペルソナでは年齢、性別、年収などの属性に加え、趣向、行動指針、ライフスタイルなどの個人の特性を明確にします。このため、個人の特性に合った商品やメッセージを送ることができます。

ターゲットとペルソナは、設定の目的が異なります。

ターゲットは商品やサービスの対象とする市場や顧客を絞り、マーケティング戦略構築のために設定します。ターゲットの設定はSTP分析の「ターゲティング」という手法で行います。STP分析とは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」を一連の流れで設定し、マーケティング戦略を構築します。そして、構築した戦略を実行するために、経営資源やマーケティング資源を集中させます。

一方、ペルソナは顧客を深く理解し、潜在ニーズを把握するために設定します。顧客の潜在ニーズを把握することで開発すべき商品やサービスが明確になり、認知や来店につながる施策も検討しやすくなります。特にブランディングの上でペルソナ設定は欠かせません。ペルソナを設定することで社内の認識を統一させ、戦略を明確にできます。

では、ターゲットとペルソナはどちらを設定すればよいのでしょうか?結論を言うと、ターゲットとペルソナはどちらか一方だけを設定するものではなく、両方とも設定する必要があります。

ターゲットは市場を細分化(セグメンテーション)後に対象となるセグメント層をターゲットとして設定します。そして、選んだターゲットをもとに、リアルな人物像として描いたものがペルソナです。

ペルソナは一朝一夕で設定できない場合がほとんどです。とはいえ、ペルソナの設定で具体的なイメージができない場合は設定したターゲットの絞り込みが不十分な場合があります。この場合はターゲティングに立ち返って設定することが必要です。 このように、ターゲットとペルソナは一連の作業の中で設定します。

ここではターゲットの設定方法について解説します。先にも述べたようにSTP分析の「ターゲティング」という手法で設定します。

最初にSTP分析の「セグメンテーション」を行います。セグメンテーションとは、顧客をいくつかのグループに分類することです。例えば、年齢、性別、職業、家族構成などです。また、「アンケート結果からタイプの異なる購買動機を見つけ出してセグメントをつくる」などでも分類を行うこともあります。

そして、分類したセグメントのうち、対象となるセグメントを決定します。セグメントを考える時は、重要だと考えられる5グループ程度に留め、ターゲットは1つか2つ程度を選択するのが適切です。

また、事業の進展や環境の変化に合わせてターゲットを見直すことが必要です。ビジネスは時間とともに刻々と変化します。ターゲットの見直しには時間がかかることも留意し、定期的に見直していきましょう。

次にペルソナの設定方法について解説します。ペルソナの設定は以下の手順で実施します。

①データを収集する
最初に先に設定したターゲットに関する情報を収集します。具体的にはインタビューやアンケート、外部データなどです。

②データを分析してペルソナの骨格を作る
次に①で収集したデータを分析し、ペルソナの骨格を作成します。性別、職業、家族構成、趣味や趣向などといった具体的な項目を設定して情報を書き出しながら、ペルソナを設定していきます。

③ペルソナを肉付けする
ペルソナの骨格が固めたら具体的な設定を加えてペルソナを肉付けします。具体的にはペルソナの氏名、写真、セリフを加えるなどです。

④完成したペルソナを検証する
ペルソナを完成させたらPDCAサイクルを回しながら検証します。もし間違っていたら、ペルソナの設定を見直し、修正します。

顧客のニーズを詳細に把握でき、ターゲットが魅力を感じるアプローチが可能となるペルソナマーケティングですが、成功させるためには2つのポイントがあります。

1つめは「ペルソナで導き出した情報をもとに進める」ことです。

ペルソナとは「実在する顧客のデータを根拠に象徴的な人物像に変換したもの」です。このため、ペルソナを導き出した人物像には根拠があります。このため、ペルソナマーケティングを進めるにあたっては、「ペルソナで導き出した情報をもとに進める」ことが重要です。

2つめは「ペルソナは常にアップデートする」ことです。

設定したペルソナが必ずしも正しいとは限りません。実際に運用してみると、想定とは違った結果になることも多々あります。このため、設定したペルソナを定期的に見直し、アップデートした結果を活用することが大切です。

ここではペルソナ活用の注意点を解説します。ペルソナの活用における注意点は2つあります。

1つめは「ペルソナは正しく設定する(思い込みや妄想で設定しない)」ことです。

ペルソナは極端に具体的な人物像を落とし込むため、根拠や理由なしに推論や思い込みで設定するとペルソナの精度が落ちてしまいます。アンケートやインタビューなどで収集した情報を根拠に根拠を持って設定します。

2つめは「ペルソナを作るだけでなく正しく活用することが大切(活用する労力を惜しまない)」です。

ペルソナは「どんな商品に魅力を感じ、買ってくれるのか」を明確にしてくれるツールですが、作っただけでは成果をあげることができません。チーム全体で設定したペルソナを共有し、商品開発やマーケティング活動に活用することが大切です。そのため、チーム内での共有や定期的な見直しなど、活用する労力を惜しまないことが大切です。

ペルソナとターゲットの活用

ターゲットの設定において、特に重要なのはペルソナとの関連付けです。ターゲティングで絞り込んだターゲットを人物像として具体化したものがペルソナです。ターゲットを効果的に活用するためにはターゲット設定を整理しておくことが必要です。ターゲットの設定を整理しておけば、スムーズにペルソナを設定することができます。

そのためにも、市場、顧客属性(年齢、性別、職業、家族構成など)などの情報はもちろん、趣向、行動指針、勾配傾向など、ペルソナの設定につながる情報を集めておくことが大切です。そして、集めた情報から異なる傾向をもつ顧客属性を分類し、商品やサービスのニーズがある対象を絞り込みます。

とはいえ、対象を広げすぎると収集がつかなくなります。このため5~10程度で分類し、その中からターゲットを1~2程度絞り込むのがよいでしょう。

ペルソナは商品開発や改良、広告プロモーション、ブランディングなどに活用できます。

商品開発や改良において、「ユーザーがどのような機能やサービスを求めているのか?」という視点が大切です。このとき、ペルソナを設定することで具体的な人物像が明確になるだけではなく、設定した人物像になってユーザーニーズを具体的に創造しながら捉えられるようになります。

また、広告プロモーションやブランディングにおいても同様です。一口に広告といってもアクセスするメディア、SNS、動画共有サイトなどは年齢層や属性によって異なります。ペルソナがよく閲覧する媒体や行動パターンを考慮することで、効果的な広告プロモーションを行うことができます。

この記事ではターゲットやペルソナを設定する意義、両者の違いや設定方法、活用方法について解説しました。

ターゲットやペルソナは似たような意味を持つマーケティング用語ですが、両者の定義は異なります。しかし、「ターゲットを絞り込んだ上で具体的な人物像としてペルソナを設定する」など、両者は関連性が高いものとなっています。このため、マーケティングを成功させるためには、ターゲットとペルソナはどちらか一方だけを設定するものではなく、両方とも設定することが必要です。

そして、設定したターゲットやペルソナをチーム内で共有し、定期的に見直すことで商品開発や広告プロモーションなどで役立てることができます。ターゲットやペルソナの設定や見直しを適切に行いながら、商品開発やマーケティング活動に生かしていきましょう。

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